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設計者の想いの日々(ブログ)2012年12月21日(金)伝統的な屋根葺工法
檜皮葺(ひわだぶき)・鹿島神宮本殿(茨城県鹿嶋市)・国指定重要文化財~現在工事中
檜皮葺(ひわだぶき)とは、屋根葺手法の一つで、樹齢70年以上の充分な樹径のある檜の樹皮を用いて施工する、 日本古来から伝わる格式高い伝統的手法で、世界に類を見ない日本独自の屋根工法です。通常は長さ75センチ程度にそろえた檜皮を少しずつずらしながら重ねていき、竹くぎで留めます。優美な傾斜の曲線が現れる、この工法の出来る業者は、現在の日本では、五つもないという状況です。この工法は約千数百年の歴史を有します。 檜皮葺(ひわだぶき)を接写した様子です。幾層にも檜皮(ひわだ)が積み重ねされています。 檜皮(ひわだ)で葺かれた鹿島神宮仮殿(国指定重要文化財) 椎名家住宅(茨城県かすみがうら市)・国指定重要文化財 檜皮葺(ひわだぶき)よりは庶民的な茅葺(かやぶき)屋根です。 茅葺(かやぶき)は世界各地でもっとも原始的な屋根とされ、日本でも縄文時代には茅を用いた屋根だけの住居が作られていたと考えられています。茅(かや)は「ススキ」の別名で、「萱」とも書きます。20世紀半ばまで、日本各地の山間部の農村に茅葺の屋根が数多く残されていましたが、現在では、新築に使われることがほとんど無くなりました。世界遺産に登録されている岐阜県の「白川郷・五箇山の合掌造り集落」は茅葺屋根です。 椎名家住宅の建物内部の様子 建物の内部で竈(かまど)や囲炉裏を使用すると煙で燻されることによって、茅葺屋根の耐久性が高められます。
旧土浦中学校本館
旧土浦中学校本館(現在土浦一高)
1904年に建築された旧土浦中学校の本館は、国の指定重要文化財です。 設計者は、東京駅や日本銀行本店を設計した辰野金吾の弟子である駒杵勤治で、木造で建築され、平面は凹字型、左右対象をなし、建築様式はゴシック風のものです。現在も学校の用途として一部、生徒に活用されており、構造的な大規模修理が一度もされていないにもかかわらず、東日本大震災の損傷も軽微で済みました。 ガラスは当時のままで、現代のような量産工程で造られたものでなく、手漉きのガラスです。 屋根は宮城県産の雄勝石で葺かれていましたが、経年劣化により、昭和40年代に、彩色石綿セメント板、俗に言うスレート瓦に葺きかえられています。重要文化財としての観点からすれば、この点が一番残念なところです。 旧土浦中学校時代の机を復元し、往時の教室の雰囲気をよみがえらせています。
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