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設計者の想いの日々(ブログ)建築素材・材料自然素材で塗装する
珪藻土や漆喰のような左官で仕上げる塗り壁のコストはビニールクロス貼の約3~4倍です。建築物全体のコストを考慮すると、全ての部屋を珪藻土や無垢材などのような自然素材で仕上げるわけにもいかず、安価なビニールクロス貼に頼らざるをえない側面があるのが現実だと思います。
そこで、今回は珪藻土とビニールクロス貼の中間の価格に位置する自然素材の塗装について取り上げてみます。珪藻土などのような左官仕上げの場合、コテで丹念に仕上げなければならないので、その分、コストが上昇してしまうのですが、塗装の場合、ローラーなどで仕上げることができるので、作業効率が割合スムーズで、左官仕上げと比較するとコストダウンが可能になります。 ①タナクリーム 「土佐漆喰」の老舗の製造元である高知の田中石灰工業の製品です。成分は日本伝統の漆喰(しっくい)壁と同じ消石灰で、ローラーで塗ることができます。漆喰壁のイメージですと、白壁ですが、顔料を混ぜることで着色も自由に行うことができます。 http://www.tanacream.com/ ②ほたての貝殻・もみ殻のリサイクル品 ほたての貝殻やもみ殻の素材は珪藻土と同様に多孔質で、調湿作用があります。約10年前、私が設計事務所勤務時代、某コミュニティセンターで大量に使用したことがありますが、自然の優しい色合いでした。ローラーで塗ることができます。 「チャフウォール」http://www.j-chaff.com/ 「シェルコート」http://www.ecopro.jp/eco/shell.html ③自然粘土塗料(クレイペイント) こちらは環境に厳しい国のドイツで生まれた製品です。文字通り、自然の粘土をベースにした塗料で、欧州の「EUエコラベル」の認定を受けています。既存のビニールクロスの上からも塗ることができます。こちらもローラーで塗ることができます。色も比較的自由に選択できます。 http://www.jo-mon.co.jp/
複層ガラス(ペアガラス)
複層ガラスは「単板ガラス+中空層+単板ガラス」で構成されていて、いわゆる二重ガラス、ペアガラスと呼ばれる結露しにくい断熱性に優れたガラスで、2000年の頃は、まだ値段が高く、新築の建物で5%程度の普及率でしたが、時代の要請による省エネの高まりに伴い、この10年で一気に普及しました。
ペアガラスは単板ガラスと比較して、確かに断熱性に優れておりますが、遮音性にも優れていると誤解されている側面もあるようです。 ペアガラスと単板ガラスを比較した場合、中低音域では共鳴現象により、ペアガラスのほうが遮音性に劣ります。 一級建築士の学科試験にも、この手の問題が出題されている位なので、年配の一級建築士や大手ハウスメーカーの営業や監督、お施主さんでも勘違いしている方々が多く見受けられるのもやむをえないかと思います。 但し、ペアガラスでもある程度の遮音性を持たせることは可能で、異なった厚みのガラスの組み合わせをすることで共鳴現象を抑えることができて、この場合、外部側のガラスを厚めのガラスにしたほうが効果的です。あるいはアルミ+樹脂の複合サッシとした場合も共鳴現象を抑えることができます。つまり、異種の組み合わせをすることで共鳴現象を抑えていくわけです。また、最近では遮音用のペアガラスも発売されているようです。 ただ本格的にサッシ部で遮音を考慮するのであれば、ペアサッシ、つまりサッシを二重化することがいちばん効果的です。もちろん、断熱性もペアガラスと比較して飛躍的に向上します。ちなみに、既存の建物に内窓を取り付ける工事、つまり二重サッシとするための工事は住宅エコポイントの対象となります。
無垢材
考えてみれば、日本には、主に構造材や内装材として、多くの木材、いわゆる無垢材が市場に流通しています。
日本の代表的な樹種である「杉」や「檜」は構造材や、床・壁・天井の内装材や造作材として多用され、産地もほとんど日本全国各地にあります。そのほか国産の無垢材としては、かつては梁などの材料で多用され、現在は信州や岩手産が多く、主に内装材として流通している赤松や唐松などの「松」、木材らしい香りがするけど値段も非常に高い青森産などの「ヒバ」、玄関の式台や上り框(かまち)などに使われる銘木としての「ケヤキ」、今は希少価値ですが、昔は線路の枕木として使われ、拭き漆で仕上げると綺麗な「栗」、集成材としての用途が多い北海道産の「タモ」、檜の親戚である「サワラ」、和室の床柱に至っては、「槐(えんじゅ)」、「花梨(かりん)」、「黒柿」、「一位(いちい)」、「榁の変木」など、銘木が沢山あります。 