設計者の想いの日々(ブログ)
カレンダー
<< 2018年8月 >>
2930311234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930311
2345678
カテゴリ
すべて(419)当設計事務所の姿勢・信条(31)建築雑感(24)建築知識(22)建築構造・性能(17)建築文化・伝統(27)建築素材・材料(27)住宅・建築業界(17)建築設備(5)設計者の日常(33)工事監理・現場紹介(11)お知らせ・ご挨拶(19)建築士会での活動・広報(15)東日本大震災・竜巻・災害(21)東北の町並み・建築探訪(11)栃木県の町並み・建築探訪(14)関東の町並み・建築探訪(14)京都の町並み・建築探訪(19)西日本の町並み・建築探訪(2)茨城県北の町並み・建築・施設探訪・自然・文化(13)茨城県央の町並み・建築・施設探訪・自然・文化(30)茨城県西の町並み・建築・施設探訪・自然・文化(8)茨城県南の町並み・建築・施設探訪・自然・文化(34)茨城県鹿行の町並み・建築・施設探訪・自然・文化(5)
最新記事
アーカイブ
永井昭夫
建築設計事務所
mail@nagai-sekkei.com
茨城県を中心として
活動している
設計事務所です。
対応エリア

水戸・ひたちなか・那珂・
日立・常陸大宮・城里・
笠間・鉾田・小美玉・
石岡・土浦・つくば・
筑西・古河・牛久・
龍ヶ崎・取手・守谷
その他地域もご相談下さい。

設計者の想いの日々(ブログ)

建築素材・材料

杉浮造りフローリング拭き漆仕上

        

国産杉の浮造り(うづくり)のフローリングに、茨城県の奥久慈産の漆を2~3回塗って仕上げたサンプル品です。
これは、「拭き漆」という仕上げ方で、木目を活かした漆の塗り方です。漆を摺り込むように仕上げるので、「摺り漆」とも言います。
漆は湿気、酸、アルカリに強いですが、紫外線には弱い弱点があります。
水戸の偕楽園の敷地内にある「好文亭」の「東塗縁広間」や「西塗縁広間」の床にも、漆が塗られています。
漆は紫外線に弱いため、南側などの陽の当たる床に使用するためには、細心の注意が必要です。
カテゴリ:建築素材・材料 2012年12月30日(日)

奥久慈漆

先日、「山方漆ソサエティ」様に、吉野松の「奥久慈漆」の拭き漆仕上げを二枚お願いしました。
茨城県の奥久慈地域は、日本で第二位の「漆」の生産量を誇ってきましたが、現在は安価な中国産に押されて、高品質の「奥久慈漆」も振るわない状況に陥っています。国産漆の使用量は、現在、全体のたった2%に過ぎません。ほとんどが低品質で、劣化の激しい中国産で占められています。
地場産業の復興のためにも、建築士として、これからも最善を尽くしていく所存です。
拭き漆仕上げとは、木目を活かした漆の塗り方で、漆を5回前後、摺り込むことによって、深い艶を帯びてきます。
「奥久慈漆」塗の吉野松に、笠間焼の洗面ボウルを載せる予定です。
来年2~3月には出来上がりますので、この場で公開したいと思います。

「山方漆ソサエティ」
http://www10.plala.or.jp/k-mutou/yus.html


以下、「山方漆ソサエティ」様のHPからの引用です。

「japan」の英訳(漆、漆器)をご存知ですか?磁器を「china」というように、国名と重なるのは希であり、その歴史的背景、重要性は多くの言葉を要しません。しかし時代は、合成漆、科学塗料を生み これらが今生活の隅々で主役演じています。かつて、茨城県北部久慈川上流域(奥久慈地方)は、漆の特産地として名声を博していました。しかし、安価な輸入品により現在その生産は往時の活況とは程遠く、さらに漆掻き師の継続者は皆無と言っても良い状況なのです。この様な中、茨城県山方町のグループが、2001年に会員自らが、漆掻き、生地作り、塗り、そして創作品の開発を目指して立上げたのが、YUS山方漆ソサエティで、東京の漆工芸荻房の指導を受けながら活動しています。
カテゴリ:建築素材・材料 2012年12月1日(土)

ホワイトウッド集成柱を斬る~経済性を追求した成れの果て

木材業者、大工、あるいは、良心的な建築士の間のなかで、非難轟々の渦に晒されている材料があります。
それは、何かというと、『ホワイトウッドの集成柱』というものです。
「集成柱」とは、いくつもの木片を糊で貼り付けて、105㎜角・120㎜角の柱にしたものです。
集成材は梁、その他造作材にも使用されていますが、今回は、『ホワイトウッド集成柱』にスポットを当ててみたいと思います。

