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設計者の想いの日々(ブログ)茨城県の住宅被害状況を考える
国(内閣府)の基準に基づく、8月11日現在の茨城県内の住宅被害状況は以下の通りです。
全壊棟 2665棟 半壊棟 18290棟 一部破損棟 150452棟 今まで、行政及び建築士会の依頼で、罹災証明の調査を行ってきた私なりの見解で、「全壊棟」、「半壊棟」、「一部破損棟」について、概略を説明しようと思います。 「全壊」とは、人が住めるような状態にはなく、建物内部及び周辺に立ち入りすることが危険な状態です。ほぼ修復不可能なレベルまで建物が破壊されています。 「半壊」とは、修復費用が500万~1000万以上かかるような状態で、人が住めないような状態、もしくは、修復しなければ、長い間の生活がきわめて困難な状態にあります。 この「全壊」と「半壊」の状態が、茨城県内の住宅で、2万棟以上存在していることになります。 また、「全壊」と「半壊」の基準に達してしない「一部破損棟」のなかでも、人が住めない状態だったり、500~1000万単位の修復費用をかけなければ、長い間の生活が困難であるケースは、「全壊」「半壊」の合計数である2万棟の数倍に及ぶと推測されます。 茨城県内では、一部地域を除き、被害が全く無い住宅は皆無に等しい状況で、屋根、内装・外装の破損ばかりが目に付きますが、建物の不同沈下、建物の傾きの問題が非常に深刻です。この建物の不同沈下ですが、液状化現象が起こっていない地域でも、多く散見されます。またマスコミの報道では、液状化現象について、千葉県浦安市、茨城県潮来の日の出地区、水戸駅南口等が報道されていますが、それはあくまで氷山の一角に過ぎず、茨城県内の多くの地域で確認されています。 この国(内閣府)の罹災レベルの判断基準は、今年の5月に緩和されましたが、それでも、民間の保険業者の査定と比較して、極めて厳しいのが実情です。 ここで、建築に携わる者として、私自身、申し上げたいのは、茨城県内の震災の死者は東北各県と比較して、少ないのかもしれませんが、建物の被害は甚大だということです。建物の外観は、それほど被害があるように見えなくても、建物内部に入った瞬間に驚愕するケースは多々ありました。この5ヶ月間、建築士としての様々な活動を通じて、目を覆うような場面に多く遭遇してきました。このトラウマになりかねない経験を通じて、住宅・建築業界の未熟さ、自然の脅威を思い知りました。これ以上、人間の不幸は見たくありません。人間の「幸福」を導くのが建築士としての「使命」なのです。この原点を忘れずに、これからの半生を送っていきたいと私は考えています。
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