設計者の想いの日々(ブログ)
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永井昭夫
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バランス感覚

「いけばな」の稽古では、型や決まり事が基本的にない現代的な「自由花」と、江戸時代から続く和室の床の間に飾るような伝統的な「生花」の2種類を学んでいます。もう一つ、「立花」という室町時代から続く「いけばな」があるのですが、こちらは上級者向けなので、まだ私は習っていません。

「自由花」はこんな感じの「いけばな」です。


アリアムリーキ スターチス カーネーション


ゆきやなぎ ガーベラ スィートピー ゴット

現代的な「自由花」といっても、やはり伝統的に続く「いけばな」が持っている「花」と「花」の間(あいだ)の「間(ま)」の要素を採り入れながら、型のない自由な現代性を表現しようとしています。



対して、「生花」はこのような雰囲気です。


リアトリス ハラン トルコききょう


アガパンサス オクロレウカ トルコききょう 

二つに共通する「型」があるのがおわかりいただけるでしょうか。「生花」には「真」「副」「体」と3種類の役があります。「真」は中心にあり、「副」は左斜め後ろ、「体」は正面の低い位置にあります。この「生花」というのも、その骨格は残しながらも現代的な要素を採り入れたもの、伝統的な「型」を守っているものとがあります。


このように「いけばな」はその伝統を守りつつも、新しいものにチャレンジして、550年の歴史を刻んできました。
「建築」の世界もきっと同じなのではないでしょうか。伝統をないがしろにして、現代風に走り過ぎても、足元が覚束なく、一過性のものに終わりがちですし、伝統を頑なに崇拝するあまり、硬直性を生み出した結果、その時代に対応し切れないで自滅してしまうこともありうると思います。
「伝統」と「現代性」のバランス感覚を磨くことが我々、建築の設計に携わる者の使命であります。少なくとも、私はそう考えています。
カテゴリ:設計者の日常 2010年7月16日(金)

大和撫子

なぜか、「いけばな」という大和撫子なる世界に入り込んで、早や2年、気がつけば、100回近く、花を生けてきました。「いけばな」の持つ「花」と「花」のあいだの「間(ま)」の空間を、是が非でも習得して、「建築」の仕事に生かそうという試みなのですが、奥義を垣間見るどころか、まだ門戸を叩いているような段階で、頑張れば誰でも上手く花を生けれるものではないことが薄々わかってきました。
折角の機会なので、恥ずかしさはありますが、批判は覚悟のうえで、稽古で生けてきた画像を公開してみようと思います。


オクロレウカ バラ レースフラワー ソリダスター


ひまわり カラジウム とるこききょう


ポインセチア レースフラワー ひば


レースフラワー チュ-リップ カーネーション


ガーベラ デンファレ サンダーソニア ミスカンサス アストランティア ベコニア
カテゴリ:設計者の日常 2010年7月14日(水)

社会貢献と設計事務所

20代~30代前半にかけては雇われる身に立場を置き、建築の仕事に人一倍邁進していたと思います。この世界で、今後、独立して、やっていけるのだろうかと絶えず不安を抱えていましたので、ハウスメーカー時代は要望のとても多いお客様を率先して担当し、設計事務所勤務時代は経営者の立場から見れば、採算度外視だと愚痴られるほど、設計監理業務に全力を注いで仕事をしてきたと自負しています。

そんな時代を現在、振り返って、決定的に足りなかったことがあります。それは建築の世界を超えた社会人としての教養の無さ、仕事に邁進し過ぎがために利己主義に陥ったことなどが挙げられると思います。
建築の世界以外のことで、「永井さんはどんな花が好き?」とある人に質問されても、「花なんて関係ねえよ」という精神的余裕の無さですから、教養が無く、利己主義に陥ってしまう状態になるのも、やむをえなかったのでしょう。
このような高度成長に走ったがゆえのひずみに、やっと気がついたのは独立して数年経過した、ここ2~3年のことだと思います。

話はさかのぼり、20年以上前の学生時代の頃の話です。その頃は伝統的な文学や哲学書などを読み耽り、大酒を飲んではクダを巻いて、議論を吹っかけては、友人を困らせたものです。そんな机上の空論にも次第に飽き、人に偉そうなことを言って悦に入っているくらいなら、実際に物を造っていたほうがはるかに充実する人生なのではないかと思い始めました。世は当時、バブル絶頂で、仕事はいくらでもありました。そんなこんなで建築業界に入って、昼も夜も一生懸命働いて、無事、一級建築士を取得し、苦心惨憺の末、設計事務所を独立するに至ったわけです。

独立後、やや精神的な余裕も生まれ、学生時代読んだ伝統的な文学や哲学書を改めて読み返してみて気がついたことがあります。建築も文学も哲学も人間の生活に密着した分野だということです。物を書くのも物を造るのも、人間の生活についてを前提にしているわけで、相通じるものがあるのではないかと思い始めました。例えば、伝統的な日本建築と日本文学の共通性は谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」に最も明瞭に現れています。

このあたりから日本の伝統の探求が始まりました。茶道を習うことで、当時の茶室建築や「茶の湯」の精神性を勉強したり、華道を習うことで、花の美しさを感じる心の余裕を持って、「生け花」の空間の「間」の生かし方を建築に応用できないものかと考えたりするわけです。
やっとですが、建築士の領域を超えて、社会人としての教養を身に付けたり、お客様をもてなす心を茶道から学んで、利己主義から脱する努力ができるような位置に立てたと思います。

