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設計者の想いの日々(ブログ)建築雑感大人の諸事情とは何か?
もうだいぶ昔のことです。私が駆け出しの頃です。
アルミのカーポートも、柱や屋根があり、立派な付属建築物ということで、建物本体と併せて確認申請書を提出したことがあります。もちろん、某有名メーカーの既製品です。建蔽率も問題ないし、大丈夫だろうとタカを括っていたわけです。 ところが、、、 役所の建築指導課から連絡があり、驚きました。 「アルミのカーポートについてですが、アルミの構造材は大臣認定を受けていますか?受けていなければ、建築基準法上、アルミの構造材は認められません(現在は法律が一部改正されました)、また、屋根材は不燃材になっていますか?建築基準法22条指定地域につき、不燃材である認定書を提出ください」というものでした。 調べてみたところ、どこのアルミのカーポートも、構造物としての大臣認定を取っていなければ、当時の透明な屋根材は不燃材の認定書などありません。 早速、役所の建築指導課に出向き、私は、「これだけ普及している有名メーカーの既製品がなぜ建築基準法では違法なのか?」という押し問答を、審査した係員としばし、遣り合ったわけですが、最終的に、係員は、「私に言わないでくださいよ。」と逆切れして、話は終わり、私のほうも、アルミのカーポートは中止ということで、確認申請を下ろしました。 当時の私は、社会の矛盾というか、大人の諸事情を否応なく、思い知らされたわけです。 その後、法律が改正され、「アルミニウム建築物の構造方法に関する技術基準」が定められて、アルミの建築物も建築可能となりました。 しかし、現在でも、「建築基準法適合」とわざわざ謳っているカーポートをよく見かけます。つまり、建築基準法に適合してない商品が多く存在してるわけで、ホームセンターなんかで安売りしてるものは、ほとんどが不適合と言っていいでしょう。 たかだか、カーポートなんかで目くじら立てる必要はないかもしれませんが、一事が万事、姉歯事件以降も、依然として、「大人の諸事情」が多いのは確かです。
住宅と店舗(住宅展示場を含む)の考え方の違い
店舗、特に飲食店を計画する場合、非日常的空間を演出することに重きを置くことが多いです。日常の喧騒から離れて、束の間の楽しい時間をお客様に過ごして頂くのですから、それは絶対的条件の一つであると言っていいかもしれません。
対して、住宅については、毎日、何十年と暮らしていくのですから、非日常的な演出をすることには無理があります。10年以上先を見据えて、どのように落ち着いて楽しく暮らせる建物を造り上げていくかに主眼を置きます。 ところが、この店舗的な考え方と、住宅の住まい方を混同するケースが目に付きます。 その最たるものは、「住宅展示場」です。住宅展示場は、消費者を夢の世界に誘(いざな)います。魅せることに主眼を置きますから、非日常的空間を惜しみなく演出していきます。 「住宅展示場」は、住宅を造ることを目的に建てられているにもかかわらず、どちらかというと、店舗的な考え方に基づいています。 ここにハウスメ-カーの「住宅展示場」のコンセプトに大きな矛盾が生じています。 だいたい、住宅展示場は5年前後で建て替えしてしまうつもりで建てていますから、毎日、何十年と暮らしていくという住宅の目的から外れます。 週末、あるいは、月1回程度過ごすような「別荘」のような建物であれば、店舗的な考え方で問題ありませんが、毎日暮らす住宅は全く別物です。 確かに「住宅展示場」を見て回ることは、勉強になる部分も多いでしょう。但し、それは、非日常的な店舗的考え方に基づくものであると、特に意識して、肝に銘じておくことは非常に大事なことであると、私は考える次第です。
焼畑商法
焼畑商法とは何か?
