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設計者の想いの日々(ブログ)復興した弘道館について考える
東日本大震災で被災した水戸市の弘道館が3月27日に完全復旧し、一般公開が再開されました。
国重要文化財に指定されている弘道館は幕末最大の藩校として、徳川斉昭が開校。震災により壁や屋根瓦などが崩れ落ち、復旧工事が進められてきました。 しかし、震災から復興し、弘道館が完全復旧した幕開けについては苦言を呈さざるをえません。 もう過ぎてしまったことなので、あれこれ煩く言いたくはないのですが、梅まつり期間だけでなく、こういうオープン時にこそ、床の間などに花を飾って色を添えるべきなんです。だいたい民間では、どこの店だって開店時くらいは花を飾るでしょう。 2011年以降、恒例となりつつある梅まつり期間時の弘道館及び好文亭の床の間の「いけばな展示」の企画によって、公務員の意識が少しは変わったとは買い被りかもしれませんが、茨城及び水戸の観光の振興のためには、文化的素養を身に付けた公務員がこれからは益々必要でしょう。 水戸に関しては、梅まつり期間中の弘道館及び好文亭の「いけばな展示」が、水戸市華道連合会によって、殆んどボランティアに近い形で行われています。私自身の想いとしては、歴史的建造物を剥製にして保存して公開するだけというのは私は反対で、せめてオープン時くらいは、がら空きの床の間に花を飾るのは常識であると考えています。それが建物の活用につながり、弘道館を訪れる方々への礼儀というものではないでしょうか。 私は数多くの文化財・歴史的建造物を見て回っておりますが、床の間に花を飾るのは日常的に行われています。 しかも弘道館は2011・3・11には「いけばな展示」が開催中で、中断せざるをえなくなった経緯があります。震災からの復興してのオープンですから、なおさら、花は飾られるべきだったでしょう。 ついでに言わせてもらえば、今回の弘道館の修理について、有識者による委員会により修復方針が決定されたようですが、私自身、不満が多いですね。 その具体例を挙げれば、弘道館の壁紙は全国的に普及する機械漉きの鳥の子和紙が貼られていますが、江戸末期の創建当時は水戸藩内の西の内和紙が貼られていたはずです。 弘道館の昭和の大修理(昭和34年~38年)の際は、まだ弘道館は文化財に指定されていなかったので、大量生産品である鳥の子和紙に貼り替えてもやむをえないことだと思いますが、既に重要文化財に指定されている今回の平成の修理で、昭和の修理を踏襲するのは、歴史的考証が足らなかった証左でしょう。予算がなかったという言い訳もあるでしょうが、それならそれでやり方はあります。 その他構造的な補強など技術的なことについても、私は疑問を感じておりますが、今回は割愛します。 今回、公務員の文化的教養性に言及しましたが、役所にも優秀な方は沢山います。しかし民間が「公」に圧力をかけることも必要です。「公」と「民」との間の交流と適度な刺激によって、我々も勉強になるし、優秀な公務員がさらにステップアップ出来るのではないかと私は考える次第です。
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