設計者の想いの日々(ブログ)
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震災から一年

あの震災から、ちょうど一年が経ちました。正直申し上げて、私自身、この一年間を冷静に振り返る心境には、まだ達していません。あれから、とにかく必死で生きて、懸命に仕事をしてきて、職業柄、トラウマとなるような多くの場面に遭遇してきました。当事務所の手掛けたお客様の物件については、無被害と言っていい状況なのが、不幸中の幸いでしたが、建築士として、行政その他多方面からの依頼で、数百件もの現場を廻った経験を、まだ自分自身のなかで整理し切れていません。そのうえ、大津波のような自然の猛威に抗しきれない人間の非力さを見せつけられ、さらには、原発事故に風評被害です。

今回の震災は、「地盤」がキーポイントだったとか、「瓦屋根」は地震に弱いとか、地震の周期が建物(上物)が壊れにくい長周期の揺れだったとか、鉄骨5Fのビルをモルタル外壁にする馬鹿はいないとか、そのような建築・土木的な話のみで完結されるべき問題ではなく、現在の社会が抱える様々な問題を浮き彫りにしています。
例えば、高齢化社会・核家族化の進行に伴い、今回の震災で築数十年経過した家が相当損傷し、そこに住む高齢の夫婦が嘆くわけです。
「私たちはこの先短いし、子供達は独立して所帯を持ち、ここに戻ってくることはないでしょう。この年になれば、家を建替えることも出来ないし、そうかと言って、また、いつ大地震が来るかわからない。不安に怯えながら、この先、生きていくしかないのでしょうか?」
このようなニュアンスのお話は何回聞いたかわかりません。
まだ、生活に支障のないような家の損傷具合ならいいのです。家が傾いて、そのような状況を放置せざるをえない高齢者の住居は茨城県内だけでも相当数に上るのではないかと思われます。家が傾いた状況で生活を長く続ければ、人間の平衡感覚は狂い、いずれ、健康状態に支障が生じる可能性が高いでしょう。けれども、長く住み慣れた愛着ある住居を手放して、解体するにも忍びなく、そのまま住み続ける高齢者も多いのです。
日本人の特性として、このような問題を、すぐに、政治家や行政が悪いと言う傾向にあります。福祉の充実化を図り、高齢者が安心できる暮らしの実現などのような心地良い言葉に酔いしれて、それを行政や議員に押し付けて、そのくせ、自分の親の面倒もろくに見ないようなケースは枚挙に暇ありません。

大震災を通じて、日本の社会の現状が抱える多くの深刻な問題が浮き彫りにされるのは、まだまだ端緒に過ぎないと、私自身は考えています。
カテゴリ:東日本大震災・竜巻・災害 2012年3月11日(日)
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