輸入材では、現在、構造材である梁の材料で主流となった北米産の「米松」、土台や造作材で使われる同じく北米産の「米ヒバ」、用途が雑種な「米栂(べいつが)」、日本ではほとんど枯渇した、床材の用途が多い堅木である中国産の「ナラ」や「サクラ」そして「栗」、内装材として使われる中国にもある「杉」、かつては日本でも大量に採れましたが、今は中国や南米からの輸入が主流で、タンスのような家具や寝室や押入の内装に使われる、比重が小さく発火しにくい「桐」、バンブーフローリングと呼ばれる床材としての「竹」、高級品として世界でも名高い東南アジア産の「チーク」、赤身、白身、赤白(源平)とあって、主に床材に使用される「ラオス松」、最初は白っぽいですが、徐々に飴色に変わる北欧産・内装材である「パイン」、世界三大銘木の一つで、床材やテーブルに使用される欧州・北米産の「ウォールナット」、集成材の柱としてハウスメーカーで多用される北欧産のホワイトウッド、日本や中国ではナラと呼ばれ、主に欧州産の床材である「オーク」などなど、無数にあります。 無垢材の仕上げ方は、アクリルやウレタンでコーテイングしてメンテナンス性を重視した製品や、オイルやワックスで素材感を出す仕上げ方、無塗装のもの、あらかじめ着色された製品、珍しいところでは、前述のような漆、藍染で仕上がった製品もあります。また、床暖房に対応した無垢材も檜やナラなど各社が多くの樹種で開発していて、その方法としては、無垢材の含水率を0%に限りなく近づけて、その後、含水率を確か10%前後だったかな?、そのくらいに戻していって商品化しているようです。 このように、無垢材を勉強すると際限が無く、材木屋が一人前になるには最低でも10年以上かかると云われる所以です。 かくいう私も、無垢材の勉強に余念のない時期があって、カットサンプルを随分収集したものです。目移りするほどの無垢材から自分の好みというか感性に合ったものを選び出すのは簡単なことではありません。 最近では、これだけ多くの樹種の無垢材があるということは、人間にも色々な人々がいるのと一緒で、キリがなく、結局、人との「縁」ではないですが、無垢材にも「縁」があるのではないかと思うようになりました。「縁」を考えると、接する機会が多い理由で、日本の「杉」や「檜」ということになります。ただ、これは「縁」ですので、人それぞれ違うかと思います。 長くなりましたので、無垢材については、また別の機会に、また別の視点で、書き記していきたいと思います。
珪藻土
珪藻土という塗り壁の材料が出来てから15年以上経ったでしょうか。約15年前は、業者から「珪藻土って何?」、「どうやって塗るの?」、「施工しにくい」、「建材屋で扱っていない」、「割れやすい」などの声もあり、四苦八苦しながら、工事の監理をしていました。珪藻土の施工実績がないせいか、業者から出てくる見積も非常に高く、なかなか手の出しにくい材料でした。
その後、シックハウス対策、そして、自然素材のブームもあって、次第に珪藻土もだいぶ身近な材料になってきました。また、後継者育成に力を入れる左官業者にとって、珪藻土は救世主たる存在になりました。いまどき、珪藻土が塗れない左官業者ではお話にならない時代です。 珪藻土とは多孔質の材料で、ビニールクロスと違って、調湿性や保温性がある塗り壁材です。近年の自然素材ブームの一翼を担った材料と言えるでしょう。無垢材との組み合わせで相性もよく、飽きが来ないという声も多く、また、とても汚れにくい特質を持っています(手が触れやすいスイッチ廻りは汚れやすいです)。壁の割れの対策も下地処理を十分に行うことで解消がほぼ可能です。 ただ、珪藻土は珪藻土そのものには接着能力がなく、バラバラな状態なので、塗り壁材として活用するためには、固化材が必要になります。この固化材として、消石灰、樹脂などが使用されます。 ここで注意が必要なのが、固化材として、樹脂を使用した場合です。樹脂を珪藻土という多孔質の材料に混ぜると、折角の多孔質が塞がれてしまい、調湿性を著しく損ねる原因となります。これでは、珪藻土という土を壁に塗っているだけで、機能的には問題が多いと言っていいでしょう。店舗など意匠性を優先する場合であれば、使用しても差し支えないないという考え方もありでしょうが、機能性が大きく要求される住宅には不向きであると思います。固化材にアクリル系の樹脂が使用されるケースは意外と多いようです。 だいぶ、珪藻土メーカーも淘汰されたように思いますが、珪藻土をほんの少ししか混ぜない粗悪品もまだあるようですので、珪藻土の選定にあたっては、信頼のおける建築士に相談するなどして、十分に注意を払うことをお勧めいたします。また既存のビニールクロスのうえに珪藻土を塗ることも可能だったり、出来映えは保証できませんが、既に水が混ぜてある調合済の珪藻土でお客様自身が塗ることを想定した製品もあるようです。リフォームにも最適な材料だと言えるでしょう。 ただ、イニシャルコストとして、珪藻土はビニールクロス貼の3倍はしますので、コスト管理には注意が必要です。ただ、私見としては、長いスパンで考慮すれば、決して安くはないにしても、高過ぎることのない材料であるとは思います。優れた機能性は捨てがたいのではないかと考えています。 珪藻土の施工例の画像です。
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