設計者の想いの日々(ブログ)
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高台や傾斜地の敷地の安全性

高台や傾斜地にある敷地で、大震災により、がけ際の擁壁が傾き、また、それに伴って、建物も傾くというケースがあります。このような事態を回避するために建築基準法第88条では、擁壁の高さが2mを超える場合は、工作物の確認申請が必要とされています。つまり、擁壁を設計するにあたっては、土圧・水圧等を考慮して構造計算を行ってから施工してくださいというものです。また、擁壁の工事が完了した際は、所定の完了検査を受けて、検査済証を発行してもらう必要があります。このようなプロセスを経ていない擁壁は、安全性が法的に確認されないということで、その敷地は、規制の対象になります。

茨城県建築基準条例では、通称、「がけ条例」というものがあります。簡単に説明しますと、高台の敷地で、「がけ際」からの距離が、「がけ」の高さの2倍以内の位置に、建物を建てる場合には、基礎を深くする、あるいは規定の支持地盤まで杭を打設する必要が出てきます。例えば、「がけ」の高さが3mの場合、その2倍である6m以上、「がけ際」から建物が離れていれば通常の基礎で支障ありませんが、もし6m以内の位置に建てる場合は、災害の際、「がけ」が崩れたり、安全性の確保されていない擁壁が傾くことに伴って建物が傾かないように、規定の支持地盤まで杭を打つなどの対応が必要になるということです。
この「がけ条例」は、「がけ」下の敷地にも適用されます。「がけ」上の規制と同様に、「がけ」際からの距離が、「がけ」の高さの2倍以内の位置に建物を建てる場合は、建築基準法上、安全な擁壁が必要ということになります。

また、この高台や傾斜地の敷地は、切り土や盛り土のような造成工事によって、形成される場合も多いのですが、慎重に工事が行われたようであっても、盛り土した部分の地盤が弱く、災害の際に、その部分が陥没するケースがあります。特に、切り土の部分と盛り土の部分に建物を配置する場合は、不同沈下の危険性を考慮し、地盤の十分な調査と安全な基礎の設計が必須となります。
カテゴリ:東日本大震災・竜巻・災害 2011年4月29日(金)
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