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設計者の想いの日々(ブログ)東日本大震災・竜巻・災害災害に係る住家の被害認定基準
内閣府による「災害に係る住家の被害認定基準」では、建物の被害について、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「半壊に至らない」の4区分に分けています。
「全壊」とは、住家の主要な構成要素の被害が、住家全体に占める損害割合50%以上のものを指します。住家の主要な構成要素は、「屋根」「柱または耐力壁」「床」「外壁」「内壁」「天井」「建具」「基礎」「設備等」から成り立っています。それぞれの損傷程度を「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」「Ⅳ」「Ⅴ」の5段階で識別していきます。但し、木造・プレハブ構造で、建物の傾斜の平均が1/20以上、もしくは基礎の損傷率が75%以上の場合は、その時点で、「全壊」扱いとなります。 「大規模半壊」とは、住家の主要な構成要素の被害が、住家全体に占める損害割合40%以上50%未満のものを指します。 「半壊」とは、損害割合が20%以上40%未満のものを指します。 木造・プレハブ構造で、建物の傾斜が1/60以上1/20未満の場合は、無条件に、建物の損害割合が15%からの計算でスタートし、「屋根」「床」「壁」「天井」などの主要な構成要素の被害割合を加算していきます。 被災者生活再建支援制度では、住宅の被害に応じて支給する支援金は、「全壊」の場合100万円、「大規模半壊」の場合50万、住宅が半壊以上でその住宅をやむを得ない理由で解体した場合で100万円(この、やむをえない理由、という判断基準が非常に厳しいです)、住宅が危険で居住不能な状態が長期間継続している場合で100万円となっています。 住宅の再建方法に応じて支給する加算支援金は、建物の建替え・購入の場合200万円、建物の補修・リフォームの場合100万円、建物賃借の場合50万円です。 つまり、建物が「全壊」して、取り壊して建替えた場合は、300万円が支給されるということになります。 住家の被害認定は、罹災された方が、市町村の課税課などに「罹災証明」を申請してから、その被害調査・認定作業が開始されます。 被害調査は、「第1次調査」と「第2次調査」があります。「第1次調査」とは、外観目視調査もしくは写真による簡易的判定で、建物の内部に立ち入ってまでは行われません。「第2次調査」とは、第1次調査が既に行われた住家の被災者から申請があった場合のみ行われる詳細な調査です。「第2次調査」の結果に対して不服がある場合は、その旨を申し立てることが可能です。 このように、被害状況を、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「半壊に至らない」と4区分されるわけですが、屋根の「ぐし」が落ちたり、壁が多少割れた場合の損傷割合は3~5%にも満たないことが多く、「半壊に至らない」ような認定でも、高齢者や長期間の居住が難しかったり、やっと「半壊」を上回るような損害割合でも、建物を修復するのが非常に困難なケースが多いのが現実なのです。 追加補足(平成23年5月3日) 内閣府の「災害に係る住家の被害認定基準」の見直しが5月2日に発表されました。 新たに見直された指針では、建物の1/20以上の傾きが「全壊」なのは従来通りで、1/60以上1/20未満の傾きの場合は、「大規模半壊」となり、1/100以上1/60未満の傾きの場合は、「半壊」となります。
地震による建物や床の傾き
今回の東日本大震災により、茨城県でも、建物や床が傾斜しているケースが相次いでいます。地盤の液状化現象や建物の構造体が損傷することで、そのような症状が現れるのですが、どの程度までの傾きであれば、建物が安全で、そこで生活する人にとって安心なのかを詳しく説明してみようと思います。
