設計者の想いの日々(ブログ)
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永井昭夫
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建築士を持たない者のモラル欠如

住宅などの建物を建てるために、「間取り」や「外観」を考える「設計業務」は、商業的利得を得ようとして業者が行う場合、業務契約の締結の有無にかかわらず、「建築士」が責任を持って業務を遂行しなければなりません。あるいは、「建築士」の管理下の元、「建築士」を持たない者が補助的に業務を行っていくこともありえるでしょう。そして設計補助業務を実地で経験して学んでいき、「建築士」を取得していく、これも建築技術の継承の観点から見て、大事なことです。

ところが、「間取り」や「外観」を考えるという、いわゆる「設計業務」が、「建築士」を持たない者、あるいは、将来、「建築士」の資格を取得する気がさらさらない人間の手によって行われることが、とりわけ住宅業界で横行しています。
特にハウスメーカーやビルダー、地場工務店の営業社員がお客様のご機嫌を取りながら、無資格でいわゆる「設計業務」を行って、「間取り」や「外観」がまとまって契約の運びになれば、自社の設計部や下請けの設計事務所に確認申請や瑕疵担保保険のために必要な図面や書類などを作成してもらうという概略の流れが出来上がっています。

そして、この「建築士」を持たない者、将来、「建築士」を持つ気がさらさらない者が、自らの歩合給などのために行うモラル無い行為の数々には、酷い現状があると言わざるをえません。
建築的素養、建築基準法の知識がないのですから、モラルがないのも当然でして、狭い敷地に建蔽率オーバーの間取りを書く、隣地境界線から建物の離れが30cmしかなく、民法上訴訟の可能性がある、下手すると建物が敷地に入らない、玄関に入って真正面にトイレがある、2世帯住宅で1Fの寝室の真上に2Fのトイレがある、動線が滅茶苦茶、窓の無い居室、引渡し後に屋根裏を3Fの部屋に改造しようとする提案する、土地が決まっていないのに架空の図面を書いて契約を締結しようとする、どのお客様にもほとんど同じような間取りで押し通そうとする、お客様の機嫌を損ねたくないのでYESマンになりがち、そして、お世辞にも出来が良いと言えない間取りや外観をよく出来たと自惚れる、などなど枚挙に暇がありません。

昨今、姉歯元建築士による耐震偽装事件により、「建築士」としてのモラルの喪失がマスメディアに叩かれましたが、「建築士」を持たない者がもっぱら自らの利益のために、無資格で「設計業務」を行う法律を蹂躙するような建築士法違反にも今後メスを入れていくべきでしょう。
そして、「建築士」を持たない者、将来、「建築士」を取得する気がさらさら無い者が、「設計補助業務」という名目のもとに、「設計業務」を行うことを全面的に禁止すべきであると思います。
具体的に言えば、「設計補助」を行うための資格を創設して、それに合格した者でなければ「設計補助」を出来なくする、あるいは「2級建築士」を受験する要件を満たしている者であれば、「2級建築士」の受験を義務付けにして、合格基準点に達しなくても、「最低基準点」を設けて、それに達しない者は「設計補助」をできなくする等の方策が必要であると思います。

本来はこのような行政の改革を期待するのでなく、業界自らが襟を正すべきなのですが・・・。まだまだ道のりは険しいようです。孤軍奮闘という言葉はあまり使いたくありませんが、私は「建築士」の立場として、これからも正論を書き記していきたいと考えています。
カテゴリ:住宅・建築業界 2010年8月26日(木)

姉歯元建築士

先日、当事務所で茨城県の建築指導課の立入検査が行われました。特に、うちの事務所が悪いことをしたから、立入検査が行われたわけではありません。毎年、建築指導課が無作為に建築士事務所をピックアップして、立入検査を行っており、今年は100数十の事務所を対象に県内全域を廻る予定と担当官の方はおっしゃっていました。
検査の概要は建築士事務所として業務が適正に行われているかどうかの帳簿の確認と、建物が完成した際、建築基準法に適合しているかの完了検査をきちんと受検してるかの確認が主でした。(完了検査を受けていない物件は茨城県内に非常に多いです。申請をしてお金を払わないと検査に来てくれません)
当然、当事務所は業務を適正に行っていますので、特に指摘事項はなく、一時間ほどで、無事、立入検査が終わったのですが、折角の機会ですので、役所などの公的機関の検査について、一言、申し上げたいと思います。

この十年、そして数年前の姉歯事件発覚後の法改正により、建築確認申請の書類や、建築士事務所の帳簿の書類の量が劇的に増加しました。お役所というところは、市民、県民、国民からのクレームが非常に多く、それに備えて、業者を管理するわけですが、その証拠となるものが、なんと言っても「書類」です。「書類」さえあれば、逃げ口上は作りやすいということで、建築指導課に限らず、お役所には「書類」があふれかえっています。役所の立場としては、業者の行動を逐一管理できないので、「書類」で管理せざるをえない側面もあると思います。そして、「書類」の管理で精一杯で、実際に行われている現場に隅々まで目が行き届いていないのが実情です。役所や検査機関が行う完了検査や住宅の瑕疵担保保険の現場検査ではあまり時間も取れず、充分にチェック機能を果たしているとはお世辞にも言えません。つまり、役所や公的機関の検査でOKだったから、建物が安心というわけではないということです。そして、耐震偽装を含めた違法建築や、意識的にせよ無意識的にせよ、手抜き工事を行う業者が存在しているのは昔も現在も変わっていません。

