設計者の想いの日々(ブログ)
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永井昭夫
建築設計事務所
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設計者の想いの日々(ブログ)

当設計事務所の姿勢・信条

代理人としての役割の設計事務所

総務省によると、ネットの普及などに伴い、情報の量はこの10年で500倍以上になったとのことです。これだけの夥しい情報の氾濫のなかで生きるためには、情報の取捨選択のセンスを磨くことが極めて大事になってきていると言ってよいでしょう。
住宅業界でも他の業界にも増して、多くの情報が氾濫していまして、今まで何の知識のなかったお客様がこの業界の大海に飛び込むためには、いくら用意周到に準備したとしても、「不安感」を覚えざるをえないのが現実だと思います。
この「不安感」を少しでも解消しようとするために、ハウスメーカー・ビルダーは大量に営業社員を動員して、言葉巧みにいわゆる「見込客」に近づき、営業社員はお客様を想う「良い人間」であることを演出して、自らの会社の利益を守るマニュアルに添って、歩合給という餌をぶら下げられて、必死に成約に結びつけようと動いて、お客様が各社を吟味して選択決定するのが、現在、住宅を建築するに至るまでの構図の王道です。
ただ、この営業社員は契約前の接客を主とする人たちであり、会社からマニュアル通りの教育は受けていたとしても、建築士などの資格を持たない、あるいは今後もそのような資格を取得する気がない、住宅や建築について素人な人間がほとんどです。ただ、会社の利益を守るためのマニュアルに則って、接客に長けているだけに過ぎません。

一般的に、未知の物事に取り組む場合、知識のある有資格者などに相談したり、「代理人」を立てて、自らの利益が損なわれないようにすると思います。例えば、裁判を起こす場合、弁護士を「代理人」に立てて、相手と戦うのが普通でしょう。生半可な知識を持つ無資格の人間と相談して、裁判を行う者はほとんどいないでしょう。
けれでも、住宅業界では、総合的に住宅や建築の知識のある有資格者を「代理人」として立てずに、利益を求める会社がマニュアルを生半可な素人に与えて、彼らを窓口にして、お客様に高い買い物をさせてしまうのが常識にすらなっています。

同じ建築業界でも、住宅以外の用途について、例えば、商業施設、福祉施設、医療施設、事務所などのような建築主(施主)は、何回となく建物を建築する機会もあり、知識ある有能な建築士の資格を所持する代理人を立てて、いかに自らの意図を徹底させて、かつ、自らの利益を保護するためのノウハウを培っています。つまり、中立の立場にある「代理人」たる設計事務所を上手く使い、なるべく自らの理想に近いものを、建設会社に搾取されることなく実現する術を知っています。「設計事務所」に設計・工事監理業務だけを委任するのでなく、建築主(施主)の「代理人」たる役割を与えることで、建設会社との折衝を任せるなどして、自らの利益を守っています。

住宅の業界でも、情報が氾濫し、人々の価値観が多様化し、複雑化した社会のなかでは、設計事務所を「代理人」として立てていく重要性をもっと人々に認識されるべき努力をしていかなければならないと私は考えています。
カテゴリ:当設計事務所の姿勢・信条 2010年9月14日(火)

設計と施工の完全分離

設計だけではなく、なぜ工事を施工しないのかと時々聞かれます。工事を請け負ってしまったほうがお客さんは安心するのではないかと…。「○○ハウス」とか「△△△ホーム」という商号をつけて運営していったほうが商業的利得があるのではないかと…。金でも借りて、展示場でも作ったらどうだと…。いろいろな方面の方々からそう言われます。
そのたびに、当事務所のHPを読んでくださいと答えるのですが、HPがなかった頃はいちいち、そのような質問があるたび、真面目に回答していまして、その集大成として、HPの「設計事務所とは」に纏めた次第であります。結論を申し上げると、当事務所は設計と施工を一貫して行い、工事を請け負う野心は毛頭ございません。わざわざ、私が新規に工事の請負の分野に参入しなくとも、優秀な工務店や建設会社はいくらでもあります。
ここで誤解のないように申し上げると、私は工事は請け負いませんが、お客様の利益を守るために「工事監理」は行うということです。

