設計者の想いの日々(ブログ)
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設計者の想いの日々(ブログ)

2011年11月19日(土)

屋根形状を考える

先日のブログで申し上げた通り、屋根の架け方は無数にあります。今年の夏、私は、建築士の資格を取得するための学校で、製図(二次)試験の非常勤講師をさせて頂いたのですが、そのとき痛感したのは、建築の実務をそれなりにこなしているにもかかわらず、屋根の架け方のイメージができないことで、建物のプランニングの幅を狭めている生徒が、思いのほか、多く見受けられました。そこで、屋根の架け方のノウハウというか基本について、少々、ご説明したいと思います。

下記の図は、一般的な屋根の架け方の名称になります。


このように、オーソドックスな「切妻屋根」、最近流行の「片流れ屋根」、一昔前は主流だった「寄棟屋根」、伝統的な和風住宅でよく見られる「入母屋屋根」、ビルの建物に多い屋上のある「陸屋根」、一部の建築家・設計者が馬鹿の一つ覚えのように多用する「R屋根」などに、大別されます。
総2Fあるいは平屋の四角い建物であれば、誰でも簡単に屋根を架けることができると思いますが、現実は、総2Fあるいは四角い建物ばかりというわけではなく、1Fより2Fが小さくなれば、必然的に1Fに屋根が架かりますし、平面形状が複雑になる場合は、どのように屋根を架けるのか迷ってしまう建築士が意外と多いのが本当のところです。

ここで、私が設計した物件を基に、屋根の架け方の具体例を挙げてみます。


この屋根は「入母屋屋根」と「切妻屋根」の複合体です。といっても、一般的な「切妻屋根」を変形してうえで、「入母屋屋根」を組み合わせています。1Fと2Fの屋根がそれぞれ独立させるのでなく、敢えて、交わるような形で納めて、屋根の一体感を表現しています。



黒い外壁部分は、ごく一般的な「切妻屋根」、白い外壁部分は、「片流れ屋根」で、正面見えているのは、「片流れ屋根」のいちばん高い部分になります。中央にある箱型の茶系のタイル貼の部分は「陸屋根」となっています。





伝統的な「入母屋屋根」が基本となる建物ですが、1Fの屋根形状は「寄棟屋根」になっています。この1Fの「寄棟屋根」は東西南北の四面にぐるりと回っていて、この1F屋根の架け方一つで、和風住宅の良し悪しが決まると言っても過言ではありません。



この建物も先述の通りの手法を取り入れた和風住宅です。
写真左側のほうで、2Fの平面形状が四角形でなく、一部張り出している部分があると思います。ここは階段部分なのですが、その屋根形状は、「母屋下り」「吹きおろし」という手法で処理しています。この手法を使用すると、天井高が十分に取れない場合がありますが、階段部分では、二階床より下がっているので、問題ないということになります。一番最初の冒頭でご紹介した物件も、「母屋下がり」の手法を取っており、2F屋根が1F屋根まで下がりつつある部分は、天井高が取れないので、納戸・収納に使用しています。



この物件は、だいぶ前に竣工したこともあり、写真を撮らず終いで、非常に私自身後悔しています。この建物は「陸屋根」、「切妻屋根」などの複合体になっています。R形状の平面部分の屋根は、6角形で納めています。


ちょっと話が長くなってしまいました。私自身、どのような平面形状であろうが、無数に屋根を架けることができると、ハッタリ半分で豪語することがありますが、屋根の架け方というものは、日本の伝統建築と密接な関係を持ちながら、未来に対しても、非常に建築の可能性を無限大に広げうるものであると私は考えている次第です。
カテゴリ:建築知識 2011年11月19日(土)
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