設計者の想いの日々(ブログ)
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永井昭夫
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建築素材・材料

国産畳にこだわる

高級畳表「和の栖」:熊本産 生産者:中田繁紀さん


備前表 優雅
この畳表は減農薬で有機肥料を多く使用し 栽培したイ草を約七千本使用し 心をこめて丁寧に織り上げました。
生産者 杉田 憲明さん

熊本産の減農薬・有機栽培のい草を備前(広島)で天然染土を使用して織り上げ、い草の量は1畳あたり通常の倍である7000本が使用されており、畳床は今では希少となった稲藁で作られている こだわりの畳です。稲藁床は、現在の主流である新建材で作られた畳と比較して弾力性に富み、人に優しい作りです。


現在のい草は中国産が7〜8割のシェアを占めております。農薬たっぷりのい草を人工着色で緑色に染めているのが中国産の現状です。
ここまで中国産のシェアが増えると、良心的な畳屋さんや工務店でもない限り、黙っていれば中国産の畳となるのも必然と言えるでしょう。
ハウスメーカー・ビルダーの部類の会社の畳は単価引き下げ要求が強いため、協力業者となっている畳屋さんが選択の余地なく中国産を使用せざるをえません。
また、中国産のい草は国産と比較して腰の強さがなく脆弱なものが多いようです。
農薬や畳を染める安易な着色料を大量に使用することで手間を省くような畳を使用することは日本文化の破壊行為と言って宜しいかと思います。い草本来の性質を生かすためには、人工着色でなく、「天然染土」というもので、「泥染め」をすることが必要です。
見た目としては、中国産と国産とでは大きな違いはありませんが、その品質には大きな差があります。
カテゴリ:建築素材・材料 2014年10月17日(金)

羊毛断熱材

羊毛断熱材は、断熱性能が高性能16Kグラスウールと同等で、自然素材ゆえに調湿性能に優れ、壁内の内部結露対策に効果を発揮し、日本の高温多湿の気候の宿命である「湿気」と共存しうる断熱材で、防露認定を取得しています。
また3世代にわたって使用できる耐久性と防音性、防火認定を取得し、難燃性に優れるなどの性質も持ちます。防虫対策としては、100年効果が持続すると言われる、食塩と同じ岩塩から抽出した「ホウ酸」を使用しています。
このように、人と環境に優しい非常に優れた羊毛断熱材ですが、問題はコスト面で、以前より安くなったとはいえ、高性能16Kグラスウールの2倍以上の材料費がかかります。

  

カテゴリ:建築素材・材料 2014年6月23日(月)

本漆喰

昔ながらの現場練りの漆喰です。今回は、栃木県産の塩焼き消石灰に北海道産の角叉(つのまた)、栃木産の麻すさを混ぜて、丹念に攪拌して練り上げていきます。この方法は100%自然素材の漆喰です。
現在の漆喰はそのほとんどが既調合の袋詰めの製品で塗られていますが、樹脂入りのものが多いようです。樹脂入りの漆喰は、下地にすぐ付着しますが、剥がれるのも早いようです。
今回の漆喰の原料となる「塩焼き消石灰」は、石炭と少量の塩を使って石灰岩を低温で時間をかけて、じっくりと焼き上げます。粒子が不均一で粗めで、クラックが入りにくい強度のある漆喰を作ることが出来ます。
現在は、低温で焼いた「塩焼き消石灰」ではなく、重油で石灰岩を高温で焼き上げ、自動機械を使って大量生産をした「油焼き消石灰」を既調合漆喰の原材料として使用することが多く、粒子が細かく均一なのでクラックが出やすく強度が低いと言われています。強度が低いため樹脂で補強することになります。
北海道の海藻である角叉(つのまた)を現場で炊いて煮出して、塩焼き消石灰を固めるのりを作ります。
栃木県産の麻すさは、壁の補強・亀裂防止の役目を果たし、曲げ強度を上げ、弾力性がつき、作業性を向上させます。
このような漆喰を「本漆喰」と呼んでいます。

