カレンダーカテゴリすべて(435)当設計事務所の姿勢・信条(31)建築雑感(24)建築知識(22)建築構造・性能(17)建築文化・伝統(27)建築素材・材料(29)住宅・建築業界(18)建築設備(5)設計者の日常(33)工事監理・現場紹介(12)お知らせ・ご挨拶(23)建築士会での活動・広報(18)東日本大震災・竜巻・災害(21)東北・北海道の町並み・建築探訪(11)栃木県の町並み・建築探訪(14)関東の町並み・建築探訪(14)甲信越の町並み・建築探訪(1)京都の町並み・建築探訪(21)西日本の町並み・建築探訪(4)茨城県北の町並み・建築・施設探訪・自然・文化(13)茨城県央の町並み・建築・施設探訪・自然・文化(30)茨城県西の町並み・建築・施設探訪・自然・文化(8)茨城県南の町並み・建築・施設探訪・自然・文化(34)茨城県鹿行の町並み・建築・施設探訪・自然・文化(5)最新記事アーカイブ
mail@nagai-sekkei.com
茨城県を中心として
活動している 設計事務所です。
対応エリア
水戸・ひたちなか・那珂・
|
設計者の想いの日々(ブログ)すべて茶道具が完成しました
去年の末に製作を依頼された茶道具が完成しました。
これは、「竹違い棚(石州好)」と呼ばれるもので、江戸時代に書かれたと思われる図面を元に製作しました。 棚は、節の無い杉の赤身の材料で、地板の縁周りは、京都から取り寄せた晒し竹、棚を支える柱は、胡麻竹(錆竹)、中のスノコは、和歌山産の黒竹で造られています。 また、この茶道具は、収納しやすくするために、柱が取り外せるように出来ています。 縁周りの白い晒し竹の四隅の留めの部分の加工は非常に難しく、一度やり直しています。太さが微妙に違う丸い天然の材料を、隙間無く継なぎ合わせるのですから、工場加工では決して出来ません。熟練した人間の技術が必要です。 この図面を元に製作に取り掛かりました。 棚の左右の端部は「ハシハミ加工」といって、木目の方向を90度回転させた同じ杉の材料で押さえて、薄い棚が反ったりしないようにします。
増築と既存建物
既存の建物に、増築を行う場合、増築部分だけではなく、既存の部分においても、原則的に、現行の建築基準法に適合させなければならないことは、あまり知られていません。
昭和25年に制定された建築基準法は、何度となく改正されていて、特に、構造上の基準は、地震等の大災害を教訓に、1981年(昭和56年)と2000年(平成12年)に大改正されています。つまり、平成12年以前に建てられた建物に増築を行う場合は、既存部分も平成12年の建築基準法に適合させなければいけないわけで、増築する際に、既存部分も現行法に沿って改修することが必要になってくるわけです。 ちなみに、昭和56年の大改正の内容は、木造の場合、筋交い(壁量)の数の規定が大幅に強化されたこと、平成12年の場合は、筋交いをバランス良く配置すること、地耐力に応じた基礎形状の特定、柱脚と柱頭を計算により金物等で固定するなどが挙げられます。 「筋交いをバランス良く配置すること」とは、筋交いが北側に集中して、南側に大開口があるが故に筋交いがほとんどない建物が、1995年の阪神・淡路大震災で、南側部分が多く崩壊した教訓を踏まえたものです。つまり、筋交いは、北側と南側(あるいは東側と西側)にバランス良く配置しなさいというものです。 「柱脚と柱頭を計算により金物等で固定する」こととは、やはり、1995年の大震災で、柱が梁や土台に強固に固定されていないが故に、柱が引き抜かれた建物が多かったことを教訓にしています。 これらの改正された基準に、既存部分でも、増築する際に合わせて改修することが必要だったのですが、あまりにも酷だというわけで、最近の緩和規定により、「柱脚と柱頭を計算により金物等で固定する」ことは、既存部分では、除外されました。 昭和56年以前に建った建物は圧倒的に筋交い(壁量)が少なく、平成12年以前に建った建物は、南側に筋交いがあまり、存在しないものが多いのが実態です。 建築基準法が制定された昭和25年以前に建てた建物は筋交いすら存在しません。そもそも戦前に建てられた木造の建物は、「伝統工法」といって、現在の建築基準法の考え方とは、全く違っていますので、「伝統工法」を無理やり、現行法に適合させることに無理があると思います。(この辺のお話については、昨年11月11日付の「在来木造工法の構造を考える」で記載していますので省きます) このように、10㎡以上の増築を行う際、必要となる建築確認申請をする場合は、既存部分の安全性を現行法に沿って確認することが設計者・工事監理者に明確に課せられます。自分が設計・工事監理したわけではない既存部分の安全性を確認することの責任は、決して軽くはないものなのが事実ですので、ちょっとした増築であっても、慎重に設計・工事監理を行うことになります。
家を買うという造語を考える
「家を買う」という表現がこの昨今、頻繁に使われるようになりました。建売住宅や中古住宅で、現に存在しているものならば、まだ話はわかるのですが、注文住宅ですら、そのような言い回しがされることがあります。この世のどこにも存在しえない現場加工品である注文住宅を、いったい、どこで、どのようにして、買ってくるのか!?
