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設計者の想いの日々(ブログ)2010年5月9日(日)住宅・建築業界とマスメディア
姉歯元建築士による耐震偽装事件、あるいは、手抜き工事等による欠陥住宅などの問題は今までマスメディアに大きく取り上げられて、世間を騒がせる結果になっていることについて、同じ住宅・建築業界にいる私も忸怩たる思いを抱いております。ほんの一部の悪意ある人間の起こした出来事により、良心的に一生懸命仕事に取り組んでいる同じ業界の多数の人間までもが色眼鏡で見られる事態になっていることについては、現在の住宅・建設業界全体の不徳の致す所であると思います。
ただ、昨今の住宅・建築業界に関するマスメディアの報道については私なりに不満も多く、同じような話題をしつこく取り上げて深く掘り下げようとしない、ブームに乗っかってブームが終わればもう終わり、住宅・建設業界の持つ諸問題について知識が感じられない等、底の浅さや片手落ちな部分も多いという感想を禁じえません。 例えば、10年くらい前までは、瓦と同等によく見かけた屋根材である彩色石綿スレート板は非常に安価で、重量が軽いため耐震性に優れるという触れ込みで普及が進んでいました。しかし、10年もすれば色落ちも激しい材料で、屋根に湿気を含んでしまい、屋根の下地までもが湿気を帯び、最終的には雨漏りを起こしてしまって構造上問題を抱える等、欠陥商品と言える惨状です。この屋根材による経済的損失は計り知れないものがあるでしょう。 その屋根材を作っていたのは大手製造メーカーであり、それを採用していたのは大手ハウスメーカーをはじめとする錚々たる会社も含まれます。 戦後の高度成長という時代背景があるとはいえ、この問題について、正面切って取り上げたマスメディアがあるのでしょうか?多額の広告費を貰っているので、取り上げたくても出来ないのでしょうか? 塀に使われるいわゆるコンクリートブロックもそうです。今は少しはまともになったとは思いますが、塩気を含んだ海砂を使用したJISマークもついてないような製品が大量に出回っていました。コンクリートブロックはアルカリ性ですから、塩気のような酸性に触れれば、中性化が進んで劣化は早いでしょう。劣化が進めば、ちょっとした地震があると、ブロック塀は脆く壊れます。 柱や梁などに使う木材もそうです。悪い材木業者は材木に明るい工務店には絶対に売れないような木材を、木のわからない会社に売りつけます。特に単価の厳しいローコスト住宅会社が格好の餌食になりやすいでしょう。また大手・中堅メーカーでも普段は集成材の柱を使用しているけれども、お客様の要請で無垢の柱を使用する場合、これも外れの材料が多かったりします。悪い材料を使用することで法に触れるわけではありませんが、建物の耐久性は確実に落ちます。 このような例は枚挙に暇がありません。 このように、住宅・建築業界だけでなく、その関連の周辺の業界も沢山の大きな問題を抱えていることについて、マスメディアは知識が浅いせいか、特に触れようとすることはありません。 しかし、私は住宅・建築業界の抱える諸問題を積極的に取り上げていき、少しでも良い方向に進むような努力を微力であっても行い、いわゆる業界なるものに一石を投じたいと考えています。
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