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設計者の想いの日々(ブログ)2012年11月6日(火)ホワイトウッド集成柱を斬る~経済性を追求した成れの果て
木材業者、大工、あるいは、良心的な建築士の間のなかで、非難轟々の渦に晒されている材料があります。
それは、何かというと、『ホワイトウッドの集成柱』というものです。 「集成柱」とは、いくつもの木片を糊で貼り付けて、105㎜角・120㎜角の柱にしたものです。 集成材は梁、その他造作材にも使用されていますが、今回は、『ホワイトウッド集成柱』にスポットを当ててみたいと思います。 ホワイトウッドの産地は北欧・ロシアなどが産地で、日本の高温多湿の気候からかけ離れた地域で産出されているため、日本の気候に馴染まない材料です。北欧などの現地ですら、腐りやすいという理由であまり使用されていません。 外部に晒されるウッドデッキに使用したなら、3年も持てばいいほうです。 ただでさえ、耐久性のない材料であるにもかかわらず、日本の高温多湿の劣悪な条件で、どれだけ構造体として耐えられるのでしょうか。さらに悪いことに、この材料は、白蟻にも滅法、弱いものです。 『ホワイトウッドの集成柱』がこれだけの弱点を抱えているにもかかわらず、ハウスメーカーを中心に採用されているのは、非常に安価だからです。商社から大量に買い付けることで、コストダウンを図っているわけです。 しかも、『ホワイトウッドの集成柱』が、無垢の柱より1.5倍の強度と喧伝し、画期的な材料のように、消費者に説明しています。確かに、材料が古くないうちであれば、その位の強度が出るように生産しているのでしょうけれども、元々、耐久性に乏しいわけですから、全く無意味です。 こんな材料を使用しても防蟻処理すれば、「長期優良住宅」に適合したりするわけですから、全くの茶番です。 最大手ハウスメーカーの一つは、こんな材料を使用して、坪70万で消費者に売りつけたりする詐欺行為をしているのです。 日本の杉や檜と比較して、格段に耐久性が落ちる『ホワイトウッドの集成柱』をハウスメーカーが使用するのは、もう一つ理由があります。集成材は含水率の低い材料ですから、木の反り・暴れがないため、クロスのひび割れや建具の建付けが悪いなどのクレームを減らすことが出来るということです。 このような些細なクレームを処理するのが煩雑ですので、この手の集成材を使用することになるのです。 日本の森林資源は豊富です。大径木のものは採りにくくなりましたが、柱材程度の太さの樹木は、あり余っています。杉花粉症が深刻になるほどですから、どれだけの林産資源が眠っているのか、想像に難くないと思います。 質の高い日本の林産資源に目を向けず、外国の粗悪な材料を買い付けることで、日本の建築・住宅文化がどれだけダメージを受けているか、大資本のハウスメーカー、地域のハウスビルダー、また、それを支持する消費者には猛省を促したいと私は考えています。
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