とても不思議に感じる表現です。 例えば、飲食店を開いたり、福祉施設などを運営するにあたって、建物を新しく建てる場合、そのオーナーさんは、建物を買うという表現を間違ってもしません。建物を造って、事業を経営していくのですから、「建物を買う」という概念は全くありません。 役所でもそうです。公共施設など、買いようがありませんから、多くの市民(国民・町村民)の声や有識者の意見を聴きながら、設計業務を、建築士事務所に委託して、骨格を固めていきます。 このように、住宅以外の建物は、堅実に、少しずつ造り上げて、現実のものにしていくのに対して、なぜ、住宅だけは、「青い鳥」を求めるかのように、「購買」的な要素に振り回されるのか、甚だ、疑問です。 もっと、直截な言い方をしましょう。 「家を買う」という表現は、「日本語」として、成り立っていないのではないでしょうか? この世に存在し得ないものをどのように買うというのでしょうか? それぞれの異なった敷地条件と、建築主であるお客様の百人百様の価値観・美意識・生活設計に基づいて、街並みで生きた家を建てるならば、「家は造る」ものなのです。 「家を買う」という表現は、効率よく「家を売る」ことで、利益を上げたい立場の者が作ったこの数十年の造語に過ぎません。 この世に決して存在し得ないものを、在るかのように見せかけて売る商売から派生した造語で、これ以上、日本の住宅文化やモラルが破壊されていく事態を看過することは、設計者の一人として、できないことです。
建築物の用途変更の手続き
建築物の用途を変更して使用するに先立ち、建築確認申請が必要なケースが多々あることは、一般的にあまり知られていません。建築物のなかでも、不特定多数の人々が出入りする「特殊建築物」と称されるものがあるのですが、用途を特殊建築物の用途に変更したり、あるいは特殊建築物の用途を別の特殊建築物の用途にする場合で、100㎡を超える際は、建築確認申請が必要となります。但し、類似の用途への変更の場合は、建築基準法施行令第137条の9の2に基づき、その必要はありません。
「特殊建築物」とは、建築基準法第2条二項、建築基準法施行令115条の3の規定で、学校、体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツ練習場、病院、診療所、児童福祉施設等(高齢者・障害者の施設を含む)、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、展示場、百貨店、待合、料理店、飲食店、物販店舗、マーケット、キャバレー、カフェ、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、ホテル、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレビスタジオ、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場、その他これらに類するもので政令に定めるものを指します。 一戸建ての住宅、事務所、神社仏閣などは、特殊建築物には該当しません。 用途変更で間違いやすいのは、「物販店舗」と「飲食店」で、同じ店舗でも、建築基準法では、全く別用途になることです。例えば、コンビニを飲食店に用途変更する場合は、建築確認が必要になります。特殊建築物でない住宅や事務所を飲食店や物販店舗に用途変更する場合も、100㎡を超えれば、建築確認が必要です。 但し、市街化調整区域の場合は、用途変更するにあたっての要件は厳しくなります。100㎡以下の場合であっても、都市計画法の許可から必要になります。もちろん、市街化調整区域で認められている限られた用途以外への変更はできません。調整区域で認められている用途を説明すると長くなるので、今回は省きますけれども、よく、調整区域の空いたコンビニが事務所に転用されているケースを見かけると思います。これは、都市計画法上、違法です。 建築確認申請が必要な用途変更であるにもかかわらず、無断で用途を変更して、建築物を使用している場合は、行政に発覚した際、使用停止命令が下されることになります。
1月の茨城~平成23年
一月の茨城県各地の自然風景と催し物の様子です。
一月初旬には水戸市偕楽園の早咲きの梅が咲き始めました。 偕楽園の好文亭の三階から眺める千波湖 偕楽園の好文亭では、お座敷遊び、「投扇興」体験イベントが行われました。 一月中旬には茨城県も積雪に見舞われました。 水戸市弘道館の梅も一月の末になって、少しずつ華やかさを増してきました。 水戸市弘道館玄関前の蝋梅 土浦市乙戸沼公園の渡り鳥が群れをなしています。
|