設計者の想いの日々(ブログ)
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永井昭夫
建築設計事務所
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建築に関する確認の特例

一般的な木造の一戸建て住宅の大半が、構造に関する事項について、建築確認申請の審査の対象から除外されていることは、あまり知られていません。これは、建築基準法第6条の3の「建築物の建築に関する確認の特例」によるものです。つまり、特殊建築物ではない木造の一戸建ての住宅等について、確認申請での構造の審査は省略しますから、設計者の責任で、構造の検討を行ってくださいという条文です。
一般的な木造の一戸建て住宅で、構造が建築確認申請の審査の対象になるのは、特定行政庁(建築主事を置く自治体の長)がそれぞれに指定する中間検査の対象内の建築物に該当する場合です。この中間検査の対象範囲ですが、各自治体によって異なります。
木造の住宅に関しての中間検査の対象範囲を、茨城県を例に挙げてみます。
水戸市……3階建又は延べ面積200㎡以上
土浦市・つくば市・取手市・ひたちなか市……2階建かつ延べ面積100㎡以上
古河市……分譲住宅は延べ面積100㎡以上、その他の一戸建て住宅は150㎡以上
日立市・高萩市・北茨城市……3階建又は延べ面積500㎡以上
茨城県内のその他の市町村……分譲住宅は延べ面積100㎡以上、市街化区域にあるその他の住宅は150㎡以上

これらの中間検査の対象から外れた一般的な木造住宅は、建築確認申請での構造に関する審査が、建築基準法の特例により、省略されるということになります。

いわゆる姉歯事件以降、この確認の特例制度が、木造住宅の不正及び手抜き工事の温床になっているということで、国交省の意向で廃止される見込みとなっていましたが、大人の諸事情により、現在は、有耶無耶の状態です。
以前、このブログの「在来木造工法を考える」で、話したことがありますが、木造の構造については盲点が多く、簡単そうで難しいのが、この木造というものです。
もし、この特例が廃止されることになれば、建築的素養やモラルに欠けた建築士の淘汰が進むのは間違いないと思われます。
カテゴリ:建築知識 2011年1月26日(水)

内装材としてのクロスを考える

壁や天井の仕上げとして、現在、最も使用されているビニールクロスは、英語の「cloth」が由来です。「cloth」は布や織物を意味していて、ビニール系の意味は含まれていません。つまり、元々、壁や天井に使用されるクロスは、布系統のものが使用されていたということです。そのようなクロスは、「布クロス」と呼ばれていて、麻や綿、レーヨン製のものです。安価なビニールクロスが主流となった現在、調湿性のある自然に近い素材として、もっと見直されてもいい材料だと思います。価格としては、一般的なビニールクロスと比較して、㎡あたり500円程度の差額、すなわち、ビニールクロスの1.5倍程度が一般的な相場です。ビニールクロスの3~4倍する珪藻土よりは、だいぶお手頃な材料です。
欠点としては、ビニールクロスと比較して、素材が布なので、掃除がしにくいこと、多彩なビニールクロスの品揃えに比べると、意匠性の幅が狭まることが挙げられます。
ただ、調湿性があり、飽きのこないその素材の利点は捨てがたいものがあり、設計者としても、もっと普及に努めてもいいのではないかと考えています。

調湿性のあるこの布クロスに、その下地である石膏ボードを、珪藻土入りの石膏ボードに変えることで、大幅に調湿機能を上昇させる方法もあります。
この珪藻土入りの石膏ボードですが、通常の石膏ボードの倍の値段がします。けれども、通常の石膏ボードは一枚あたりの原価が300~400円程度ですから、家一軒分、約300枚分でも、10万円程度の差額で済みます。
この調湿性のある下地材に、布クロスのような調湿性のある材料で、家一軒分仕上げると、平均的に、約30万前後の差額となります。(この差額は原価です。ハウスメーカーでは、オプション費用としての請求が、その倍以上となる可能性がございます)
但し、この珪藻土入り石膏ボードも、仕上げ材がビニールクロスのような樹脂系の材料では、その効果を発揮することはできませんので、布クロスや和紙のような調湿性のある材料で仕上げる必要があります。

