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設計者の想いの日々(ブログ)2010年5月28日(金)坪単価
ここで世間でよく言われている坪単価について、私なりに纏めてみたいと思います。
まず、建築基準法の「延床面積」、いわゆる確認申請提出時の床面積の算定についてからご説明してみます。 「延床面積」とは内部的用途に使用される部分の面積でして、いわゆる外部の面積、例えば、一般的なバルコニー、玄関前などのポーチ(壁や柱型等で囲まれた庇のある部分)は「延床面積」には含まれません。車庫は内部的用途になり、原則的には「延床面積」に含まれます。この「延床面積」はいわゆる坪単価の算定の根拠としては使用されません。 では坪単価の算定のために使用される面積は何かというと、「施工面積」とハウスメーカー等では呼んでいます。この施工面積の算定方法は各社が自由に決めているものであって、特に決まり事はありませんが、「延床面積」に入ってこない部分がここで計上されてきます。 吹きさらしの屋根なしバルコニーは面積の1/2を施工面積とする会社、バルコニー面積そのまま施工面積とする会社等、対応はまちまちです。 また、1Fの床から2Fの天井までの吹抜の空間は建築基準法上は1Fの床面積のみですが、空間が倍になるということで、「施工面積」では1Fの床面積の倍になる場合が多いです。玄関前のポーチ等外部はそのまま「施工面積」になります。 このようにして、「延床面積」と「施工面積」の開きが大きくなり、蓋を開けてびっくりというケースもよく見受けられます。 では坪単価に「施工面積」を掛け算すれば、建物の価格が算出できるかというと、そうではありません。ローコスト住宅会社等がよく使用する手法として、本体価格に対する諸経費15%前後というものが存在します。つまり坪単価30万で謳っていたとしても、自動的に34.5万前後かかるということです。それ以外の名称として、安全対策費、仮設費、設計費、申請費、外部給排水工事などが加算されて、どんなに安いローコストメーカーでも坪40万前後に納まるというのが相場のようです。この段階になって初めて、お客様ご希望の「オプション」が追加されていきます。 住宅展示公園に出展しているような大手・中堅ハウスメーカーは本体価格の15%諸経費という算出の仕方はあまりしないようですが、住宅展示公園に対する出展料と電気代だけでも年間1000万かかりますので、最低でも坪60万前後の価格がかかっているようです。 10年以上前ですが、私がハウスメーカー勤務時の最終的な平均坪単価は70万以上はかかっていました(東京・神奈川地区)。とにかく営業経費、人件費、設備投資費が莫大でしたから、やむをえない数字なのかもしれません。 では、設計事務所+工務店(建設会社)の坪単価の私なりの実績は、専用住宅で言えば、施工面積ベースで、坪45万~100万前後と言ったところでしょうか。 完全ローコストのご依頼はあまりありませんが、あらゆる価格層のお客様からのオーダーメイドですので、どうしてもバラつきは出てきます。 大きな事務所や倉庫となると、坪単価はかなり落ちてきます。飲食店は設備費がかなりかかりますので、住宅よりずっと割高です。 ただ、設計事務所+工務店(建設会社)では、いわゆる「坪単価」も「施工面積」の概念もあまりありません。実際の工事にいくらかかるかということです。 基礎・大工・屋根・板金・外壁・内装・電気・給排水・空調その他工事にいくらかかって、設計監理料が私の場合、工事費に対する1割以下ということです。明朗会計ですから、どこをどのように落とせば価格が落ちるか、私は私なりにわかります。 どのような工事費算出方法がお客様にとってベストなのかはお客様次第な面もありますし、これについてはまた別の議論にしたいと考えています。 以上、駆け足でお話しましたが、わかりにくい点がございましたら、メール等でお問い合わせください。
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