設計者の想いの日々(ブログ)
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永井昭夫
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住宅を計画するにあたって

今日は住宅を計画するうえでの基本中の基本についてまとめてみようと思います。

①玄関
玄関の正面もしくは玄関から見えるような位置に、トイレを配置しない。来客の際、失礼に当たります。
玄関の採光も考慮する。特に北側玄関の場合、とても薄暗いケースが多く見受けられます。

②階段
通常の場合、17段上がりが理想で、最低15段以上にする。一昔前は13段上がりが主流でしたが、これでは勾配がきつ過ぎます。また、一直線の階段(鉄砲階段)は避け、折り返し階段、L型階段にしてください。階段からの墜落死亡事故は相変わらず多いです。
また余裕があれば、通常の階段有効幅が75cm程度のところを90cmにすると、すっきりとした階段となります。たった15cmですが、侮れません。

③廊下
採光・通風に考慮する。これもおろそかにされがちです。また余裕があれば、通常の廊下有効幅75cm程度のところを90cmにすると、たった15cmの差ですが、余裕ある廊下になります。

④キッチン
キッチンと洗面脱衣室は家事動線を考慮して近接した位置にする。またアパート・マンションではないので、必ず、キッチンもしくはその近接した位置に勝手口をつけてください。ごく稀ですが勝手口のない家があるようです。キッチンと食器棚の間の距離は1m~1.2mが理想的です。

⑤トイレ
床面積を縮小したい場合でも、階段下スペースを利用したトイレは絶対に避けてください。毎日使用するトイレの天井が低いと非常に気分が悪いです。
また余裕があれば、衛生上考慮して手洗いコーナーをつけてください。トイレのドアは外開きにしたほうが万が一、中で倒れた方がおられた場合、救出するのに容易です。

⑥収納
収納は多いに越したことはありませんが、収納が多い家庭がきれいに片付いているかというと必ずしもそうではありません。収納に対する知恵というか哲学を持って計画すると、後で困りません。

⑦バルコニー、吹抜の手摺
意匠上、美観上は横に何段か走るような手摺がいいのですが、横型の手摺は子供さんが昇ってしまい危険を伴います。
相変わらず、家庭内の墜落死亡事故は多いようです。

⑧居室
採光はほとんどの場合、気にして計画するのであまり問題になりませんが、通風も考慮したほうがベストです。2箇所以上の窓があったほうが通風はしやすいです。
また居室の用途によっては必ずしも南側・東側に持ってこなくとも構いません。これは使用する方の価値観にも左右されると思います。「陰翳礼讃」という言葉もあります。
あと和室という空間もできれば大事にしたいですね。

⑨備品
家具やテレビ、パソコン、電話などの位置を決めて、計画をしてください。コンセント等の位置の失敗のもとになります。

⑩家相
現在は9割以上の方が気にされてないのが現状です。鬼門にトイレや風呂釜があってはならないとか、その他いろいろあるようですが、昔、トイレは汲み取りで衛生上問題がありましたし、風呂釜も直接火を使用してましたから、鬼門を避けるのもわかりますが、現在はトイレも水洗で、風呂も給湯器で電気かガスですから、過剰に気にする必要はないかなという気はします。でもこれは地域性、それぞれ皆、価値観がありますので難しい問題ではあります。

⑪バリアフリー
高齢者がおられなくても、極力、必要のない段差を無くす。つまづき等の家庭内事故は多いです。

⑫多少は余裕を持って
建物は単に部屋を押し込めばいいというものではありません。外部の自然との調和を考慮したり、飾り棚を設けたり、ちょっとしたゆとりは毎日生活するうえで重要な要素です。


甚だ、簡単な基本事項を纏めてみましたが、意外とおろそかにされている面も多いのが現状ですので、あえて書き記してみました。
カテゴリ:建築知識 2010年6月14日(月)

地盤調査

今回は主に一般的な木造住宅の地質調査についてお話してみたいと思います。
今から15~20年以上前、木造住宅で地質調査を行っていたのは一部のハウスメーカーくらいでした。精度にやや難がありますが、安価なスウェーデンサウンディング試験が採用され、軟弱地盤であるかどうかの確認をしていました。
当時は基礎も逆T字型(凸型)の形状の布基礎が主流で、現在の主流の基礎である「べた基礎」は軟弱地盤の場合のみ採用されていました。「べた基礎」とは土間に全て鉄筋を組んでコンクリートを打設して基礎を立ち上げる工法です。
スウェーデンサウンディング試験も3種類ありまして、手動、半手動、全自動型があります。15~20年前の主流は手動若しくは半自動型で、簡単に言えば、鉄の細い棒を地盤に刺して、重りを載せて、25cm沈下するのに鉄の棒が何回転するかを調査員が直接測定する地道な作業でした。調査の方も地質業界のプロで地質に関する知識も豊富でした。
当時の地質調査の結果は、盛土層が厚かったり、川沿いにある土地以外の場合は大半が3t/㎡以上で、現在からすれば簡易的な布基礎でも支障が無く、悪い結果で出たとしても2t/㎡でべた基礎を採用すれば問題がありませんでした。
べた基礎以外の地盤改良、杭工事はあまりなかったと記憶しています。