最後に、このクロスの工事ですが、大工や内装業者の作る下地によって、だいぶ左右されます。つまり、大工が作る下地が下手糞なら、クロス屋さんがいくら上手くても、クロス貼りの出来が悪くなるということです。クロス工事についてのクレームは非常に多いものですが、だいたいは下地に起因しています。
以上、長くなりますので、クロスや下地については、別の機会に、別の視点で、お話したいと思います。
カテゴリ:建築素材・材料 2011年1月22日(土)

工事監理の重要性

当設計事務所では、設計から工事監理まで一貫して業務を遂行することを理念として掲げています。設計業務のみというご依頼は、原則としてお受けすることができません。
いくら設計が優れていたとしても、肝心の工事が業者に丸投げでは、お客様に対する責任を果たしていると言えないと当設計事務所では考えています。

設計者が行う「工事監理」とは、施工会社が行う「現場管理」とは違います。設計者が行う「工事監理」とは、まず、施工業者が提出する見積書を細部にわたって精査して、お客様の立場に立って、施工業者と金額面を含めて交渉したり、工事着工後は、図面通りに工事が行われているか、あるいは、品質が確保されているかを確認する業務です。人間ですから、間違いをすることもあり、その際は、設計者である「工事監理者」は、施工業者に注意を与えます。また「工事監理」は、アフターメンテナンスのご相談にのったりすることまで含まれます。

図面通りに工事を行うことなど簡単なことではないのか?と疑問に思われる方もおられるかもしれません。けれども、私が長い間、工事監理業務を行ってきて、指摘是正事項が全く無かった現場は皆無です。多いときは、一日に10項目以上の指摘事項が挙がることもあります。建築物は、現場加工品であり、工場のラインで製造される工業製品とは違って、全く同じものが無いオーダーメイド品ですから、どうしてもヒューマンエラーが生じやすいと言えると思います。したがって、施工業者と利害関係のない「工事監理者」がチェック機能を果たすことは、きわめて重要なことであると考えます。
逆に、同一会社が設計と施工を行う場合は、この辺のヒューマンエラーがナァナァとなって、ミスが隠蔽されることは、よく見聞する話です。設計施工一貫方式では、お客様の立場に立って行われる「工事監理」 が有名無実化しやすいのです。

設計から工事監理まで一貫して業務を遂行し、お客様の窓口も工事期間中に至るまで当設計事務所が行い、建築の弁護士的役割を果たすことが、お客様の利益につながり、満足いただける建築物を提供できるのではないかと常々、私は考えています。
カテゴリ:当設計事務所の姿勢・信条 2011年1月21日(金)

水戸の梅まつり・弘道館・いけばな展示のお知らせ

弘道館開館170年記念 平成22年度 第115回 水戸の梅まつり いけばな展示 のお知らせ

主催:水戸市華道連合会 出品流派:池坊水戸支部
期間:平成23年3月1日~3月13日
場所:水戸市弘道館・至善堂・正庁(国指定重要文化財)


古来、日本の和室の床の間には、掛け軸がかけられ、家人が花を生けて、室内に自然の要素を採り込んで、四季の変化を楽しみながら、また、家に訪れるお客様をもてなしてきたものです。それが日本の伝統文化であり、日本人としての嗜みでした。
けれども、重要文化財などに指定されているような歴史的建造物である偕楽園の好文亭や弘道館の床の間ですら、特に何も飾られず、味も素っ気もない状態にあるのは、日本の伝統的な風習から鑑みても、不可思議なことではないのだろうかという着想から始まったのが今回の企画です。

偕楽園と同様に、日本三名園の一つである金沢の兼六園にある時雨亭では、5ヶ所ほどの床の間には、365日間、常に絶やさず、花が生けられています。これが本来の床の間のあり方ではないでしょうか。
茨城県でも、せめて、梅まつり期間中だけでも、床の間を「いけばな」で色を添えて、観光で来て頂いているお客様をもてなすべきではないかということで、去年から話し合いを続けてきました。
無事、多くの方々の協力を得て、話が上手くまとまり、実現の運びとなりました。

