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設計者の想いの日々(ブログ)2010年8月26日(木)建築士を持たない者のモラル欠如
住宅などの建物を建てるために、「間取り」や「外観」を考える「設計業務」は、商業的利得を得ようとして業者が行う場合、業務契約の締結の有無にかかわらず、「建築士」が責任を持って業務を遂行しなければなりません。あるいは、「建築士」の管理下の元、「建築士」を持たない者が補助的に業務を行っていくこともありえるでしょう。そして設計補助業務を実地で経験して学んでいき、「建築士」を取得していく、これも建築技術の継承の観点から見て、大事なことです。
ところが、「間取り」や「外観」を考えるという、いわゆる「設計業務」が、「建築士」を持たない者、あるいは、将来、「建築士」の資格を取得する気がさらさらない人間の手によって行われることが、とりわけ住宅業界で横行しています。 特にハウスメーカーやビルダー、地場工務店の営業社員がお客様のご機嫌を取りながら、無資格でいわゆる「設計業務」を行って、「間取り」や「外観」がまとまって契約の運びになれば、自社の設計部や下請けの設計事務所に確認申請や瑕疵担保保険のために必要な図面や書類などを作成してもらうという概略の流れが出来上がっています。 そして、この「建築士」を持たない者、将来、「建築士」を持つ気がさらさらない者が、自らの歩合給などのために行うモラル無い行為の数々には、酷い現状があると言わざるをえません。 建築的素養、建築基準法の知識がないのですから、モラルがないのも当然でして、狭い敷地に建蔽率オーバーの間取りを書く、隣地境界線から建物の離れが30cmしかなく、民法上訴訟の可能性がある、下手すると建物が敷地に入らない、玄関に入って真正面にトイレがある、2世帯住宅で1Fの寝室の真上に2Fのトイレがある、動線が滅茶苦茶、窓の無い居室、引渡し後に屋根裏を3Fの部屋に改造しようとする提案する、土地が決まっていないのに架空の図面を書いて契約を締結しようとする、どのお客様にもほとんど同じような間取りで押し通そうとする、お客様の機嫌を損ねたくないのでYESマンになりがち、そして、お世辞にも出来が良いと言えない間取りや外観をよく出来たと自惚れる、などなど枚挙に暇がありません。 昨今、姉歯元建築士による耐震偽装事件により、「建築士」としてのモラルの喪失がマスメディアに叩かれましたが、「建築士」を持たない者がもっぱら自らの利益のために、無資格で「設計業務」を行う法律を蹂躙するような建築士法違反にも今後メスを入れていくべきでしょう。 そして、「建築士」を持たない者、将来、「建築士」を取得する気がさらさら無い者が、「設計補助業務」という名目のもとに、「設計業務」を行うことを全面的に禁止すべきであると思います。 具体的に言えば、「設計補助」を行うための資格を創設して、それに合格した者でなければ「設計補助」を出来なくする、あるいは「2級建築士」を受験する要件を満たしている者であれば、「2級建築士」の受験を義務付けにして、合格基準点に達しなくても、「最低基準点」を設けて、それに達しない者は「設計補助」をできなくする等の方策が必要であると思います。 本来はこのような行政の改革を期待するのでなく、業界自らが襟を正すべきなのですが・・・。まだまだ道のりは険しいようです。孤軍奮闘という言葉はあまり使いたくありませんが、私は「建築士」の立場として、これからも正論を書き記していきたいと考えています。
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