ホワイトウッドの産地は北欧・ロシアなどが産地で、日本の高温多湿の気候からかけ離れた地域で産出されているため、日本の気候に馴染まない材料です。北欧などの現地ですら、腐りやすいという理由であまり使用されていません。
外部に晒されるウッドデッキに使用したなら、3年も持てばいいほうです。
ただでさえ、耐久性のない材料であるにもかかわらず、日本の高温多湿の劣悪な条件で、どれだけ構造体として耐えられるのでしょうか。さらに悪いことに、この材料は、白蟻にも滅法、弱いものです。

『ホワイトウッドの集成柱』がこれだけの弱点を抱えているにもかかわらず、ハウスメーカーを中心に採用されているのは、非常に安価だからです。商社から大量に買い付けることで、コストダウンを図っているわけです。
しかも、『ホワイトウッドの集成柱』が、無垢の柱より1.5倍の強度と喧伝し、画期的な材料のように、消費者に説明しています。確かに、材料が古くないうちであれば、その位の強度が出るように生産しているのでしょうけれども、元々、耐久性に乏しいわけですから、全く無意味です。
こんな材料を使用しても防蟻処理すれば、「長期優良住宅」に適合したりするわけですから、全くの茶番です。
最大手ハウスメーカーの一つは、こんな材料を使用して、坪70万で消費者に売りつけたりする詐欺行為をしているのです。

日本の杉や檜と比較して、格段に耐久性が落ちる『ホワイトウッドの集成柱』をハウスメーカーが使用するのは、もう一つ理由があります。集成材は含水率の低い材料ですから、木の反り・暴れがないため、クロスのひび割れや建具の建付けが悪いなどのクレームを減らすことが出来るということです。
このような些細なクレームを処理するのが煩雑ですので、この手の集成材を使用することになるのです。

日本の森林資源は豊富です。大径木のものは採りにくくなりましたが、柱材程度の太さの樹木は、あり余っています。杉花粉症が深刻になるほどですから、どれだけの林産資源が眠っているのか、想像に難くないと思います。

質の高い日本の林産資源に目を向けず、外国の粗悪な材料を買い付けることで、日本の建築・住宅文化がどれだけダメージを受けているか、大資本のハウスメーカー、地域のハウスビルダー、また、それを支持する消費者には猛省を促したいと私は考えています。
カテゴリ:建築素材・材料 2012年11月6日(火)

KD材・AD材・グリーン材とは~自然素材の再発見

柱、梁などの木造の構造材は、その乾燥方法によって、下記の通り、大きく3種類に分類されます。
①KD材(Kiln Dry Wood)と呼ばれる人工乾燥材で、温度や湿度、風量等を制御できる釜に入れて短期間で乾燥させる方法
②AD材(エアドライ材)と呼ばれる天然乾燥材で、文字通り、自然に乾燥させる方法
③グリーン材と呼ばれる、天然乾燥過程がまだ十分でない木材

つい数十年前までは、②の天然乾燥材が主流でしたが、現在では、①のKD材が主流となりつつあります。
AD材(天然乾燥材)は、原木から製材されて、どんなに短くとも半年から一年の乾燥期間が必要ですが、KD材(人工乾燥材)の場合、2週間から一ヶ月程度で済みます。また、KD材は、含水率をAD材(天然乾燥材)以上に下げることが可能なので、木材の狂いや暴れを極力減らすことが出来ます。木材の狂いがほとんど無くなる状態になることで、建築構造上、不具合が短期的には無くなり、仕上のクロスのひび割れ、建具の建付けが悪くなるなどのクレームを減らすことに繋がります。
それから、構造材のプレカット工場の普及によって、より狂いの少ないKD材が好まれるということも背景にあります。

このように、KD材は良い点ばかりのように思えますが、大きな欠点もあります。
それは、人工乾燥の釜に入れることで、含水率を下げることが出来るのですが、木の持つ脂身まで失うこととなり、木材の内部の割れが生じるなど、多くの問題を抱えます。木の持つ脂身を失うということは、木の性質が持つ「粘り」が無くなり、耐久性そのものも失います。もちろん、30~40年の耐久性はあるでしょうけれども、50~100年前後の耐久性を望むことは難しいでしょう。

それに対して、AD材(天然乾燥材)は、KD材より狂いやすい材料ですが、木の脂身を失わないことで、木の性質が持つ「粘り」を保ち、表面割れの現象こそ起こりますが、内部割れのような構造的欠陥は生じません。
つまり、狂いやすいというAD材の欠点を補うために、木の性質や素性を読みながら、大工さんが手刻みで加工を行えば、AD材を使用しても問題が無く、長い耐久性を保つということです。
グリーン材についても同様です。伐採直後の水の滴るような状態の材木は論外ですが、ある程度の含水率まで下がっている状態であれば、AD材同様、フォローすることは可能です。KD材とグリーン材を曲げ・圧縮・せん断試験などをすれば強度は、断然グリーン材の方が上です。
元々、KD材は、乾燥を速めるため、木材の目の積んでいない強度の弱い材料を使用します。木材の目の積んでいる強度ある材用を使用することはありません。
木材の細胞は50度以上に加熱されることで組織は死んでしまいます。死んだ木材細胞は、吸湿能力もほどんとなく、木の香りも艶もなくなり、強度も弱まります。