弘道館は、水戸藩の藩校として徳川斉昭により1841年に創設され、今年で170周年となります。第15代の将軍となった徳川慶喜も父斉昭の厳しい教育方針で5歳の時から弘道館において英才教育を受けました。
国の特別史跡になっており、正庁・至善堂・正門の3ケ所は重要文化財に指定されています。
敷地内は、弘道館公園として梅樹60品種800本が植えられており、梅の名所となっています。http://www.koen.pref.ibaraki.jp/park/kodokan01.html


今回の企画に携わり、私自身、話し合いや折衝を重ねて、改めて気がついたことは、建築士という職業は、建築の世界だけにとどまっていてはいけないことです。以前にも申し上げた通り、建築は、人間の生活全般・歴史・伝統・哲学など、あらゆる分野と密接な関係を持っています。そんななかで、建築技術者の要素だけでなく、生活総合技術者たる側面を忘れるならば、日頃の建築業務は必ず陳腐化することを肝に銘じる必要があると私は考えています。
カテゴリ:お知らせ・ご挨拶 2011年1月15日(土)

住宅の平均価格・坪単価

一戸建ての注文住宅はいったい、どのくらい費用がかかるのかという質問をよく受けます。新聞の折込広告では、建物本体価格が坪単価25万8千円であるとか、38万円であるかのような表示がよくされています。このような折込広告の影響もあってか、坪単価30万~40万×床面積40坪=1200万~1600万、余裕を見て、1000万台後半もあれば家は建つと思っている方々が少なからず、おられるようです。そこで、一戸建ての注文住宅の平均価格や坪単価について、今日はご説明したいと思います。

まず平成10年度の資料です。この頃は住宅金融公庫の融資が全盛でした。消費税が3%から5%に引き上げられた直後の頃で、バブル崩壊の余波もあり、景気は良くありませんでした。
平成10年度の住宅金融公庫融資の住宅で、木造軸組工法の全国平均総工事費は2,417万円、平均延床面積141.24/m2(42.6坪)です。 プレハブの平均総工事費は2,713万円、ツーバイフォーが2,512万円です。
また、外構工事費などを除いた建物本体の工事費の単価は、木造軸組で171千円/m2(566千円/坪)、プレハブ188千円/m2(622千円/坪)、ツーバイフォー184千円/m2(609千円/坪)となっています。但し、この坪単価は、地域により、ばらつきがあります。
http://www.jawic.or.jp/tech/qanda/016.php

今度は平成16年度の資料です。
全住宅の平均総工事費が2409万円、平均延床面積が135㎡(40.7坪)です。木造軸組工法の平均総工事費は2243万円、プレハブ工法は2745万円、工事費単価は全住宅平均で179422円/m2(594317円/坪)、木造軸組工法で167094円/m2(553482円/坪)、プレハブ工法で204149円/m2(676223円/坪)となっています。
http://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/toukei06/geturei/10/geturei06-10t.pdf

以上、上記の結果をまとめてみると、建物の平均延床面積が40坪を若干上回るくらい、平均坪単価が55~60万程度、建物の平均総工事費が2000万台前半から2500万前後であることがわかります。
プレハブ工法が木造軸組工法と比較して高いのは、粗利幅の大きい大手ハウスメーカーが採用している工法であることに起因していると思います。
一戸建ての住宅は平均でどのくらい費用がかかるのかという一般的な質問を受けたとき、私は、平均実勢坪単価が55万前後、建物の延床面積が平均40坪強程度なので2000万台前半が茨城の相場ではないかと答えています。(これに外構工事が上乗せされます)
但し、平均実勢坪単価55万で、和風の化粧の家や、自然素材を随所に利用した建物が提供できる工務店もあれば、坪60万以上出しても、外装はサイディング、内装は全てビニールクロスであるハウスメーカーがあったりで、その内容は様々です。
地域密着型であまり販売経費をかけず安価であるけれども、センスには乏しい工務店であっても、お客様の意向を汲み取るのが上手で、かつ、コスト管理のできる設計事務所を施主の代理者として利用することによって、建物の内容は充実できますし、過大な販売経費をかける会社で建てれば、専門家から見れば、コストパフォーマンスに疑問が残る結果になりますので、細心の注意が必要だと思います。
カテゴリ:建築知識 2011年1月12日(水)
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