そもそも、私は最初から「設計施工完全分離」を唱えていたわけではありません。紆余曲折があって、そのような結論に辿り着いたのであって、特に住宅の分野について、「設計施工完全分離」が推進されるべきであると考えています。
その理由として、設計施工一貫方式のなかで住宅を建てる場合、消費者の利益を損なうような場面に無数に遭遇してきたこと、そして住宅建設業界なるものがハウスメーカーを含めた生産者主導の海千山千が蠢く業界であり、そのなかで消費者の利益を守るためには、消費者の意向を代弁してくれる設計・工事監理者という専門家が必要であることなどが挙げられます。

もう一点、私が工事を請け負わない確たる理由があります。それは100%に近い確率で請負会社を潰すであろうということです。
私はすぐに安請け合いし、損得抜きで突っ走ってしまうところがあります。設計業務であれば、安請け合いしたところで、それほど経営上、実害はありませんが、施工となると大変なことになってしまいます。
そうでなくても、浮き沈みの激しいハウスメーカー・ビルダーです。この10年で、どれだけの会社が潰れ、また、雨後の竹の子のように、どれだけの「○○ハウス」が生まれたことでしょう。そんな馬の生き目を抜くような業界の嫌な部分を見てきた私に、工事の請負の業界に参入しなさいという話は土台、無理というものです。住宅は当たれば大きい業界であり、素人でも資本さえあれば参入しやすいので、これからも多くの「○○ハウス」や「△△△ホーム」が生まれ、そして次々と消えていくことでしょう。

私は設計・工事監理者であると同時に、お客様の代理人として活動していくことに醍醐味を感じております。また、そのような私の活動と、実際に工事を請け負うという業務は全く違うものであると私は考えています。


*当事務所のHPの「設計事務所とは」の補足的意味合いもございますので、合わせてお読みいただけると幸いです。
カテゴリ:当設計事務所の姿勢・信条 2010年7月31日(土)

お金

「お金」はとても大事なものです。「お金」がなければ、ご飯も食べられない、やりたいこともできない、将来のために貯蓄もできない、文化的生活も送ることができません。
私もその例外ではなく、「お金」がとても大事で、「お金」がなければ、生活もできなければ、事務所の運営をすることができません。「金がないのは首がないのと同じ」とは言い得て妙だと思います。

私の仕事はそのとても大事なお客様の「お金」を設計上の創意工夫により最大限に生かして、無駄なお金が使われないようにお客様の立場に立って工事監理することだと思っています。海千山千の生産者重視の住宅・建設業界から消費者であるお客様の利益を守り、その貴重なお客様の利益から報酬をいただくのが設計・工事監理者たる「設計事務所」の役割だと思います。

だから、「設計事務所」は住宅・建設業界にいるのではなく、サービス業としての役目を強く意識して仕事に取り組むべきであって、「住宅・建設業界からの訣別」も考慮しなければならないというスタンスがこれからの時代の要請になってくるのではないかと私は考えています。


*当事務所のHPの「設計事務所とは」の補足的意味合いもございますので、合わせてお読みいただけると幸いです。
カテゴリ:当設計事務所の姿勢・信条 2010年7月26日(月)

世界に一つだけの家

設計事務所に住宅を依頼すると費用が高くつくのではないか、いわゆる建築家主導によりコスト度外視で変な家を建てられてしまう、設計が終わったら、設計事務所は工事に関知せず、施主が工事会社と折衝しなければならない等、設計事務所について、そのようなイメージを抱いている方々が想像以上に多いようです。

少なくとも、当事務所ではそのようなことは全くありません。壁・床・天井に自然素材をふんだんに使用して、坪単価50~60万程度(施工面積換算)で世界に一つだけの家を造ることは十分に可能です。ちなみに大手ハウスメーカーの最終平均坪単価は60万前後で、内装はビニールクロスや新建材が主体です。
なぜ、そのような差が生まれるか?それは莫大な営業経費をかけているか、かけていないかの差です。詳細については、当事務所HPの「設計事務所とは」で書いておりますので、お読みいただけると幸いです。

