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設計者の想いの日々(ブログ)2013年8月5日(月)全館空調システム
全館空調システムとは、リビング・和室・主寝室などの居室だけでなく、トイレ・洗面脱衣室・廊下等に至るまで、家の隅々まで、冷暖房を行き届かせるシステムのことを言います。
家の中では、どこでも温度差がほとんど無いので、非常に快適なシステムと言えるでしょう。 特に冬場の「ヒートショック」の現象が起こりくいのが全館空調の最大のメリットです。 ヒートショックとは、急激な温度変化が体に及ぼす影響のことです。室温の変化によって血圧が急激に上昇したり下降したり、脈拍が早くなったりする状態のことをいいます。 室温の変化にさらされた人間の体は体温を一定に保つために、血管が急激に収縮し血圧の変動や脈拍の変動を起こします。ヒートショックによって、心筋梗塞や脳血管障害などの病気になりやすくなり、一説によると、その影響により、年間1万人の方が亡くなっているとも言われています。このようなヒートショックがもたらす諸問題を解決し得るのが中高年齢層に優しい全館空調システムです。 全館空調システムは家一軒を室外機一台で賄います。個別空調と違って、室内の送風は非常に緩やかで、空調が作動しているのに気が付かないほど静粛です。電気代についても、個別空調の場合と、ほとんど差はないようです。 但し、全館空調システムは高気密高断熱仕様が前提となります。 このように全館空調システムは非常にメリットも多いですが、デメリットも当然あります。 一番のネックはやはり、その設置費用が高額なことです。平均的な住宅の規模、延床面積40坪程度で、150~200万程度はかかります。 また、冬場は過乾燥になりやすいので、数台の加湿器は必須になります。 それから、小屋裏などに機械室が必要になること、ダクトの配管スペースが収納スペースの角などに必要となり、その面積分がもったいないなどが挙げられます。 もう一点、私自身、設計者として懸念することは、空調に頼り過ぎた結果、四季折々の季節の感覚が鈍り、日本人的感性の喪失の原因となりうるということでしょうか。 この点につきましては、過去の私のブログ 自然の恵みに書かせて頂いています。 いずれに致しても、空調になるべく頼らず自然の恵みを最大限引き出すような工夫をするのか、あるいは一般的な個別空調を採用するのか、それとも全館空調システムによって健康に配慮するのか、どれを採用するかについては、建築主の裁量に委ねたいと私は考えている次第です。
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