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設計者の想いの日々(ブログ)2010年12月18日(土)建築物の完了検査を考える
建築物を新築したり、10㎡以上の増築をする際には、建築確認申請を提出し、建築基準法に適合しているかの審査を受けなければなりませんが、その工事が完了した時は、速やかに完了検査の申請の手続きを行って、図面通り工事が行われているかの検査を受検する義務が建築基準法第7条に規定されています。
ところが、この完了検査の受検率は、平成20年度で全国平均91%で、ワースト一位である茨城に至っては75%です。つまり、茨城の1/4の物件が完了検査を受けずに放置されているのが現状です。 茨城の完了検査受検率が低い理由としては、依然として違法建築物が多いこと、そして、完了検査を受けなかったところで、建築主(施主)や施工業者にとって、特に大きな支障がないことが挙げられます。つまり、建築主は、完成すれば違法建築の家に住むことができますし、ほとんどの銀行の融資が滞りなく実行されるということです。 銀行融資のための書類として、確認申請が通った際発行される建築確認済証は必須ですが、完了検査に合格した際発行される「検査済証」は、都市銀行を除くほとんどの銀行で求められていないようです。 このような実態に行政も黙っているわけではなく、銀行融資の必要書類として、「検査済証」を含めるよう、だいぶ以前から要請はしているようです。また、建物を登記する際にも「検査済証」を必要とする体制となるように要請はしているようです。登記できなければ、銀行の抵当権が設定できませんので、融資が実行できなくなります。けれども、まだ行政の思惑通りには、事は進んでいないようです。 ところで、この完了検査ですが、検査時間は一般住宅では30分足らずで、本当に検査としての機能を果たしているかは疑問な部分も多いです。時間の制約もありますから、非常に甘い検査となっているのが実態です。つまり、大きな違法行為はおそらく見つけることができると思いますが、小さな違法行為や手抜き工事までは、目が行き届かないということです。 本来、工事が図面通り、合法的に、建築主(施主)の意向通り、手抜きなく行われているかを確認し、施工業者を監理するのは、建築士事務所に登録されている建築士ということになっています。いわゆる建築士の「工事監理業務」です。ところが、施工業者と建築士事務所が同じ会社である場合も多かったり、建築士事務所が施工業者の下請けとなることもありますので、建築主の利益を守るような「工事監理業務」が遂行されているかについては、非常に大きな疑問が残ります。 住宅・建築業界が消費者重視の体制となり、透明度の高い業界となるには、まだまだ時間がかかりそうです。
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