そして、これから将来生きていくうえでのテーマとして、日本の伝統を守ることを主眼に置いて、建築士として、また一人の社会人として、「社会貢献」をしていくことが重要になってくるのではないかと思います。まだまだ、「設計事務所」の現状での仕事と「社会貢献」は乖離しているかもしれません。
しかし、学生時代の読書生活と20代~30代前半の猛烈な仕事の生活が現在になって少しずつ融合しつつあるように、「社会貢献」と「設計事務所」の運営が渾然一体となるような努力をこれから推進すべきではないかと思います。それはいわゆる「設計事務所」の範疇を超える部分もあるかもしれませんが、これが私の人生の指針であると現在は考えています。
カテゴリ:当設計事務所の姿勢・信条 2010年7月11日(日)

家造りは楽しく

基本的に、家造りというものは楽しいものです。ゼロの状態から諸条件や希望を整理して、打ち合わせをしながら、少しずつ積み上げ、築き上げて、家の形の輪郭がだんだん明瞭になっていく過程を積極的に楽しんでいくことは、より良い家が出来る秘訣だと思います。

お店で商品を何種類からか選択して決定するような取捨選択の感覚を思い切って捨ててみて、漠然とでもいいので、何かを造り上げていこうという率直で前向きな気持ちが大切です。

もちろん、如何ともし難い現実を突きつけられる場面に遭遇することもあるでしょう。造り上げる喜びばかりではないかもしれません。
理想と現実のギャップに悩まされる日々を送る時期を乗り越えていくためには、より良きパートナーたる建築士が必要です。
提案力に優れ、柔軟な対応力を持ち、コスト管理能力を兼ね備え、生活総合技術者たる建築士を探してみてください。

そんなパートナーとして選んでいただけるような技術ある建築士となるべく、当事務所は日々、努力を重ねています。
家造りにハッピーに楽しく取り組めば、苦も苦でなくなり、大変だったことも将来には良い想い出になります。
貴重な人生のイベントとしての家造りを思う存分楽しむことをお勧めいたします。
カテゴリ:当設計事務所の姿勢・信条 2010年7月10日(土)

珪藻土

珪藻土という塗り壁の材料が出来てから15年以上経ったでしょうか。約15年前は、業者から「珪藻土って何?」、「どうやって塗るの?」、「施工しにくい」、「建材屋で扱っていない」、「割れやすい」などの声もあり、四苦八苦しながら、工事の監理をしていました。珪藻土の施工実績がないせいか、業者から出てくる見積も非常に高く、なかなか手の出しにくい材料でした。
その後、シックハウス対策、そして、自然素材のブームもあって、次第に珪藻土もだいぶ身近な材料になってきました。また、後継者育成に力を入れる左官業者にとって、珪藻土は救世主たる存在になりました。いまどき、珪藻土が塗れない左官業者ではお話にならない時代です。

珪藻土とは多孔質の材料で、ビニールクロスと違って、調湿性や保温性がある塗り壁材です。近年の自然素材ブームの一翼を担った材料と言えるでしょう。無垢材との組み合わせで相性もよく、飽きが来ないという声も多く、また、とても汚れにくい特質を持っています(手が触れやすいスイッチ廻りは汚れやすいです)。壁の割れの対策も下地処理を十分に行うことで解消がほぼ可能です。

ただ、珪藻土は珪藻土そのものには接着能力がなく、バラバラな状態なので、塗り壁材として活用するためには、固化材が必要になります。この固化材として、消石灰、樹脂などが使用されます。
ここで注意が必要なのが、固化材として、樹脂を使用した場合です。樹脂を珪藻土という多孔質の材料に混ぜると、折角の多孔質が塞がれてしまい、調湿性を著しく損ねる原因となります。これでは、珪藻土という土を壁に塗っているだけで、機能的には問題が多いと言っていいでしょう。店舗など意匠性を優先する場合であれば、使用しても差し支えないないという考え方もありでしょうが、機能性が大きく要求される住宅には不向きであると思います。固化材にアクリル系の樹脂が使用されるケースは意外と多いようです。

だいぶ、珪藻土メーカーも淘汰されたように思いますが、珪藻土をほんの少ししか混ぜない粗悪品もまだあるようですので、珪藻土の選定にあたっては、信頼のおける建築士に相談するなどして、十分に注意を払うことをお勧めいたします。また既存のビニールクロスのうえに珪藻土を塗ることも可能だったり、出来映えは保証できませんが、既に水が混ぜてある調合済の珪藻土でお客様自身が塗ることを想定した製品もあるようです。リフォームにも最適な材料だと言えるでしょう。

ただ、イニシャルコストとして、珪藻土はビニールクロス貼の3倍はしますので、コスト管理には注意が必要です。ただ、私見としては、長いスパンで考慮すれば、決して安くはないにしても、高過ぎることのない材料であるとは思います。優れた機能性は捨てがたいのではないかと考えています。

珪藻土の施工例の画像です。



カテゴリ:建築素材・材料 2010年6月28日(月)
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