塩焼き消石灰と麻すさと角叉(つのまた)を混ぜて、丹念に攪拌して練り上げている様子
カテゴリ:建築素材・材料 2014年4月8日(火)

床にコルクを貼る

床に弾力性・耐衝撃性・遮音性を持たせたいということであれば、コルク貼はとてもお勧め出来る素材です。キッチンなどでの長い時間の立ち仕事でも、足が疲れにくく、人に優しい素材と言えるでしょう。
また、コルクは天然素材ですから、自然の風合いを楽しむことが出来ます。
その表面の仕上け方も様々で、ひまわりオイルなどのワックスを塗布して、コルクの生地を最大限に生かしたり、または水掛かり部分への配慮や、長期間のメンテナンスを考慮して、アクリルウレタンを施してある製品もあります。コルクの色も豊かで、その焼き込み時間の差により、濃淡を出します。床として使用されるコルクの厚みは3~7㎜程度です。
コルク内には無数の気泡があるため、保温性・断熱性も持ち合わせおり、床暖房を装備することでさらにその特性を伸ばすことも可能です。
また、ワインのコルク栓に使用されているように、耐水性もあります。
このようにメリットも非常に多い素材ですが、デメリットとしては、やはりコスト面です。檜の節有りのフローリングよりは高いですが、檜の無節・上小節のフローリングよりは安い、その間の価格です。但し1~2坪程度の小面積の場合は、さらにコストは跳ね上がります。

コルク製品は、ポルトガル、スペイン、南フランス及び北アフリカなどの地中海に面した地域に群生しているコルク樫の樹皮から生産されます。
コルク樫は150~200年の寿命を持ち、植樹後25年前後から樹皮の収穫が可能となり、9年毎に新しい樹皮を収穫することが出来るので、再生持続可能な環境に優しい素材です。

実例1
築15年のマンションで、既存のフローリングがコンクリートの下地に直貼りするタイプのものであり、床が硬めでクッション性に乏しい状況を解消するために、弾力性に富むコルクを採用した例


実例2
保温性・断熱性を確保するため、洗面脱衣室にコルクを採用した例
カテゴリ:建築素材・材料 2013年9月29日(日)

西ノ内和紙

先日、西ノ内和紙を扱っている、常陸大宮市にある「紙のさと資料館」に行ってきました。
  
現在の常陸大宮市である、旧山方町西野内地区では、水戸光圀が和紙の生産に力を入れ、水戸藩内に、和紙の原料となる、楮(こうぞ)を植えさせて奨励し、現在の東京である江戸の大きな需要に応えて、強靭な和紙を生産し、やがて「西ノ内和紙」として有名になりました。
「西ノ内和紙」は、那須楮(なすこうぞ)と呼ばれる上質な楮を使って、勢いの良い流し漉きで生まれる、やや薄い楮紙(こうぞし)で、強靭で、虫もつかず、保存するのに適した紙です。
現在は無形文化財となり、地場産業の復興のために、その普及に努めています。

「西ノ内和紙」は、フスマ紙の大きさである3×6尺(約900×1800㎜)で、その材料価格は5千円前後ですが、2×3尺(約600×900㎜)の大きさであれば、一枚500~750円と、安価で買うことが出来ます。
この安価な600×900㎜を利用して、壁や天井の仕上材として使用する場合、和紙の継ぎ目は必ず、10㎜程度、四方周りで、重ね貼りをします。普通のビニールクロスであれば、突き付けで貼りますが、和紙の場合、収縮しますので、必ず、重ね貼りをしなければなりません。
重ね貼りは継ぎ目の部分が目立ちますが、その目立つ継ぎ目を逆に利用して、千鳥で張るような工夫をして、趣の空間を造ることが可能です。千鳥貼りとは継ぎ目をそろえずに貼っていく工法です。
具体的には、600×900㎜の和紙を半分に切って450×300の大きさに揃え、タイルを張るように感覚で、千鳥貼りし、継ぎ目を演出したりするわけです。

  

  

                「西ノ内和紙」で出来たポーチ袋
          
カテゴリ:建築素材・材料 2013年2月12日(火)
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