設計者の想いの日々(ブログ)
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自然の恵み

鬱陶しい梅雨が明けました。

真夏日に家の窓から時折、入り込んでくる涼しげな風はまさに自然の恵みです。エアコンに頼らなければ、多少汗はかきますが、夏はそもそも暑いものですから、いかに工夫して、「涼をとる」かを先人の知恵から採り入れていくことが、これから益々重要になってくるであろう環境問題に対応するために必要なことだと思います。

エアコンに頼らずに夏の日を過ごすために、建物の設計上、もっとも考慮しなければならないことはいかに効率よく風の通り道を作っていくかということです。
居室に開口部が一ヶ所しかない場合、風の入り口はあっても出口がなく、「通風」が起こりにくくなりますので、開口部は二ヶ所取れるようにしたほうがベターです。居室に開口部が一ヶ所しか取れなくても、居室と続きになっている納戸などの最適な位置に開口部を設ければ、風が効率的に通っていきます。
どうしても開口部が一ヶ所しか取れない場合は窓から極力離れた位置に換気扇を取り付けてみてください。
夏の風は南側から入って北側から抜けていきますので、それぞれの敷地の条件を考慮しながら計画を立てていくことをお勧めします。

また、庇を深くとったり、すだれ(よしず)をつけることは夏の強い日射を避けるのに非常に有効です。
庇を深くとると、夏の太陽の高度は高いので、日射を遮り、冬は太陽の高度が低いので、庇が深くても陽射しが入り込んできます。和風の家以外で庇を深くする機会はなかなかありませんが、忘れてはいけないことだと思います。

文明の利器であるエアコンに完全に頼り、自然の恵みである涼風の体感を忘れてしまうと、四季の感覚が鈍り、日本人的感性の喪失の原因となります。
環境を考慮した設計上のより良き工夫で、自然の恵みを体感しながら、四季の折々が感じられるような家造りがこれから、ますます求められる時代になるだろうと私は考えています。
カテゴリ:建築雑感 2010年7月17日(土)
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