「板倉建築住宅」で知られている筑波大学の安藤邦廣教授の言葉を下記に引用します。
『人工乾燥の木材は細胞が老化した老人の肌のようなもの。バサバサしていて艶もないし張りもない。呼吸しない。
それに対して自然乾燥の木材は若者の肌のようなもの。収縮や膨張などの悪さもするが艶やかで張りもあるし呼吸する。それに、これから壮年期にかけて更に強くなる。だから何百年もの間家屋を支えることができた。
それに対してKD材は、強制乾燥をかけた直後から劣化が始まる。しかしそれでも、30年程度は問題なく家屋の建材として使用に耐えることはできる。
今の日本の住宅は大抵30年位で寿命が来るから、それだけ持てばよいというのなら、KD材でも問題ない。
ただし、かつての日本の民家のように、建て替えの際に木材を再利用することは絶対にできない。劣化した抜け殻のようなものだから。』

国を挙げて、「長期優良住宅」が推奨されている昨今ですが、KD材が主流となっている現在の家造りをみると、せいぜい30~40年持てば良いという、戦後以降の家造りの考え方が、益々、加速されているように感じます。
大工職人の高齢化が進み、構造体の手刻みの加工が出来る職人が減りつつある現在、木材の良さ、自然素材の良さを改めて見直して、再発見していく必要があると、私は、常々、考えています。
カテゴリ:建築素材・材料 2012年11月2日(金)

土佐和紙壁紙

経年劣化が激しく、化学製品である「ビニールクロス」貼ではなく、月日とともに風合が現れてくる自然素材である「和紙」を使いたくても、非常に高価でなかなか使えないのが現状でしたが、「ビニールクロス」と価格面で同等に近い「和紙」を見つけることが出来ました。

本題の「和紙」の話の前に、「ビニールクロス」について、簡単にご説明します。
価格の点から申し上げれば、「ビニールクロス」にも大きく二種類あります。一つは、ハウスメーカー、建売住宅、アパート・マンションによく使用される「普及品」タイプと、良心的な住宅会社・工務店や設計事務所、あるいは店舗などでよく使用される「1000番台」のタイプです。「普及品」タイプは、白系等、花柄模様を中心とする大量普及品で、安価ですが、種類が限られています。「1000番台」のタイプは、種類は非常に豊富で、意匠的にも面白いものもありますが、「普及品」タイプよりは高価です。
当設計事務所で、予算の問題で自然素材を使えず「ビニールクロス」を使用するとすれば、この「1000番」タイプで、「普及品」タイプを使用したとしても、納戸や便所などにその用途を限っています。

本題に戻ります。
「ビニールクロス」と価格面で同等に近い「和紙」は、1000年以上の歴史がある「土佐和紙」で、「和紙」は本来、「手漉き」のものでしたが、高知大学農学部と高知県立紙産業技術センターなどを中心に、「土佐の伝統産業を守る」というこの一念のもとに、近年、「機械漉き」の「土佐和紙壁紙」が開発されました。
「手漉き」を「機械漉き」にすること、そして、営業・販売・流通経費をかけないことによって、コストダウンに成功しています。
この「機械漉き」の「土佐壁紙和紙」は、「1000番」タイプの「ビニールクロス」の価格+100~300円/㎡程度の価格で実現可能です。住宅一軒で、平均の壁・天井の面積が300~400㎡ですから、「1000番台」タイプの「ビニールクロス」+10万前後の価格で実現出来るということになります。(注意:施工会社によって異なります)

この和紙の詳細ついては、「土佐和紙壁紙」で検索してみてください。


土佐和紙は国の伝統工芸品として指定を受け、土佐和紙を代表する土佐典具紙、清帳紙は、「無形文化財」に指定されており、土佐和紙の原料である「楮(こうぞ)」「三椏(みつまた)」は、高知県が全国の生産量の55%を占めています。

和紙は、ジョイント部分について、「重ね貼り」が基本です。対するビニールクロスのジョイント部分は、「突き付け」です。つまり、和紙は、1~2cm、ジョイント部分を重ねて貼るため、どうしてもジョイント部分が目立ちます。和紙は、調湿性があり収縮するため、どうしてもそのような施工方法になるのですが、それを風合いと捉えるかどうかは、人それぞれの価値観だと思います。

日本の伝統産業を守り、かつ、日本の伝統を積極的に取り入れて、いかに現代と調和させていくか、これは当設計事務所の使命であると考えています。
カテゴリ:建築素材・材料 2012年10月31日(水)
Copyright (C) 2018 永井昭夫建築設計事務所 All Rights Reserved.