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設計者の想いの日々(ブログ)すべて当設計事務所は違法建築への対応が出来ません!
当設計事務所といたしまして、仮にお客様が希望されたことであっても、違法建築への対応は一切出来かねますので、予めご了承ください。また、お引渡し後の違法改造を前提とした設計をも行うことができません。完了検査が通れば、後は「野となれ山となれ」というわけにはいかない諸事情をご斟酌ください。
ちなみに、違法建築を希望されるお客様のなかで、違法建築の問題性・危険性を建築士から説明されないまま工事をされるお客様は「被害者」、説明義務を果たしていない建築士が「加害者」という構図になります。いかなる理由があろうとも、違法建築の全責任は設計・工事監理を担当した建築士が負うことになります。 つまり、お客様が積極的に望んだ違反建築を行って、その為にお客様が損害を蒙った場合、建築士が全ての責任を負うということです。 本当はこのようなことは書きたくはありませんでした。ただ一部であるとは思いますが、違法建築を平気で行う建築士が存在するがために、当設計事務所も同じような違法行為を要求されるのは非常に残念であることから、断腸の想いで、この場を借りて書き記した次第です。
建築するにあたって土地を把握することの重要性
建築物を設計するにあたって、設計者が建築予定地を下見することは「建築のイロハ」です。もちろん、当設計事務所もお客様の敷地に実際に足を運ばずに設計することはいたしません。敷地の調査報告書を設計者以外の者が作成し、設計者がそれを元に、実際に敷地に足を運ぶことなく設計業務を行うことも「建築のイロハ」から逸脱していると思います。
「土地」というものは、分譲地であろうが、市街地や郊外、田園地帯に位置しようが、如何なる場合でも、「土地」を取り巻いている環境があり、「土地」そのものが抱える固有の性質があります。「土地」の大きさや形、接道方向、高低差、日照の問題、周辺の建物や景観など、それぞれ「土地」の条件は違います。これらの問題を総合的かつ直感的に把握するためには、設計者が実際に建築予定地へ足を運ぶ以外に方法はないはずです。 そして、「土地」は自然の一部であり、自然のなかの大地ですから、その大地がどのような建築物が建つことを望んでいるのか、大地に実際に立って歩き回ることで、大地の声に耳を傾ける必要があります。 こうして設計者は、「土地」の全体像を把握しながら、お客様自身がどんな条件を抱えて、建築物の要望がいかなるものかをヒアリングし、設計者の思想を加味して、設計業務を進めていきます。このように、設計をするにあたっては、「土地」というものは非常に重要な要素の一つになるわけです。 ところが、現在の情勢として、「土地」の全体像を把握することなく、「土地」を自然のなかの大地として捉えない傾向が強いため、商品化された建物を微調整して、ただ置いただけのような計画が多くなり、周辺の景観にそぐわない建物が乱立するに至りました。特に、田園地帯に建てられる単調な柄物サイデイングの文化住宅に至っては直視に耐えられません。 よく、日本の電柱や看板広告が街並みの景観を悪化させていると云われますが、いちばん悪化させているものは安易に築造された建築物の数々だとと思います。単に化粧した箱を建てることだけが建築だとしたら、それは既に文化が破壊されてしまっています。 また、「土地」を軽視する傾向の一つの現象として見受けられるのが、「土地」が決まっていないにもかかわらず、請負契約を結ぶ住宅会社や工務店が存在していることです。 工事の請負契約とは、どこの場所に、どのような建物を、いくらの金額で、いつまでの期限に建築物を建てますということですから、「土地」が決まっていない請負契約は架空のでっち上げの契約に過ぎません。「土地」の候補地すら決まっていないのに、とりあえずお客様の話を聞いて図面を書いてしまって急いで請負契約を締結しようとする行為は悪徳商法の一つです。 それから、お客様が「土地」を探されている場合、お客様が漠然と持っている建物のイメージに合っている「土地」かどうかのご相談を積極的に私たち設計者にして頂きたいと思っています。「土地」が全く未定であれば図面を書くことはできませんが、候補地があるのであれば、設計者としてお手伝いさせて頂くことは可能です。 設計者の一人として、「土地」が持っている固有の性質を軽視することなく、「土地」を自然の一部として捉えて、建築物を造り上げていく重要性を今後共、強調していきたいと私は考えています。
住宅産業の栄枯盛衰
昭和40年代の頃、三大住宅メーカーと云えば、「日本電建」・「太平住宅」・「殖産住宅」でした。それから30年以上経過した現在、隆盛だったかつての三大住宅メーカーの全てが倒産などの憂き理由により存在しておりません。