それでは一体、誰が建物の検査をすればよいのか?
私は施工する工務店・ハウスメーカーから独立した存在である「設計・工事監理者」たる建築士が「お客様の代理」となって行うべきだと思います。

そもそも、姉歯元建築士による耐震偽装工作は施工側である建設会社からの建設費コスト削減圧力により、偽装に手を染めたのが発端です。姉歯元建築士は建設会社からの仕事を干されるのを恐れて生活のために偽装を行い、次第に建築士としてのモラルが低下していったわけですが、もし、姉歯元建築士が「設計・工事監理者」として、施工側から独立した立場で、お客様から直接依頼を受けて、お客様の利益を守るために業務を行っていたのであれば、このようなことは起こりえなかったはずです。だいたい、偽装を行ったところで、建築士として、何のメリットもありません。「設計・工事監理者」と「施工」サイドの馴れ合いこそが事件の発端であり、諸悪の根源であると思います。そして、このような構図は発覚していないだけで、「氷山の一角」に過ぎないと推測されます。

こういう事情は、国土交通省はじめ、県の建築指導課は重々、理解されているようで、「建築士」としての職能を生かすために、数々の改革をして、一生懸命、住宅・建設業界のために尽くされていると思います。
けれども、「設計・工事監理者」と「施工」サイドの癒着はとりわけ、「住宅」の分野で多く散見されているのが現実です。
社会が複雑化し、価値観が多様化した現在、消費者の利益を守るために、これからの住宅・建設業界がどうあるべきか、見直す時期に来ているのではないかと私は考えています。
カテゴリ:建築構造・性能 2010年8月24日(火)

夏のいけばな

ここで一服。。。
7月から8月にかけて生けたいけばなです。
茶道や華道のような日本の伝統文化の習い事をしていると、いかに今まで自分が小さな世界に住んでいたかを否が応でも認識せざるをえません。数百年続いた伝統の前では、私個人はあまりにも無力です。


ニューサイラン、吾亦紅(われもこう)、ハイビスカス


かすみ草、けいとう、ドラセナ、とるこききょう


アレカヤシ、女郎花(オミナエシ)、ナデシコ


グラジオラス、リンドー
カテゴリ:設計者の日常 2010年8月20日(金)

久しぶりの住宅展示場巡り

先日、約10年ぶりに住宅展示場巡りをしてきました。過去に、同業であることが露見して、Mホームに展示場から追い出された経験がありますので、もちろん素人客を装って、各メーカーさんに寄らせていただきました。
10年間展示場に行かなかったのは、「人が住んでいく」という住宅の本質を忘れて、「見せて魅せる」という店舗的な建築物ばかりで、もう飽きてしまったんですね。過去に100ヶ所以上は回ったと思いますが、例外なくワンパターンで、もうお腹いっぱいという感じでした。

お決まりの下がり天井の隙間から漏れる間接照明、有名メーカーの高級グレードのシステムキッチン、中2F・半地下・小屋裏収納がある段差だらけの4~5層構造、全開サッシ、吹き抜けに勾配天井、リビングの造り付け造作、もちろん内装・外装は高級品を使って仕上げられていて、坪数は床面積で55~60坪以上、原価で4000万以上はかかっているなどなど、10年以上経過した現在でも、昔とその様相はあまり変わっていません。
変わってきた点としては、昔ながらの真壁(化粧の柱をみせる)の部屋が減っていること、オープンキッチンが主流となったこと、高級グレードの新建材の使用頻度が減って、塗り壁や無垢材などの自然素材志向がより強くなったこと、規制緩和により半地下や小屋裏収納の面積が大きくなったことなどが挙げられると思います。

そして、展示場で接客する営業社員の体質も変わっていません。お客さんのご機嫌を窺うばかりで、この展示場の仕様だといくらかかるのか?と私が質問すれば、「独自の企業努力で、坪50~60万台で当社は可能です」とか平気で嘘をついてきます。私がハウスメーカー勤務時代、このような営業社員の言動の尻拭いをどれだけ行ってきたかを想い出すと、つい失笑せざるをえませんでした。

ところで、建築の設計という仕事に長く携わる身として、何回も展示場を回っていると、ふと思うことがあります。
最高級品の材料を使っているから何なんだと…。
これから住まう身となるお客様の想いをどれだけ実現できる技術があるんだと…。
そして、少なくとも私は、展示場から「思想」を感じ取ることができません。
建物の「思想」は建築主であるお客様と設計者との協働作業から生まれます。この過程を経ていない生産者の思い込みに過ぎない建物に何の意味があるのか、幸か不幸か、私にはよくわからないでいます。
カテゴリ:住宅・建築業界 2010年8月19日(木)

お休みについて

当設計事務所はお盆期間中も通常通り営業しております。お問い合わせ等ご用件がございましたら、遠慮なくメール・電話してください。

当事務所は一年を通して、特に定休日を設けておりません。土日は打ち合わせがあり、平日は現場が動いているため、曜日は関係なく、不定休という形で運営しています。(年末年始は原則的にお休みします)
長期の研修旅行等により、数日間メールのご返事が遅れる場合は事前にHPにて通知いたします。
カテゴリ:お知らせ・ご挨拶 2010年8月12日(木)
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