設計者の想いの日々(ブログ)
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永井昭夫
建築設計事務所
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設計者の想いの日々(ブログ)

当設計事務所の姿勢・信条

茨城県産材の杉の梁の普及に尽力する

ここ最近、私は、茨城県産材の杉の梁材の普及に努めたいと考えています。茨城県では、今後、大径木の杉の供給が増えていきますから、これを梁材として積極的に利用していきたいのです。

といいますのも、広島に本社を置き、茨城県内にも製材工場がある中国木材の米松(北米産)の梁(ドライビーム・KD材)が市場を席捲している状況に、少しでも対抗したいと思うからです。
「ドライビーム・KD材」は、人工乾燥により、含水率を下げ、狂いを無くし、強度もあるというのが売りですが、そんなのはとんでもない話です。
人工乾燥の釜に入れて、水分も抜くと同時に脂身も抜いてしまう。松に脂身が無くなったら、木材の特性である「粘り」が無くなってしまいます。
また、人工乾燥に効き目があるのは、木材の目荒材です。目荒材は年輪の荒い、元々強度の弱い木材です。
目荒材に対して、強度のある、年輪の細かな、目が積んでいる木材は、人工乾燥に適しませんので、人工乾燥されたドライビーム・KD材は全て目荒材です。
人工乾燥された木材は、パサパサで、木が死んでいるかのような色です。
また木材の内部割れも生じやすいので、強度面にも不安を抱えます。
消費者軽視・生産者重視のハウスメーカー・ビルダーならともかく、地場の工務店、設計事務所はこういう材料を使用するのはやめて欲しいと思います。
こんな材料を使って、何が長期優良住宅なのか、非常に理解に苦しみます。

私がこう書き記しても、残念ながら「権威」というものがないので、以前、このブログで紹介したかと思いますが、再度、「板倉建築住宅」で知られている筑波大の安藤邦廣名誉教授の名言を下記に引用します。

『人工乾燥の木材は細胞が老化した老人の肌のようなもの。バサバサしていて艶もないし張りもない。呼吸しない。
それに対して自然乾燥の木材は若者の肌のようなもの。収縮や膨張などの悪さもするが艶やかで張りもあるし呼吸する。それに、これから壮年期にかけて更に強くなる。だから何百年もの間家屋を支えることができた。
それに対してKD材は、強制乾燥をかけた直後から劣化が始まる。しかしそれでも、30年程度は問題なく家屋の建材として使用に耐えることはできる。
今の日本の住宅は大抵30年位で寿命が来るから、それだけ持てばよいというのなら、KD材でも問題ない。
ただし、かつての日本の民家のように、建て替えの際に木材を再利用することは絶対にできない。劣化した抜け殻のようなものだから。』

ちなみに梁は、歴史的に地松(黒松)が使用される地域が多かったですが、茨城県北の旧里美村などでは杉の梁が当たり前のように使用されてきたようです。
また紀州などでも、杉の梁が多用されるなど、決して杉が梁として不向きでないはずです。
現在の日本では、国産の松の資源量が非常に乏しいため、外材の米松が代替品として多用されることとなり、今に至ります。
杉の梁については、曲げ強度は非常に強いのですが、柔らかい木材であるため、たわみやすい性質を持ちます。従って、地松や米松よりはその寸法を大きくする必要があります。
また、木材は、人間と同様で、木一本一本それぞれ強度が違います。
従って、スパンを飛ばすための梁には、目の積んだ強度のある材料を使用し、スパンを飛ばさない梁は目の荒めの強度の低い材料を使用するなど、適材適所に使い分けることが必要です。
そのためにも、木の素性を吟味しないで加工することが多いプレカット工場の機械による刻みは不向きで、大工さんが材木屋さんと協力しながら、適材適所に杉の梁材を手刻みで加工することが非常に重要となります。
ちなみに「適材適所」という言葉は、材木屋さんから生まれた成語と言われています。
茨城県産の杉の梁材を使用することは、「地産地消」の理念を大事にすることにもつながりますし、さらには、熟練した大工さんの技術を若い世代に継承することにもなります。

現時点において、茨城県産の杉の梁は、KD材以外については、受注生産品です。発注から納品まで3ヶ月かかります。現在の情勢では、お客様を待たせてしまうような状況です。しかし、近い将来、紀州の杉の梁材のように、KD材ではない茨城県産の杉梁の在庫が出来るような状況になるべく、精力的に奔走したいと私は考えている次第です。
カテゴリ:当設計事務所の姿勢・信条 2013年10月17日(木)

