設計者の想いの日々(ブログ)
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2010年12月23日(木)

市街化調整区域とは?

市街化調整区域とは、都市計画法第7条で、市街化を抑制すべき区域と規定されています。それに対して、市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域及び10年以内に優先的かつ計画的に市街地を図るべき区域と規定されています。
また、第43条で、何人(なにびと)も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第29条1項二号若しくは三号に規定する建築物以外の建築物を新築してはならないとあります。

第29条1項二号の建築物とは、農林水産業の用に供する政令で定められた建築物、又は、これらの業務を営む者の居住の用に供する建築物を指します。
第29条1項三号の建築物とは、鉄道施設、社会福祉施設、医療施設、学校教育法による学校、公民館、変電所、その他政令で定める公益上必要な建築物を指します。
これらの建築物は、市街化調整区域においても建築することができます。

都市計画法は昭和43年に制定され、茨城県でも昭和45年以降から順次、「市街化区域」「市街化調整区域」の地域が指定されていきました。そのどちらにも指定されていない区域を「未線引き区域」と呼びます。
都市計画法で、「市街化区域」「市街化調整区域」のラインが線引きされて指定された日付を「線引き日」と呼称し、水戸市・土浦市・日立市などでは昭和46年3月15日、つくば市では昭和48年12月28日、取手市では昭和45年7月15日が「線引き日」になっていて、各自治体によって「線引き日」は異なります。
この「線引き日」以前から建っていた建築物については、原則的に建替えすることが可能ですが、その元々の用途を変更して建築することはできません。

市街化調整区域での建替えについては、問題はほとんど生じませんが、何も建物が建っていなかった土地、例えば、畑や山林に住宅や店舗などを建築しようとする場合は、数々の条件をクリアしなければなりません。
一戸建ての住宅を例に挙げます。近年緩和された区域もありますが、建設地は、建築しようとする者の2親等以内の親族が「線引き日」以前から、あるいは10年以上、本籍や住所を有していた大字もしくは隣接大字内での建築が基本になります。
また、建築しようとする土地が周辺に何も建物が無い状態では許可条件にはならず、70m以内の間隔で50戸程度の建物が連続していることが必要です。これをいわゆる「50戸連たん」と呼んでいます。その他、現在、借家に住んでいること、勤務先まで通うことができる範囲であることなどが条件になります。
先ほど申し上げた、近年緩和された区域とは、「エリア指定」と呼ばれる区域で、前面道路の幅員が規定以上・上水道が完備されているなどの条件が備わっている土地であれば、誰でも建築できる区域です。ただ、そのような区域は都市近郊で、だいぶ限定されています。

また、「線引き日」以前から建築物が建っていた宅地などで、市街化区域から約1km離れた地点から、「50戸連たん」が可能な区域でも、諸条件がありますが、誰でも、住宅・兼用住宅等を新築することができます。

以上が市街化調整区域で建築物を建てるにあたっての取扱いのごく一部です。調整区域の取扱いの基準は都道府県によって異なります。調整区域に建築するまでには役所との事前協議や許可の審査に数ヶ月を要することも珍しくありません。もうだいぶ以前の話ですが、用途は住宅ではありませんでしたけれど、私はその許可に2年を要した経験があります。
役所の建築指導課などで、建築や関連法規の知識を有しないけれども、建築をしたい方が、感情論で役所を責め立て、挙句の果てには、「行政はいつも対応が悪い」と捨て台詞を吐かれる風景をよく目にしますが、知識を有する者を代理人として立てて役所と折衝しなければ、丸く収まるものも、収まらなくなるわけです。裁判で、弁護士を立てずに独力で戦い、裁判長に、「裁判所は対応が悪い」と毒づくのと、まったく一緒です。建築主の代理人としての能力がある建築士を選んで、事を進めることは、弁護士を選任し裁判を円滑に進めることと同じだと思います。

以上、市街化調整区域の豆知識でした。
カテゴリ:建築知識 2010年12月23日(木)
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