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設計者の想いの日々(ブログ)2010年9月2日(木)販売から本来の建築技術の世界への再生
昔々、人間が住んだり、利用したりする建築物は職人の手によってのみで造られていました。地域に密着した大工(棟梁)、屋根、左官などの職人が時間をかけて、建築物をじっくり造り上げていきました。
明治に入り、鉄筋コンクリート造や鉄骨造などの技術が西欧から伝達されて、木造以外の建築の技術も上昇していきました。その後、建築士の制度も導入され、戦後、地震の多い日本では、その建築や土木の技術の進歩や流播は飛躍的なものがありました。 職人や建築士などの技術者が中心となって、住宅・建設業界を土台から支えてきたと思います。 近年、地域のコミュニティの絆も弱まり、その「しがらみ」から脱して、人々の価値観が多様化し、社会も複雑化していき、特に住宅業界の流れとして、職人や建築士などの技術者が中心となっていた世界から、多様化している人々の価値観をいかに惹き付けて、いかに利益を上げようとするかという「販売」を重点に置く世界に変質していきました。 その結果として、大工などの技術職人の地位が下がり、「販売」に従事するハウスメーカー・ビルダーが販売経費を稼ぐために、職人の手間を叩いて、大工に至っては、世間の平均賃金を大幅に下回る手間で喘いでいるのが現状です。 つまり、職人や建築士などの技術者が中心で回っていた住宅業界の世界に、技術は無くても営業に長けた「販売」を専業とする人間が大量に流入したことで、技術の対価に見合ったお金を貰えない技術職人が激増してしまいました。 そして、「販売」に従事するハウスメーカー・ビルダーも、入れ替わり立ち代わりが激しい、つまり倒産と新規参入が激しく相次いでいる状態で、「販売」の世界も迷走しているのが現状です。 このような状況のなかで、誰が舵を取っていくべきか? 建築の技術を持ち、多様化した人々の価値観と複雑化した社会を理解し、かつ、技術職人の立場も理解して、彼らの技術を上手に活かすことができるのは、建築主(施主)と直接コミュニケーションを取ることができて、独立した存在にある「設計・工事監理者」たる「建築士」以外には存在しえないと私は言い切ります。 住宅を「販売」から「技術」の世界に戻し、建築主たるお客様の価値観に対応して、消費者の利益を保護することが、これからの時代の流れとなる必然性を持つと私は考えています。
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