また、当事務所の理念として、「お客様の利益を保護する」ことを第一に掲げて、「お客様の要望」と「コスト」のバランスについて、常に意識しながら、お客様と打ち合わせしています。どんなに設計が良くても、お客様の予算にまるで合わなかったら、まさに絵に描いた餅です。

もう一点、当事務所の掲げている理念として挙げられるのが、設計完了後、工事に入ってからも、お客様の窓口はあくまで設計事務所にあるということです。その流れの詳細については、当事務所HPの「ご相談から完成までの流れ」でご説明させていただいております。

コストパフォーマンスに優れた、そして、顧客満足度を第一に置いて、「世界に一つだけの家」を今後もお客様に提供していきたいと考えています。
カテゴリ:当設計事務所の姿勢・信条 2010年7月18日(日)

社会貢献と設計事務所

20代~30代前半にかけては雇われる身に立場を置き、建築の仕事に人一倍邁進していたと思います。この世界で、今後、独立して、やっていけるのだろうかと絶えず不安を抱えていましたので、ハウスメーカー時代は要望のとても多いお客様を率先して担当し、設計事務所勤務時代は経営者の立場から見れば、採算度外視だと愚痴られるほど、設計監理業務に全力を注いで仕事をしてきたと自負しています。

そんな時代を現在、振り返って、決定的に足りなかったことがあります。それは建築の世界を超えた社会人としての教養の無さ、仕事に邁進し過ぎがために利己主義に陥ったことなどが挙げられると思います。
建築の世界以外のことで、「永井さんはどんな花が好き?」とある人に質問されても、「花なんて関係ねえよ」という精神的余裕の無さですから、教養が無く、利己主義に陥ってしまう状態になるのも、やむをえなかったのでしょう。
このような高度成長に走ったがゆえのひずみに、やっと気がついたのは独立して数年経過した、ここ2~3年のことだと思います。

話はさかのぼり、20年以上前の学生時代の頃の話です。その頃は伝統的な文学や哲学書などを読み耽り、大酒を飲んではクダを巻いて、議論を吹っかけては、友人を困らせたものです。そんな机上の空論にも次第に飽き、人に偉そうなことを言って悦に入っているくらいなら、実際に物を造っていたほうがはるかに充実する人生なのではないかと思い始めました。世は当時、バブル絶頂で、仕事はいくらでもありました。そんなこんなで建築業界に入って、昼も夜も一生懸命働いて、無事、一級建築士を取得し、苦心惨憺の末、設計事務所を独立するに至ったわけです。

独立後、やや精神的な余裕も生まれ、学生時代読んだ伝統的な文学や哲学書を改めて読み返してみて気がついたことがあります。建築も文学も哲学も人間の生活に密着した分野だということです。物を書くのも物を造るのも、人間の生活についてを前提にしているわけで、相通じるものがあるのではないかと思い始めました。例えば、伝統的な日本建築と日本文学の共通性は谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」に最も明瞭に現れています。

このあたりから日本の伝統の探求が始まりました。茶道を習うことで、当時の茶室建築や「茶の湯」の精神性を勉強したり、華道を習うことで、花の美しさを感じる心の余裕を持って、「生け花」の空間の「間」の生かし方を建築に応用できないものかと考えたりするわけです。
やっとですが、建築士の領域を超えて、社会人としての教養を身に付けたり、お客様をもてなす心を茶道から学んで、利己主義から脱する努力ができるような位置に立てたと思います。

そして、これから将来生きていくうえでのテーマとして、日本の伝統を守ることを主眼に置いて、建築士として、また一人の社会人として、「社会貢献」をしていくことが重要になってくるのではないかと思います。まだまだ、「設計事務所」の現状での仕事と「社会貢献」は乖離しているかもしれません。
しかし、学生時代の読書生活と20代~30代前半の猛烈な仕事の生活が現在になって少しずつ融合しつつあるように、「社会貢献」と「設計事務所」の運営が渾然一体となるような努力をこれから推進すべきではないかと思います。それはいわゆる「設計事務所」の範疇を超える部分もあるかもしれませんが、これが私の人生の指針であると現在は考えています。
カテゴリ:当設計事務所の姿勢・信条 2010年7月11日(日)
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