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設計者の想いの日々(ブログ)長期優良住宅の落とし穴~PARTⅡ
長期優良住宅は、税制面で優遇されていると喧伝されています。つまり、新築家屋(120㎡分を限度とする)の固定資産税が5年間、1/2に減額されるというものです。
ところが、長いスパンで考えるならば、「長期優良住宅」は、税制面で非常に不利になることでしょう。つまり、長期に渡って優良であり続ける「長期優良住宅」の課税額は、なかなか落ちることがないと予想されるからです。固定資産税の算定用の償却期間は、一般の木造住宅で、20年から22年です。構造躯体が100年持つ様に定められている「長期優良住宅」の償却期間が、一般の木造住宅より、はるかに長く設定されるのは、非常に理にかなったお話であり、長期優良住宅が税制面で優遇されているどころか、国の「隠し増税」なのではないかと指摘されても、やむをえないことと思われます。 「長期優良住宅」の課税額がほとんど落ちないとして、例えば、数十年後、この「長期優良住宅」が「一般的な木造住宅」よりはるかに高い価格で売買されるかと言えば、それは非常に考えにくいです。つまり、「長期優良住宅」の仕様は、事実上、それだけのものにしか過ぎないということです。 大手ハウスメーカーあるいはパワービルダーの長期優良住宅の柱は、欧州産のホワイトウッドの集成材が使用されることがあります。非常に安価で、狂いの少ない材料ですから重宝されるのですが、日本の高温多湿の気候には非常に馴染まず、また白蟻にも弱い材料です。いちおう、地盤面より1mの部分には薬剤処理することとなりますが、それは気休め程度に過ぎず、その保証期間も5年程度です。壁の中に密閉されている柱を再度、薬剤処理しようにも、壁を剥がさなければなりません。 先のブログ「長期優良住宅の落とし穴~PARTⅠ」で申し上げた屋根下地の構造用合板についてもそうです。外部に面した合板が日本の湿気の多い気候に耐えられるはずがないのです。 私が思うに、「長期優良住宅」も「一般的な木造住宅」も数十年後の耐久性は大差ないでしょう。けれども、税金は、「長期優良住宅」の方がはるかに高いのです。 また、「長期優良住宅」は、筋交いなどの耐力壁が多いため、ライフスタイルの変化に伴う間取りの可変性に非常に乏しいものになっています。このような融通の利かない税金の高い「長期優良住宅」が、長期間に渡り、ストックされるはずはないのです。 平成21年6月に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」は、理念こそ立派ですが、中身と掛け声が噛み合わない矛盾の多い法律と言えるでしょう。
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