工事監理者として建築主への報告義務を忠実に果たす

工事請負業者が業務報酬を得ることを目的として建築する建物は建築士法上、原則として建築士事務所に登録されている「工事監理者」が必須です。
建築士の資格を持つ「工事監理者」は、工事請負業者が設計図書通りに工事を行わない場合、建築主(施主)に、その旨を報告する義務があります。もし「工事監理者」がその職務を怠った場合、3ヶ月間、建築士としての業務の停止処分となっている事例が最近、実際にありました。
設計事務所が主導する民間物件の場合、そのほとんどが設計者=工事監理者であり、施工する工事請負業者との契約関係・癒着・しがらみが無ければ、独立した立場で、「工事監理者」としての職務を忠実に果たすことが出来ます。
けれども、ハウスメーカー・ビルダーや工務店のように設計施工一貫方式である場合、自社で「工事監理者」を立てるか、あるいは下請の設計事務所に「工事監理者」の名義だけを借りるケースが多いため、設計上の不具合・工事の不正、図面通り工事が行われない事実などが非常に発覚しにくく、施工面だけでなく、金額面についても建築主にとって不利な内容での工事契約に至ってしまうことが大半なのが、住宅・建築業界の現状です。
私のような独立系の設計事務所の建築士は、そんな現状を打破すべく地道に努力はしているつもりですが、大量に経費を投入した営業力・販売力・宣伝力に太刀打ち出来ないのが正直なところです。
とは言っても、そのような住宅・建築業界の嘆かわしい現状に異を唱える消費者も、一定数いらっしゃいます。ネットの普及により独立系設計事務所の認知度も上がりつつあります。(但し、独立系設計事務所も玉石混淆ですから、消費者にとって注意は必要です。)
今後も私自身、消費者の利益を守り、建築士としての良心に恥じない業務を心がけるとともに、住宅・建築業界の嘆かわしい現状に一石を投じる活動を続けていきたいと考えている次第です。
カテゴリ:当設計事務所の姿勢・信条 2013年10月1日(火)

設計期間を考える

当設計事務所が設計業務をさせて頂くにあたって、特に注文住宅の場合には、「焦らず、慎重に、時には悠長に構えてください」というニュアンスのようなことをお客様に申し上げております。
もっと簡単に直截な言い方をしてしまうと、住宅に関しては、「焦って、急いで建てようとすると、ろくな事がない」ということでしょうか。
もし仮に、急がなければならない諸事情があったとしても、「急がば回れ」のスタンスで臨んだほうが良い結果を生むのではないかと思っています。
このことは私の過去の数々の苦い経験から導き出された結論と言えるものです。以前ここのブログで、16年前の消費税増税(3→5%)の駆け込み需要時、失敗物件が多々累々としていると申し上げましたが、私自身、決して、その例外であると言うことは出来ません。

当設計事務所の場合、ハウスメーカーのように、特に標準仕様というものが存在しません。お客様の価値観、美意識、思想、今後の生活設計を把握しながら、百人百様のご提案をさせて頂いています。
こういった一連の設計業務にあたっては、お客様に熟考して頂く項目や場面も少なくはないと思いますし、設計者が「機が熟する」のを待つこともあります。
従って、ハウスメーカー及び地場工務店よりは必然的に、当設計事務所の設計期間は長くなっています。今までの例から申し上げると、平均的に、半年前後、時には一年間程度の設計期間を要しています。(他の設計事務所もだいたい同じ位の期間がかかっていると思います)
これから数十年住み続ける建物を、千万単位で、一から造り上げていくのですから、本来、この位の時間は必要であると、現在、当設計事務所は認識するに至っています。
もちろん、設計期間が長ければ長いほど比例して、お客様の満足度の高い建物が必ずしも出来上がるとは言えないでしょう。また、打合せをし過ぎても、建築主・設計者を混沌の海に溺れさせる結果となることがあります。
ただ、設計期間を出来るだけ手離れ良く、短く済まし、急いで工事に着手しようとすることは、営利を追求する企業側の論理に過ぎないのではないだろうかと、私は考えている次第なのです。

追記
居住用でなく、業務用の建物については、必ずしも上記のことは当てはまらないだろうと思っています。その理由については、また別の機会に書き記したいと考えています。
カテゴリ:当設計事務所の姿勢・信条 2013年8月3日(土)