翻って、現在の地質調査の現状を見てみますと、瑕疵担保保険の影響もありまして、一般的な木造住宅の場合でも地盤調査を行っているケースが多いようです。建替の場合で、今まで既存の建物が何十年も建っていて、沈下の様子がなく、周りに川や水路がない場合は設計者の判断により地盤調査を省くことができますが、分譲地のような場合は今まで建物が建っていた実績がありませんので、地盤調査が必須となります。そこで安価なスウェーデンサウンディング試験の登場となるわけですが、15~20年前と違う点は全自動型の機械が普及してきたことです。この機械を使えば、地質の素人でも調査ができるようで、この調査報告に対する費用は原価で3~4万程度です。
全自動型が普及したことで、地盤調査の結果もだいぶ変わってきました。一般的な住宅地であっても、べた基礎では追いつかず、地盤改良や杭工事の必要有りの調査結果が半分前後を占めるようになったのです。
同じ分譲地内でも、お隣さんは地盤改良がいらないのに、こちらでは地盤改良が必要なケースがあったりで、調査会社によって結果も違うようで、私もそんな状況を多く見聞するうちに全自動型という機械は安全側に過剰に反応する機械ではないかという疑念を持つに至りました。
また調査報告書をよく読みますと、25cm程度少しでも悪い層が1箇所でもあると、地盤改良の必要有りの結果を出しているようです。
これも構造設計や地質調査の専門家の立場の方に詳しく聞けば、地盤とは点でなく面で受けるもので、25cm毎の調査結果の平均値を採用すれば問題なく、25cm一箇所少し悪い層があったとしても何ら支障はないとのことです。
またスウェーデンサウンディング試験の費用が原価で3~4万というのも、あまりにも安価で、2人で調査して移動時間込で半日かかって、さらに地質調査報告書を纏めるとなると、絶対に合わない金額だと思います。ただ調査会社が地盤改良工事を請け負えば、とても割が合うことになります。私が見聞するに調査会社が地盤改良を請け負うケースが非常に多いです。

これは私のケースですが、同じ現場で、調査会社を2社依頼したことがあります。一社にスェーデンサウンディング試験を依頼し、地盤改良工事が必要な旨の報告書が私の手元に上がってきました。またその会社は地盤改良工事も請け負っており、見積をお願いしたところ、100万前後の数字が出ました。
そこで、私はスウェーデンサウンディング試験より精度の高い標準貫入試験を地質調査を専門とする会社にお願いしました。標準貫入試験とはボーリング調査とも呼ばれ、大規模な建物の基礎を決定するのに採用されるものです。その調査は地質層の実際の土を採取できるので、精度にかなり期待ができます。その結果は非常に良好な地盤で、地盤改良の必要は全くありませんでした。調査費用にややお金がかかってしまいましたが、100万の地盤改良に比べれば、だいぶ安く上がりました。

その昔、住宅の基礎は玉石でした。それでも何百年と建っていた家はいくらでもあったわけです。
基礎に過剰に費用をかけるのはある意味結構なことではありますが、何ごともバランスが必要でして、他の費用を削ってまでも、過剰な工事をする必要はないのではないかと私は考えます。
カテゴリ:建築知識 2010年6月6日(日)

坪単価

ここで世間でよく言われている坪単価について、私なりに纏めてみたいと思います。
まず、建築基準法の「延床面積」、いわゆる確認申請提出時の床面積の算定についてからご説明してみます。
「延床面積」とは内部的用途に使用される部分の面積でして、いわゆる外部の面積、例えば、一般的なバルコニー、玄関前などのポーチ(壁や柱型等で囲まれた庇のある部分)は「延床面積」には含まれません。車庫は内部的用途になり、原則的には「延床面積」に含まれます。この「延床面積」はいわゆる坪単価の算定の根拠としては使用されません。

では坪単価の算定のために使用される面積は何かというと、「施工面積」とハウスメーカー等では呼んでいます。この施工面積の算定方法は各社が自由に決めているものであって、特に決まり事はありませんが、「延床面積」に入ってこない部分がここで計上されてきます。
吹きさらしの屋根なしバルコニーは面積の1/2を施工面積とする会社、バルコニー面積そのまま施工面積とする会社等、対応はまちまちです。
また、1Fの床から2Fの天井までの吹抜の空間は建築基準法上は1Fの床面積のみですが、空間が倍になるということで、「施工面積」では1Fの床面積の倍になる場合が多いです。玄関前のポーチ等外部はそのまま「施工面積」になります。
このようにして、「延床面積」と「施工面積」の開きが大きくなり、蓋を開けてびっくりというケースもよく見受けられます。

