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設計者の想いの日々(ブログ)六角堂再建への異議申し立て(続き)
六角堂の再建に関わる使用木材の件について、茨城県建築士会専務理事兼事務局長の加藤繁治さんより文書で昨日、回答がありました。新聞の記事と異なる点もあり、そのまま引用します。
「六角堂再建の使用木材のことですが、実は昨年の11月に伐採し、2ヶ月間現地で葉枯らし乾燥を行いました。 1月17日、所定の長さにして切り出し、現在、北茨城市五浦で現地で馴染ませる自然乾燥を行っています。 ここで、約1ヶ月間自然乾燥を行い、その後、機械乾燥を行うと茨城大学から聞いております。 従って、3月末までに完成することはできないと思います。 建築士会は、再建設計づくりのお手伝いをしましたが、現在は、工事が発注されて請負者の松井建設と茨城大学の間で工事が進められております。」 本日、別件もあり、建築士会本部にお伺いし、事務局長の加藤さんとお話しました。発注元の茨城大学の意向として、5月の連休前には、六角堂の再建を終えたいということ、もう一点、生誕150年を迎える岡倉天心と同じ樹齢150年のいわき市のスギ(新聞で伐採の様子が報道されたもの)を是非使用したいとのことでした。 ここで、原木の伐採から竣工までの流れを検証していきたいと思います。 まず、原木を伐採後、葉枯らし乾燥をしたということですが、冬場の葉枯らし乾燥期間として、最低3~4ヶ月は要すると想定されますが、今回の乾燥期間は2ヶ月程度です。 葉枯らし乾燥とは、伐倒後枝葉を付けたまま、山に寝かせて、葉が黄変もしくは赤変するまで自然乾燥させることです。果たして、今回、約2ヶ月で葉が変色・枯れるまで、乾燥させたのか、疑問が残ります。 葉枯らし乾燥後、北茨城に運搬し、自然乾燥で現地の気候に馴染ませる、これは非常にいいことだと思います。ただ、期間が一ヶ月と短すぎます。 問題となるのは、その後の過程です。つまり、機械乾燥をかけてしまうということです。前回、申し上げた通り、人工機械乾燥の釜に材木を入れると、材木の持つ脂身が失われ、内部割れを引き起こし、強度の低下をもたらします。また大工の手刻みが多く必要とされる建物において、人工乾燥の木材では、粘りがないので、手刻みでは弾き易く、欠けてしまうこともあるわけです。つまり、神社仏閣などの類のプレカット(自動製材)の出来ない建物では、天然乾燥の材木を使用するのが常識なのです。 復興を急ぐ気持ちは非常にわかります。ただ建築物の品質を落としてまで、国の文化財の再建を急ぐ是非を、私は問いかけたいのです。 建築物の品質を落とすこと、これは、つまり、世間で糾弾されている手抜き工事です。発注者が急いでいるからと言って、本当に建築物の品質を落としていいのでしょうか。 建築のプロとして、発注者サイドを根気強く説得すべきなのに、それが出来ないのは、建築士としての職務を放棄しているようなものなのではないでしょうか。 手抜き工事は、大人の諸事情で行われることが非常に多いわけですが、今回のケースはその典型例であると、私自身は捉えています。
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