焼畑商法とは、主にイオングループが採用しているとされるビジネスモデル。 吸い尽くしては撤退を繰り返し地方の崩壊に繋がることが、森林を焼いて切り開き、地力が落ちて作物が育たなくなると別の森林を焼いて移動する焼畑農業をイメージさせることから、この名で呼ばれるようになった。地力が回復しない点で焼畑農業とは異なっている。 その戦略としては、地方自治体に税金で道路を整備させ、地主に建物を建てさせた上で賃貸契約を結び、巨大なショッピングセンターを開店、 中小の商店・スーパーを壊滅させた上で市場を独占。 施設の老朽化や売り上げ減少が進むとあっけなく撤退。崩壊した地元商店に再興の余力はなく、ショッピングセンターに近いからと出来た住宅地の価値は激減。賃料で儲けていた地主も、イオン撤退後は莫大な固定資産税を払えず、かといって農地に戻すことも出来ず、破滅の道が待っているのみである。 焼畑商法は、イオンに限らず、資本主義の摂理に忠実な大手企業によって行われている商法です。 建築士として、私自身、まちづくりや環境問題を考える、あるいは、今後の自分自身の仕事の展望を考えるあたって、必ず、突き当たるのがこの焼畑商法です。この問題は、日本の伝統とも大きく絡みます。また、日本の経済成長と焼畑商法も密接な関係があります。 人間の本性と焼畑商法の関係を紐解かない限り、まちづくり、環境問題を提起したところで、焼け石に水なのが正直なところです。 それでは、人間の本性とは何か? それはエゴです。生きんがためのエゴです。決して悪い意味で言っているのではありません。 人間のエゴイズムへの徹底追及のない、まちづくり、環境問題の議論は既に破綻しているのではないかと私は考えています。
建築と文学
建築と文学は全く関連性がないと思われがちですが、とても密接な関係があります。下記の格言は、謎かけのような格言ばかりですが、私自身、お客様との打ち合わせを行うにあたって、含蓄ある言葉ばかりであると感じています。
以下、太宰治の格言をご紹介したいと思います。 ・「甘さを軽蔑する事くらい容易な業は無い。そうして人は、案外、甘さの中に生きている。他人の甘さを嘲笑(ちょうしょう)しながら、自分の甘さを美徳のように考えたがる。」 ・「自信とは何ですか。」 「将来の燭光を見た時の心の姿です。」 「現在の?」 「それは使いものになりません。ばかです。」 ・「生活とは何ですか。」 「わびしさを堪える事です。」 ・「議論とは往々にして妥協したい情熱である。」 ・「きょうは、少し調子づいているようですね。」 「そうです。芸術は、その時の調子で出来ます。」 ・「自己弁解は、敗北の前兆である。いや、すでに敗北の姿である。」
設計事務所を考える
建築士という国家資格を背景に営業を行っているとはいえ、設計事務所と言えども、玉石混淆の世界です。ここで、問題が生じやすい「設計事務所」を僭越ながら、解説してみようと思います。
①お客様から提示された予算をはるかにオーバーした図面を平気で書く。 実現がほぼ不可能である図面を書いてもらったところで、それはただの紙切れです。コスト意識を全く持ち合わせない設計に付き合っても、時間の無駄ですし、仮に実現させようとしたところで、その後の生活設計に狂いが生じてしまいます。過剰なプレゼンをする設計事務所に、そのような傾向の設計が多いようです。コスト管理ができてこそ、「設計」が成り立ちます。また、工事監理まで引き受けてもらうことで、設計事務所の行った「設計」に責任を持たせることが必要です。 ②設計事務所の所長は営業しか行わない。 設計事務所の所長が実務に携わらず、初期段階の営業のみ行い、その後は経験不足の所員が引き継ぐケースです。ただ、この場合、所長がその後も関われば安心というわけではなく、日頃、営業に専心しているため、所長自身、実務に疎くなっているケースも多々見られます。 ③建設業者などからバックマージンをもらう。 特定の建設業者や商品を執拗に勧めてくる場合、バックマージンをもらっている可能性があります。このような場合、設計監理料が仮に安くても、必然的に工事費に上乗せされるうえ、設計事務所としての工事監理が適正に行われないことにもなります。 ④違法建築を平気で行う。 ちょっとした違反ならいいだろうという姿勢が耐震偽装のような違法建築につながります。残念ながら、私が拠点に置く茨城県では、姉歯事件発覚後も違法建築が非常に多いですし、現実に私の事務所の元にも違法建築の依頼があります。当然、当事務所では、一切の違法建築の依頼をお断りしています。 ⑤同じようなパターンの建物の設計が目に付く。 これが設計者の個性・持ち味と言われれば、そうなのかもしれませんが、単に設計者の引き出しが少ない場合が多いような気がします。悪い言葉で言えば、「馬鹿の一つ覚え」です。また、設計者の作風に固執するあまり、お客様の要望を引き出して実現していく作業が非常に下手です。 ⑥単なるYesマンの設計者。 これでは、住宅メーカー・ビルダーの営業マンレベルです。設計者独自の考え方を無理に押し付けてくるのも迷惑な話ですが、その後、建物が完成して、生活し始めて、問題点が多く生じるのを未然に防ぐために、時には、建築主に苦言を呈することも必要です。 以上、キリが無いので、この辺でやめておきますが、私が見聞する限り、優れた設計者は、例外なく、バランス感覚に優れています。これを持ち合わせないと、「設計」や「工事監理」、そして、設計事務所の運営すら難しいと思います。
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