設計者の想いの日々(ブログ)
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設計者の想いの日々(ブログ)

2010年9月27日(月)

当設計事務所としての役目

医学部を卒業し、医者となった者は、ほとんどが一生涯、医者としての職務を全うすると思います。難関の司法試験に合格した法曹関係者についても同様でしょう。
ところが、建築の設計を志して、難関の一級建築士を合格したとしても、一生涯、建築の設計や工事監理の専門家として職務を全うするケースはそれほどは多くありません。若いうちに自らの設計の能力に限界を感じて、別の職種に鞍替えする者も多く、設計事務所の業界で生きていくためには一筋縄ではいかないのが現実です。また一級建築士を取得したとしても、設計・工事監理業務のできないペーパー建築士が多くを占めているのは否めない事実です。また他の職種と比較して、設計事務所において世襲が著しく少ない現実は、各設計者の能力に大きな隔たりがあることの証明だと思います。陶芸家や画家などの芸術の世界で、世襲が難しいのと近い側面があると思います。

建築の設計の技術というものは、基本的な建築の素養が大事なのは言うまでもありませんが、広範囲にわたる人間の生活や複雑化する社会に対しての設計者独自の切り口、あるいは建築物に対して設計者としての美意識の持ち方が非常に重要で、これといったマニュアルがない状態のなかで設計者がそれぞれ独自に探求していかなければ、設計者としての成長は見込めないという極めて厳しい掟が設計事務所の業界にあります。
このような設計事務所の業界のなかでは、当然、設計者は皆、違った価値観やポリシーを持っており、かつ、設計者によって、ヒアリング能力・提案能力に差があるため、同じお客様の案件を複数の設計者が設計した場合、与えられる条件が同じであっても、設計者によって、それぞれ違う建築物となるのが必然であります。

設計する人間によって建築物が異なるのは、建築士の資格の無いハウスメーカーの営業が設計する場合でも顕著です。こちらの場合は、建築の素養が欠けている場合がほとんどですので、基本が出来ていない思想のない商品的な設計が多いのが現実です。このようなケースは、本来、お客様にとって論外なはずですが、世の中の住宅の大半がこのような流れに乗って建築されているのは非常に残念なことであります。

と言っても、設計事務所の業界にも大きな問題を抱えています。
この業界の設計者にはコスト管理のできない者が多く存在するため、一般の消費者にとって、設計事務所の敷居が高くなっていることです。いくらかかるのかわからない建物を設計されて建築されても、今後の生活設計に支障を来たすだけですから、敷居が高くなるのも当然です。
また、設計者のエゴが強過ぎて、お客様の意向が無視されて、利益が損なわれるケースや、現場に疎い設計者が単なるトラブルメーカーになってしまうケースも散見されます。

このような設計事務所の業界・住宅業界のなかで、消費者たるお客様が最善を尽くす方法の一つとして、次のような問いかけを設計者にしてみてください。
「私たちは、これから家を建てて、そこで長い間生活をしていくことになりますが、私たちが生活する目線に立って、そして私たちの利益を守ってくれる建築物を設計して、それを実現できるだけのノウハウはどのようなものですか?」
このような趣旨の問いかけに、それぞれお客様がアレンジを加えて設計者に問いかけてみてください。そして、誠意を持ってきちんと納得のできる回答をしてくれる設計者を選択することです。建築家の斬新なデザインにばかり目を奪われることだけは避けてください。
ちなみに、この問いかけに対する当設計事務所の回答は、お客様の諸条件によって異なりますので、十分にヒアリングを行った結果、当設計事務所の信念を盛り込んで、個別に回答させていただいております。

住宅業界の販売重視・利益優先の風潮から距離を置き、設計事務所業界の悪しき側面に毒されない家造りを、一人でも多くの消費者が実行できるような環境を造り上げていくことが、当設計事務所としての役目であると私は考えています。
カテゴリ:当設計事務所の姿勢・信条 2010年9月27日(月)
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