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設計者の想いの日々(ブログ)東日本大震災を通じて瓦屋根を考える
東日本大震災では、屋根の瓦の棟(むね)などにある「ぐし」と呼ばれる部分の脱落が相次ぎました。大きな地震でしたので、そのような瓦の損傷もやむをえないだろうという意見がある一方、建築基準法の趣旨に沿った施工のされていない違法な屋根工事の横行がその被害を拡大したという見方もあります。
昭和25年に定められた建築基準法施行令には次のような条文があります。 (屋根ふき材等の緊結) 第39条 屋根ふき材、内装材、外装材、帳壁その他これらに類する建築物の部分及び広告搭、装飾搭その他建築物の屋外に取り付けるものは、風圧並びに地震その他の振動及び衝撃によって脱落しないようにしなければならない。 2.屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁の構造は、構造耐力上安全なものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとしなければならない。 昭和46年1月29日の建設省告示第109号では、「屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁の構造方法を定める件」ということで、次のように、もう少し具体的に書かれています。 建築基準法施行令第39条2項の規定に基づき、屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁の構造方法を次のように定める。 第一 屋根ふき材は次に定めるところによらなければならない。 一 屋根ふき材は、荷重又は外力により、脱落又は浮き上がりが起こさないように、たるき、梁、けた、野地板その他これらに類する構造部材に取り付けるものとすること。 二 屋根ふき材及び緊結金物その他これらに類するものが、腐食又は腐朽するおそれがある場合には、有効なさび止め又は防腐のための措置をすること。 三 屋根瓦は、軒及びけらばから2枚通りまでを1枚ごとに、その他の部分のうち、むねにあっては1枚おきごとに、銅線、鉄線、くぎ等で下地に緊結し、又はこれと同等以上の効力を有する方法ではがれ落ちないようにふくこと。 10年以上前、新築住宅の主流を占めた住宅金融公庫の仕様書のなかでは、瓦葺きの棟(むね)などの部分の「ぐし」の留めつけ(緊結)について、次のように書かれています。 ・むね積みは、のし瓦を互いに緊結し、がんぶり瓦又は丸瓦を1枚ごとに、地むねに緊結線2条で締めるか又はのし瓦及びがんぶり瓦を一緒に鉢巻状に緊結する。 ・洋形瓦のむね施工で太丸を施工する場合は、ふき土を詰め地むねより緊結線2条で引き締める。 全日本瓦工事業連盟では、このような建築基準法の趣旨に沿った「瓦のガイドライン工法」を推奨しています。実物大の家屋による振動実験の結果を受け、震度7までの大地震に耐えられる耐震工法です。 以上、ここまで長々と書き連ねてきましたが、「緊結」という言葉が何度も出てきました。けれども、東日本大震災の瓦の「ぐし」の被害の惨状を見る限り、「緊結」というキーワードから程遠く感じるのは、私だけではないだろうと思います。 もちろん、「緊結」が必ず正しいわけではありません。「遊び」がなく、「逃げ」のきかない「緊結」が仇になるケースがあります。しかし、そのような「遊び」や「逃げ」を踏まえたうえで、力を上手に逃がして衝撃に対抗するような「緊結」が大事なのではないかと思うのです…
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