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設計者の想いの日々(ブログ)茨城県西の町並み・建築・施設探訪・自然・文化Gallery&Cafe あかり家
「Gallery&Cafe あかり家」は、茨城県下妻市にあり、築85年の古民家を「ギャラリーカフェ 」として再生した温もり溢れるお店です。年を経るごとに培われたのであろう、この味わい深さは、新築の店ではなかなか感じることが出来ないでしょう。
残念ながら、現在の建築業界は、「経年変化」に伴って建物が味わい深くなるような造り方は、当設計事務所のような一部を除いて、あまり行われていないのが現実です。サイディング、ビニールクロス、新建材などの工業印刷製品では、「経年劣化」はあっても、「経年変化」は望めません。また、最初は良くても、飽きやすいというのが印刷製品の特徴です。 ところで、現在、歴史的建造物を残そうとする気運が少しずつですが、高まりつつあります。ただ、それでは、今後どのように歴史的建造物を活用していくのか、全く展望が見えないケースが非常に多いのが現実です。 ただ単に歴史的建造物を残すだけで留まっていては、巷で批判されている箱物行政と何ら変わるものではなく、維持経費がいたずらに発生していくだけです。 また安易に、個人所有で持て余した歴史的建造物を行政に寄贈するような手法についても私は批判的で、普段、行政を批判しているわりには、すぐ行政に頼ってしまうことが日本人の悪しき習性であるのは、否めない事実と私は感じます。 歴史的建造物であろうが、何であろうが、建築物というものは活用されてこそ生きるというのが私の持論です。 文化財のような剥製的保存も歴史的史料として必要なケースがあるのかもしれませんが、人間の生活の息吹きのない建築物に対して、私は全く魅力を感じません。
真壁の町並み・重要伝統的建造物群保存地区
今日は、国交省、茨城県、桜川市の職員さんと共に、104棟の登録文化財を有する「重要伝統的建造物群保存地区」である桜川市真壁地区の視察です。
真壁地区は、古い建造物が残り、東日本大震災により大きなダメージを受けましたが、急速に復興を遂げつつあります。至る所で、伝統工法による改修工事が行われています。 以下の画像は改修を終えた登録文化財です。 三輪家 星野家 山中家 中村家 橋本旅館 谷口家 改修中である潮田家の檜四寸角の格子耐力壁です。 「大工」ならぬハウスメーカーの大半の「木工組立職人」では、決して強度が出ませんので、ご注意ください。 製糸工場の女工さんの宿舎だった建物も、まだ真壁地区に残されています。現在も一部住居として使用されています。また、映画やテレビ番組の撮影現場にも使用されているそうです。 震災から1年9ヶ月が経過しましたが、まだ手付かずの建物も、真壁地区には多く残されています。 天日干し中の沢庵(たくあん)
真壁伝承館筑波山系の山並みを背にして建築された桜川市の「真壁伝承館」は、真壁地区交流の場、そして真壁地区を訪れる人たちのための案内施設として、平成23年9月1日に開館しました。 その建築地には、かつて江戸時代の役所である「真壁陣屋」がありました。そのため建築に先立ち、発掘調査を行われ、陣屋を囲んでいた堀や内部にあった池などの遺構や遺物が多数、発見されました。 この施設には、真壁産の御影石や、茨城県産間伐材の杉材がふんだんに使われ、また、重要な歴史的文化遺産が多く保管されています。 玄関の出入口がわかりにくい、雨水の処理など、設計上に多少、配慮が欠ける部分がありますが、2012年の日本建築学会賞を受賞しています。 そういう賞に選ばれるくらいですから、設計及び施工には、細部に至るまで、工夫が施されています。 ただ、登録有形文化財が104棟もある地域性を考慮すれば、S造(鉄骨造)ではなく、木造で建てたら、もっと良かったように、私は思います。 ちなみに桜川市真壁地区は、2010年6月に、日本で87番目、関東地区では4番目の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定され、江戸時代以来の町割りが残り、蔵造の町家を中心に、近代の町家や洋風建築も残っています。 東日本大震災では、甚大な被害を蒙りましたが、修復・復元工事が着実に行われており、往年の姿を取り戻そうとしています。 昔ながらの土壁の下地である「竹小舞」が組まれています。 今日の昼食は… うまかべ すいとん~割烹 二葉(桜川市真壁)
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