「建築家」でなく一介の「設計者」として

当設計事務所は、自らが設計した建築物を「作品」と称することに対して、大きな違和感を覚えています。そして、自らを「建築家」と自称することにも、気恥ずかしさを感じるので、一介の「設計者」であると称しています。

当設計事務所の対極に位置する「アトリエ系」の設計事務所は、自らの設計した物件を「作品化」とすることにハングリー精神を持ち、自称建築家として、意匠的なエゴイスティックな追求に、日々、余念がありません。つまり、お客様の生活理念・使い勝手を犠牲にしてでも、自らのイメージした意匠性にこだわり続けます。例えば、彼らは、ファッサード(外観の正面のデザイン)を重視するあまり、トイレなどの水廻りの窓を設置しないようなことを平気で行います。
そして、彼らの自称「作品」に共通するのは、「作品」のワンパターン化と、日本の伝統文化の忌避、底の浅い「意匠性」、「生活感覚」の乏しさです。
有名建築家・安藤忠雄に憧れて、意匠的にRC造(鉄筋コンクリート造)で設計したいけど、コストの制約上、やむなく木造を採用しているという屈折感を持つ「建築家」も少なくありません。
また、「アトリエ」系の設計事務所は、建築家としてのエゴを追求するあまり、身から出た錆、受注率がとても低いです。

私自身、彼らのハングリー精神には見習うべきものが非常にあるとは考えています。
けれども、私は、実際にお金を出資するお客様の生活理念・使い勝手、言い換えると建物の実用性を犠牲にすることには大きな抵抗感を持っています。なぜなら、建築物は「芸術品」ではなく、「実用品」であるという確固たる信念を持っているからです。
芸術家とは、「文学・哲学」「絵画」「彫刻」「一部の陶芸品」などのような自己完結的な分野で能力が発揮されるべきであり、何千万、億単位のお金がかかる「建築」の分野で、「建築家」のエゴを追求されても、社会的損失は計り知れないと考えています。
今は亡き某有名建築家は、自らが設計した公共建築物が雨漏りした際、「雨漏りしても仕方がない意匠・構造なんだ」と述べたそうです。
建築物は、風雨を凌ぐのが基本中の基本であり、意匠性を追求するあまり、雨漏りしたのでは、本末転倒というものです。

当設計事務所は、建物としての「実用性」と、建築物としての「意匠性」は両立できると考えています。というか、それが「建築」の常識なのではないでしょうか。「実用性」を犠牲にするのは単なる怠慢に過ぎないのです。
実用的な条件・制約あるいは法的な制約から、「意匠性」を生み出そうとすることこそが、「設計者」の役割なのではないでしょうか。
(実用性=お客様の言いなりでは決してないこと、誤解されないで下さい)
自らが設計した建物を「作品」と呼ぶことに大きな抵抗があっても、やはり私自身が設計した建物には愛着はあります。その「愛着」をお客様と共有できることが、一介の「設計者」としての達成感であり、幸福であるように考える次第です。
カテゴリ:当設計事務所の姿勢・信条 2012年12月28日(金)

事務所開設から約8年経過して

当設計事務所を開設して約8年、「住宅」と「店舗・福祉施設・事務所などの事業用建物」の業務比率は、おおよそ、1:1で推移してきました。
2年半前にHPを開設してからは、住宅の受注の割合が増えてきましたが、事業用の建物が中心だった時期もありますので、8年間通してみると、その位の業務比率になるかと思います。
「住宅に始まり住宅に終わる」との言葉があるように、住宅は建築の基本であり、住宅の設計・工事監理が細部にわたって満足に出来てこそ、「事業用の建築物」に応用出来るのではないかと考えています。
事業用の建物は、意匠・構造・設備の分野にわたって専門的知識が必要とされますが、そこで培われた素養は、住宅の建物の設計・工事監理を行う際にも非常に役立っています。「住宅」も「事業用の建物」も手掛けることで、お互いに相乗効果を生み、緊張感を持って、業務を遂行することが出来るように感じています。
ここ最近は、文化財などの歴史的建造物についての研鑽も加わり、日本の伝統技術を深く学び、現代の建築に失われつつあるものは何なのかを模索していきながら、「日本の伝統」と「現代性」を融合して昇華していくスタイルを、長い目で、確立していきたいと考えています。
カテゴリ:当設計事務所の姿勢・信条 2012年12月20日(木)
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