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設計者の想いの日々(ブログ)2010年8月19日(木)久しぶりの住宅展示場巡り
先日、約10年ぶりに住宅展示場巡りをしてきました。過去に、同業であることが露見して、Mホームに展示場から追い出された経験がありますので、もちろん素人客を装って、各メーカーさんに寄らせていただきました。
10年間展示場に行かなかったのは、「人が住んでいく」という住宅の本質を忘れて、「見せて魅せる」という店舗的な建築物ばかりで、もう飽きてしまったんですね。過去に100ヶ所以上は回ったと思いますが、例外なくワンパターンで、もうお腹いっぱいという感じでした。 お決まりの下がり天井の隙間から漏れる間接照明、有名メーカーの高級グレードのシステムキッチン、中2F・半地下・小屋裏収納がある段差だらけの4~5層構造、全開サッシ、吹き抜けに勾配天井、リビングの造り付け造作、もちろん内装・外装は高級品を使って仕上げられていて、坪数は床面積で55~60坪以上、原価で4000万以上はかかっているなどなど、10年以上経過した現在でも、昔とその様相はあまり変わっていません。 変わってきた点としては、昔ながらの真壁(化粧の柱をみせる)の部屋が減っていること、オープンキッチンが主流となったこと、高級グレードの新建材の使用頻度が減って、塗り壁や無垢材などの自然素材志向がより強くなったこと、規制緩和により半地下や小屋裏収納の面積が大きくなったことなどが挙げられると思います。 そして、展示場で接客する営業社員の体質も変わっていません。お客さんのご機嫌を窺うばかりで、この展示場の仕様だといくらかかるのか?と私が質問すれば、「独自の企業努力で、坪50~60万台で当社は可能です」とか平気で嘘をついてきます。私がハウスメーカー勤務時代、このような営業社員の言動の尻拭いをどれだけ行ってきたかを想い出すと、つい失笑せざるをえませんでした。 ところで、建築の設計という仕事に長く携わる身として、何回も展示場を回っていると、ふと思うことがあります。 最高級品の材料を使っているから何なんだと…。 これから住まう身となるお客様の想いをどれだけ実現できる技術があるんだと…。 そして、少なくとも私は、展示場から「思想」を感じ取ることができません。 建物の「思想」は建築主であるお客様と設計者との協働作業から生まれます。この過程を経ていない生産者の思い込みに過ぎない建物に何の意味があるのか、幸か不幸か、私にはよくわからないでいます。
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