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設計者の想いの日々(ブログ)すべて横浜の傾斜マンションを考える
横浜の分譲マンションが傾斜したという報道が過熱しています。
マスコミが本質を掴まず、過剰に旭化成叩きを行っているようにも感じますので、この問題について、手短かではありますが、当事務所なりの見解を述べたいと思います。 まず、杭の長さを設計上2m短く設定してしまい、支持地盤に達しなかったことは地盤調査の甘さと構造設計のミスによるものです。 横浜市、あるいは川崎市もそうなんですが、あの辺は傾斜地が非常に多く、支持地盤がどこにあるのか確定させるのは簡単なことではありません。 ですから、構造体の基礎の設計を行うに当たっては地盤調査の甘さは致命傷になります。 工事着工前の設計段階の時点では旭化成は全く悪くないと思います。 悪いのは設計をした「三井住友建設」です。 そして発注側の「三井不動産レジデンシャル」からコスト削減圧力と工期短縮について要請があったことでしょう。 「三井住友建設」も手間暇かかるのは面倒ですし、さっさと工事を行って資金を回収するため、肝心な構造設計とそのベースとなる地盤調査がいい加減になったと推測できます。 このあたりの構図は「設計」と「施工」の癒着、「設計施工一貫方式」の弊害と呼ばれるもので、ごく一般的なことであり、ここに施主(発注側)が加わってコスト削減という名の元に手抜き工事が行われることも珍しいことではありません。 大人の諸事情により、発注者、設計、施工が三者一体となり馴れ合うわけです。大型物件であろうが、戸建住宅のような小型物件であろうが、公共工事であろうが、大きな会社であろうが、小さな会社であろうが、このような構図は多く見受けられます。 そして、今回の杭を実際に施工した旭化成建材ですが、大きな会社ではありますが、元請のゼネコンからの圧力に晒される下請(孫請)という弱い立場にあり、改竄を行ったことは致命的であり、会社の存亡に係るような事態ですが、やはり最終的な責任は元請にあると思います。 建築主(施主)と直接契約したのは元請である「三井住友建設」なのです。下請の過失をかぶる度量が無ければ元請ではなく、単なるピンハネ屋です。 これから行政による監視強化策が打ち出されて法改正が行われると思いますが、それだけでは不十分な可能性が非常に高く、今回、元請と利害関係のない第三者たる、目の利く建築士が介在していれば、このような事態は防げたのではないかと私はふと感じました。 「物を造る」のは決して「会社」ではなく最終的には「人」なのです。 追記 旭化成の「へーベルハウス」の家が常総市で起こった鬼怒川の洪水に耐えて賞賛されましたが、「へーベルハウス」だから耐えたのではなく、「重量鉄骨造」が水の横の大きな力に対して耐えたということです。いわゆる「S造」と呼ばれますが、「木造」と同様、ごくごく一般的な工法です。
次々と失われゆく文化遺産
歴史的建造物が集積する土浦市中城通り(旧水戸街道)付近で、現在、昭和初期の貴重な文化遺産が失われつつあります。
この建築物は空き家の時期がしばらく続き、つい最近、とある不動産業者が競売により落札し、即解体という運びとなりました。 時代の流れなのか?それとも単なる無節操・無見識なのか? 少なくとも、現在のスクラップ&ビルドの風潮は、ヨーロッパや昔の日本が持っていたリノベーションの精神から程遠いものです。 そして特に現在の住宅に関して言えば、文化的価値のない、しかもコストパフォーマンスの低い単なる組立品による箱物が主流を占め、「経年変化」に伴って、味わいを増すような建築物は殆ど造られていないと言っていいでしょう。ただただ「経年変化」ならぬ「経年劣化」を待つのみの文化的価値が全く認められない箱物に住んでいて、どうして日本国憲法第25条で定められているような「健康で文化的な最低限度の生活」を営むことが出来るのでしょうか。 このような精神的な不健康さと文化的貧困が戦後経済的に豊かになっても、日本人の閉塞状況を生み出し、自殺者が年間3万人にも上るようなことになっているのではないかと私は考えている次第です。
千葉県大多喜町~房総の小江戸
房総半島の東南部に位置する千葉市大多喜町は戦国時代から城下町として栄え、江戸時代には大多喜藩が置かれて交通の要衝となり、宿場町としても発展した町で、小林一茶、十返舎一九などの文人墨客が訪れた記録が残っています。
現在でも地味ながらも、往時を偲ばせる雰囲気が残り、「房総の小江戸」とも称されます。 町の高台に鎮座する大多喜城は明治になって取り壊されましたが、1975年に天守が復元されて博物館として利用されています。 1849年に建てられた重要文化財である渡辺家住宅や明治初期建築の登録文化財である豊乃鶴酒造などをはじめとして、土蔵造りの商家や板貼りの家が大多喜街道沿いとその周辺に多く残り、地域住民の方々の町並み保存への意識の強さが感じられます。 渡辺家住宅 豊乃鶴酒造
土蔵改修工事~中塗り・漆喰上塗り
築100年の蔵の改修工事が始まって約2年が経過し、先週、無事完成しました。
今回の土壁塗りの工程「竹小舞」「荒打ち」「縦縄入れ」「横縄入れ」「斑(むら)直し」「中塗り」「漆喰上塗り」と続くうち、昨年11月に「斑(むら)直し」まで終了し、冬場、養生期間に入り、今年春から「中塗り」に入りました。 「中塗り」とは最後の仕上げの「漆喰」を塗るために下地を平滑にする工程です。 養生期間を置いて、「漆喰」を塗っていきます。漆喰は麻すさと角又(つのまた)と消石灰を手練りで作っていきます。 現在の漆喰は手練りでなくても既製品があるのですが、日本製の場合、樹脂が混ざっていることが非常に多く、土壁との相性も悪いので、敢えて「手練り」にこだわっています。 杉板を張って、ついに完成しました。
建築士会広報~街並みの景観と空き家(店舗)の活用を考えるワークショップ開催
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