まず、建物を新築する際、その傾きの上限値は3/1000程度です。このぐらいであれば、施工誤差の範囲内ということですが、これでも3mで、9mmの誤差になります。あくまで施工にあたっての部分的な上限値という捉え方がいいと思います。 ただ、3/1000を超えれば、瑕疵になるかというと、そういうわけではなく、法的には6/1000を超える場合、瑕疵としての責任を追及できるというのが通例です。ちなみに6/1000の床の傾きを超えると、ゴルフボールが低い方に転がっていきます。10/1000前後の傾きで、建具の開閉に不具合が生じ、生活に支障を来たし始めます。そして、15/1000を超えるあたりから、人間の身体の平衡感覚が狂い、めまいなどの症状が生じ始めます。この辺になると、もう長期間の生活は難しい状況になります。建物の外見上、15/1000程度の傾きでは、ほとんどの方が、よく凝視しないと気づきませんが、一旦、内部に入れば、その床の傾斜に驚愕します。建物の安全性については、直ちに倒壊するものではありませんが、大きな余震等には注意する必要があります。50/1000を超えてくると 、いつ倒壊しても不思議ではありません。絶対に立ち入り禁止です。罹災証明の申請を行えば、「全壊」扱いになります。 いずれにせよ、床でゴルフボールが簡単に転がっていったり、建具の開閉に複数箇所で不具合が生じている場合は、その原因を探るために、なるべく早い時期に、専門家に相談する必要があります。
被災住宅のための無料住宅相談
茨城県内の建物の応急危険度判定は終了しました。
茨城県の調査件数15863件のうち、危険(赤)が1561件、要注意(黄色)が4684件、調査済(緑)が9618件です。 危険な建物が約1割、要注意の建物が約3割、特に支障のない建物が約6割です。 応急危険度判定は二次災害を防止するもので、外観のみによる調査で、内部に立ち入って行われていませんので、支障の無い建物であるという判定結果であっても、注意が必要です。 3月下旬からは、行政等で、建築士による無料住宅相談が行われています。 建築士会のサイトでその案内が掲載されています。 http://homepage1.nifty.com/ishikai/
応急危険度判定とは?
応急危険度判定とは、行政の災害対策本部からの要請により、大地震後の二次災害を防止するため、被災した建築物の被害状況を調査し、その建築物が使用者もしくは周囲に危険を及ぼすかどうかの判定を応急的に行うことで、その調査結果は、「危険(赤紙)」、「要注意(黄色紙)」、「調査済(緑紙)」の3種類の判定ステッカーに識別されて、誰でも見やすい場所に表示されます。
この判定を行う者は、「応急危険度判定士」と呼ばれ、建築士の資格を持ち、かつ、所定の講習を受けなければなりません。原則的に二人一組となって行動し、その業務を行います。 この判定は、罹災証明のための被害調査とは異なり、建築物が使用できるか否かを応急的に行うものです。 その判定業務は、瓦や外壁・ガラスなどの落下の危険の有無、基礎や構造体の安全性、不同沈下により建築物が傾いていないかなどの項目を、目視及び道具を使用して、総合的かつ速やかに判断していきます。 3月19日午前10時現在の茨城県内の判定結果は、調査件数11941件のうち、「危険(赤紙)」が1023件、「要注意(黄色紙)」が3434件、「調査済(緑紙)」が7484件になっています。
花と大震災の爪痕
3月1日から、国の重要文化財に指定されている水戸市の弘道館で、「いけばな」の展示が行われました。今回の企画は、弘道館で初めての試みです。
大震災当日の弘道館公園の敷地内の梅の様子です。 大震災直後の弘道館です。構造体そのものは無事でしたが、壁がだいぶ損傷しました。大震災後から、弘道館は立入禁止です。 大震災時、私は弘道館の敷地におりました。築170年にもなる弘道館が大地震に耐え抜く姿は、一週間経過した今でも脳裏から離れません。 茨城県現在の状況は、水戸市役所で柱が損傷し、余震により、いつ倒壊しても不思議ではないということで使用不可、水戸駅もダメージが大きく、復旧の目処は全く立っていません。瓦や外壁の落下した建物は、土浦市内で、全体の2割以上に及びます。本日も、応急危険度判定士として、土浦市内52ヶ所の建物を調査しましたが、まだ危険防止策が不十分な建物が多く散見されます。尚、屋根の瓦の本格的な改修時期は、現在の予想で、半年以上かかる見込みとのこと。すぐに直したくても、これだけ大量の建物の屋根が損傷を受けてしまうと、建築資材がまるで足りないのです。
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