では坪単価に「施工面積」を掛け算すれば、建物の価格が算出できるかというと、そうではありません。ローコスト住宅会社等がよく使用する手法として、本体価格に対する諸経費15%前後というものが存在します。つまり坪単価30万で謳っていたとしても、自動的に34.5万前後かかるということです。それ以外の名称として、安全対策費、仮設費、設計費、申請費、外部給排水工事などが加算されて、どんなに安いローコストメーカーでも坪40万前後に納まるというのが相場のようです。この段階になって初めて、お客様ご希望の「オプション」が追加されていきます。

住宅展示公園に出展しているような大手・中堅ハウスメーカーは本体価格の15%諸経費という算出の仕方はあまりしないようですが、住宅展示公園に対する出展料と電気代だけでも年間1000万かかりますので、最低でも坪60万前後の価格がかかっているようです。
10年以上前ですが、私がハウスメーカー勤務時の最終的な平均坪単価は70万以上はかかっていました(東京・神奈川地区)。とにかく営業経費、人件費、設備投資費が莫大でしたから、やむをえない数字なのかもしれません。

では、設計事務所+工務店(建設会社)の坪単価の私なりの実績は、専用住宅で言えば、施工面積ベースで、坪45万~100万前後と言ったところでしょうか。
完全ローコストのご依頼はあまりありませんが、あらゆる価格層のお客様からのオーダーメイドですので、どうしてもバラつきは出てきます。
大きな事務所や倉庫となると、坪単価はかなり落ちてきます。飲食店は設備費がかなりかかりますので、住宅よりずっと割高です。
ただ、設計事務所+工務店(建設会社)では、いわゆる「坪単価」も「施工面積」の概念もあまりありません。実際の工事にいくらかかるかということです。
基礎・大工・屋根・板金・外壁・内装・電気・給排水・空調その他工事にいくらかかって、設計監理料が私の場合、工事費に対する1割以下ということです。明朗会計ですから、どこをどのように落とせば価格が落ちるか、私は私なりにわかります。

どのような工事費算出方法がお客様にとってベストなのかはお客様次第な面もありますし、これについてはまた別の議論にしたいと考えています。
以上、駆け足でお話しましたが、わかりにくい点がございましたら、メール等でお問い合わせください。
カテゴリ:建築知識 2010年5月28日(金)

生活総合技術

建物を設計・監理するために必要な技術を大きく分けるとすれば、2つの側面があります。一つは実務上の側面、つまり、実際に図面を作成し、そして工事監理する側面です。そのためには建築基準法、消防法などの建築に関連する法律に熟知し、構造の問題などを検討できる能力が問われます。また工事監理するにあたって、図面と照合して、不適合を見極める、現場を指揮する能力も必要です。これらはいわゆる「実務能力」と言われているもので、建物を設計するための基礎になるものです。

もう一つの側面は「生活総合技術」と私なりに勝手に名づけているものです。つまり、どういうことかというと、「建築」と「生活」は密接な関係があって、切っても切り離すことができないということです。「建築」とは人々が生活するために必要な空間、つまり建物という実用品を提供することが第一にあり、機能性が問われるのは言うまでもなく、人々がより充実した文化的生活を送ることを考慮に入れなければなりません。そして四季折々の風情を取り込みながら、元来、日本人が大切に守ってきた伝統を頑なに守りながらも、多様化した現代の価値観・美意識に対応できるだけの柔軟さをも兼ね備えることが必要です。

この「生活総合技術」を培うのがとても大変で、一筋縄ではいきません。「建築」の分野にとどまらない素養が求められます。
私が習っている茶道も「生活総合文化」と呼ばれ、単にお茶のお点前ができればそれでいいかというと、決してそうではなく、歴史、陶芸、工芸、和装(着物)、和菓子や和食、生け花など周辺の分野の素養も必要になってきます。
「建築」も茶道と同じで、広範な素養が求められるということです。
何ごとも、実際に「見る」「聞く」「触れる」という経験を通じ、いわゆる、すぐ忘れてしまいがちな細かい薀蓄・知識を蓄積するのではなく、「感性」を磨いていくことが大切です。その「感性」が咄嗟の判断力が必要な場面で威力を発揮します。
建築設計・工事監理業務は適切な判断力がないと良い仕事ができません。プラン立案からお客様との打ち合わせ、工事業者との折衝から会議に至るあらゆる場面で、「判断」の連続に次ぐ連続と言って過言ではありません。その「判断」の積み重ねが建物の品質に影響するのです。

そういうわけで、私は何の脈略もないかのように見える様々な分野、例えば、茶道、生け花、陶芸、福祉、文学、哲学、歴史、美術、食べ歩きなどなど、多くの分野を「見て」「聞いて」「触れて」、感性を磨き、「生活総合技術」を培って、「ライフトータルエンジニア」への道を着実に歩んでいきたいと考えています。
カテゴリ:当設計事務所の姿勢・信条 2010年5月17日(月)

つつじ~茨城県笠間市

茨城県笠間市のつつじです。















カテゴリ:茨城県央の町並み・建築・施設探訪・自然・文化 2010年5月10日(月)
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