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設計者の想いの日々(ブログ)すべて事務所開設から約8年経過して
当設計事務所を開設して約8年、「住宅」と「店舗・福祉施設・事務所などの事業用建物」の業務比率は、おおよそ、1:1で推移してきました。
2年半前にHPを開設してからは、住宅の受注の割合が増えてきましたが、事業用の建物が中心だった時期もありますので、8年間通してみると、その位の業務比率になるかと思います。 「住宅に始まり住宅に終わる」との言葉があるように、住宅は建築の基本であり、住宅の設計・工事監理が細部にわたって満足に出来てこそ、「事業用の建築物」に応用出来るのではないかと考えています。 事業用の建物は、意匠・構造・設備の分野にわたって専門的知識が必要とされますが、そこで培われた素養は、住宅の建物の設計・工事監理を行う際にも非常に役立っています。「住宅」も「事業用の建物」も手掛けることで、お互いに相乗効果を生み、緊張感を持って、業務を遂行することが出来るように感じています。 ここ最近は、文化財などの歴史的建造物についての研鑽も加わり、日本の伝統技術を深く学び、現代の建築に失われつつあるものは何なのかを模索していきながら、「日本の伝統」と「現代性」を融合して昇華していくスタイルを、長い目で、確立していきたいと考えています。
大人の諸事情とは何か?
もうだいぶ昔のことです。私が駆け出しの頃です。
アルミのカーポートも、柱や屋根があり、立派な付属建築物ということで、建物本体と併せて確認申請書を提出したことがあります。もちろん、某有名メーカーの既製品です。建蔽率も問題ないし、大丈夫だろうとタカを括っていたわけです。 ところが、、、 役所の建築指導課から連絡があり、驚きました。 「アルミのカーポートについてですが、アルミの構造材は大臣認定を受けていますか?受けていなければ、建築基準法上、アルミの構造材は認められません(現在は法律が一部改正されました)、また、屋根材は不燃材になっていますか?建築基準法22条指定地域につき、不燃材である認定書を提出ください」というものでした。 調べてみたところ、どこのアルミのカーポートも、構造物としての大臣認定を取っていなければ、当時の透明な屋根材は不燃材の認定書などありません。 早速、役所の建築指導課に出向き、私は、「これだけ普及している有名メーカーの既製品がなぜ建築基準法では違法なのか?」という押し問答を、審査した係員としばし、遣り合ったわけですが、最終的に、係員は、「私に言わないでくださいよ。」と逆切れして、話は終わり、私のほうも、アルミのカーポートは中止ということで、確認申請を下ろしました。 当時の私は、社会の矛盾というか、大人の諸事情を否応なく、思い知らされたわけです。 その後、法律が改正され、「アルミニウム建築物の構造方法に関する技術基準」が定められて、アルミの建築物も建築可能となりました。 しかし、現在でも、「建築基準法適合」とわざわざ謳っているカーポートをよく見かけます。つまり、建築基準法に適合してない商品が多く存在してるわけで、ホームセンターなんかで安売りしてるものは、ほとんどが不適合と言っていいでしょう。 たかだか、カーポートなんかで目くじら立てる必要はないかもしれませんが、一事が万事、姉歯事件以降も、依然として、「大人の諸事情」が多いのは確かです。
文化財を保存維持管理していくために
先週のニュースです。
「文化審議会(宮田亮平会長)は14日、戦後復興の象徴で、高度経済成長の原点としても親しまれている東京タワー(東京都港区)など建造物126件を新たに登録有形文化財に登録するよう、田中真紀子文部科学相に答申した。近く答申通り登録される見通しで、同文化財は9262件となる。」 後世に伝えうる歴史的建造物を文化財に指定及び登録して、保存・維持・管理していくことは非常に大事なことだと私は考えています。 けれども、文化財となれば、そうそう壊すことは出来ません。 そして、職人の技能不足により、いずれ文化財のメンテナンスが出来ない時代が否応なくやってきようとしています。 例えば、茨城県石岡市に多く残されている、近代建築の商店施設に掲載されているような、昭和初期時代に建てられた商店建築の登録文化財の数々は、建築物の乾式化・機械化に伴う左官業者の熟練工の激減で、今後の修復工事の行く先が危ぶまれています。 40~50%の粗利を追求する日本特有のシステムである「ハウスメーカー・ビルダー」が、職人・技術者を粗末に扱っている現況を変えていかなければ、文化財の修復はおろか、一般住宅の改修・リフォームすら満足に出来なくなる事態に、近い将来、陥ることになります。決して、時間的な猶予はありません。 もちろん私たちは努力しています。けれども、具体的な打開策を見出すために、現時点で、妙案がないのは事実です。
真壁の町並み・重要伝統的建造物群保存地区
今日は、国交省、茨城県、桜川市の職員さんと共に、104棟の登録文化財を有する「重要伝統的建造物群保存地区」である桜川市真壁地区の視察です。
真壁地区は、古い建造物が残り、東日本大震災により大きなダメージを受けましたが、急速に復興を遂げつつあります。至る所で、伝統工法による改修工事が行われています。 以下の画像は改修を終えた登録文化財です。 三輪家 星野家 山中家 中村家 橋本旅館 谷口家 改修中である潮田家の檜四寸角の格子耐力壁です。 「大工」ならぬハウスメーカーの大半の「木工組立職人」では、決して強度が出ませんので、ご注意ください。 製糸工場の女工さんの宿舎だった建物も、まだ真壁地区に残されています。現在も一部住居として使用されています。また、映画やテレビ番組の撮影現場にも使用されているそうです。 震災から1年9ヶ月が経過しましたが、まだ手付かずの建物も、真壁地区には多く残されています。 天日干し中の沢庵(たくあん)
旧矢中龍次郎邸
つくば市北条にある国の登録有形文化財に登録されている「旧矢中龍次郎邸」です。
地元(つくば市北条)では、「矢中御殿」とも呼ばれています。 セメント防水剤 「マノール」の発明者である矢中龍次郎氏により、昭和13年~28年にかけて、建築された木造の近代和風住宅です。 矢中龍次郎氏が亡くなってから40年間、空き家となり、荒れ放題だった矢中邸ですが、つくば市北条でまちづくりに参加していた筑波大生が中心となって2010年に設立されたNPO 法人“矢中の杜”の守り人が、現在、維持管理を行っています。 つくば市北条は今年5月竜巻に見舞われましたが、幸い、「旧矢中邸」は軽微な被害で済みました。 約770坪の広大な敷地に本館(居住棟)、別館(迎賓棟)などの建物が現存し、その周囲に庭園が広がっています。 愛媛県の伊予の青石、佐渡の赤石、鉄さび色の風合の京都の鞍馬石など全国の名石が集められた贅を凝らした庭園です。 極めて希少価値のある「モミジ」の床柱を使用した床の間です。その木目の美しさは、目を瞠るものがあります。 昭和初期の質感を感じさせる和洋折衷の空間です。「皇族が休息できる迎賓空間」を造ることが矢中氏のコンセプトにあったようです。 「過去のものといえども、真に価値あるものは、常に新しさを含んでいる。」 柳宗悦
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