私はこの住宅・建設業界に入ってから約20年になりますが、住宅に特化した業界においては特に栄枯盛衰が激しく、住宅メーカー・ビルダーが次々と倒産しては消費者に損失を与え、そして、新しい住宅メーカー・ビルダーが雨後の竹の子の如く設立されていくのを間近で目撃してきました。近年では、住宅業界の新陳代謝はますます活発化する傾向を帯びています。 戦後の日本は、高度成長や人工増加を背景に、多くの住宅を供給しなければならない必要性があったせいか、全国的な拠点を持つハウスメーカーのような存在が生まれました。世界的に見て、他の国々は、戦前の日本がそうであったように、地域密着型である工務店・建設会社のような存在が住宅を建築しているのが一般的であって、全国的な拠点を持つハウスメーカーが存在しているのは現在の日本だけのようです。 過去の日本の歴史を振り返ったり、世界の国々の建築情勢をいろいろと調査してみると、各地域の気候・風習・文化に根ざした地域密着型の業者が住宅を建築して、建築された後も保守・点検・メンテナンスに積極的に関与していくことが社会的常識であると理解できますが、この社会的常識が戦後の日本で崩壊してしまったことこそが、日本の住宅の寿命が世界各国と比較していちばん短い一因となっているのは否めない事実であります。 住宅産業のなかで栄枯盛衰が繰り返されるのは、日本の住宅の方向性が迷走していることの証左であると思いますし、各地域の文化に根ざした地域密着型の業者が生き残ってこそ、日本の住宅文化の再生ができるのではないかと、設計者の立場として、強く申し上げたい次第であります。
複層ガラス(ペアガラス)
複層ガラスは「単板ガラス+中空層+単板ガラス」で構成されていて、いわゆる二重ガラス、ペアガラスと呼ばれる結露しにくい断熱性に優れたガラスで、2000年の頃は、まだ値段が高く、新築の建物で5%程度の普及率でしたが、時代の要請による省エネの高まりに伴い、この10年で一気に普及しました。
ペアガラスは単板ガラスと比較して、確かに断熱性に優れておりますが、遮音性にも優れていると誤解されている側面もあるようです。 ペアガラスと単板ガラスを比較した場合、中低音域では共鳴現象により、ペアガラスのほうが遮音性に劣ります。 一級建築士の学科試験にも、この手の問題が出題されている位なので、年配の一級建築士や大手ハウスメーカーの営業や監督、お施主さんでも勘違いしている方々が多く見受けられるのもやむをえないかと思います。 但し、ペアガラスでもある程度の遮音性を持たせることは可能で、異なった厚みのガラスの組み合わせをすることで共鳴現象を抑えることができて、この場合、外部側のガラスを厚めのガラスにしたほうが効果的です。あるいはアルミ+樹脂の複合サッシとした場合も共鳴現象を抑えることができます。つまり、異種の組み合わせをすることで共鳴現象を抑えていくわけです。また、最近では遮音用のペアガラスも発売されているようです。 ただ本格的にサッシ部で遮音を考慮するのであれば、ペアサッシ、つまりサッシを二重化することがいちばん効果的です。もちろん、断熱性もペアガラスと比較して飛躍的に向上します。ちなみに、既存の建物に内窓を取り付ける工事、つまり二重サッシとするための工事は住宅エコポイントの対象となります。
白熱灯・蛍光灯・LED
照明器具は大きく分類するとすれば、白熱灯、蛍光灯、LEDの三つに分かれ、それぞれに長所と短所があります。
白熱灯は蛍光灯やLEDと比較して燃費が非常に悪く、温暖化防止・省エネの観点から廃止の方向で世の中が動いておりますが、いちばん落ち着いて、人がくつろぐことができる、自然光に近い照明と言われています。 飲食店で白熱灯の種類の照明器具が多用されるのは、落ち着いて寛げるからだけでなく、料理が美味しく映えて見えるからです。白熱灯は蛍光灯と違って、空間を均一には照らすことはできず、どうしても陰影ができてしまいますが、この陰影によって、物の立体感や艶が強調されますので、料理が映えて見えるだけでなく、壁や天井の内装や空間を演出することが出来て、人の表情をも豊かに綺麗に見せることができます。絵画や写真に陰影の要素が重要であるのと同様だと思います。 蛍光灯は空間を均一に照らし、影がつきにくく、作業用の照明として最適で、オフィスや台所・厨房などに向いています。蛍光灯の色として、オフィスでよく使用される青く白い光である昼白色と、白熱電球の色に似せた黄色い光を放つ電球色があります。トイレや洗面所のように点灯・消灯を繰り返すような場合は寿命が短くなりますが、一般的な燃費は白熱灯の約4倍良いようです。 LEDは照明器具として、まだ歴史が浅く、開発途上にあると言えますが、燃費は非常に良く、寿命も長いので、値段はまだまだ高いですが、今後の展開には注目すべきものがあります。LEDの照明器具の現在の性能としては、光が直線的で広がらないので、特に大きな部屋では暗くなりがちで、実用には耐えられないのが本当のところです。廊下やトイレなどの細い空間や補助的な間接照明の用途であれば、大きな問題は発生しないと思われますが、設計者として、LEDを蛍光灯や白熱灯の代替品として積極的に勧めることはまだできません。 このようにエコロジーの観点から言えば、照明器具の選択として無条件に蛍光灯・LEDとなるわけですが、正直に申し上げて、生活を豊かにしてくれる白熱灯の魅力も捨てきれないものがあります。白熱電球の色と同じような電球色の蛍光灯もあることはありますが、均一に照らし出す蛍光灯の特性から逃げられませんので、白熱灯が映し出す物の陰影までは表現することはできません。 蝋燭の灯火が郷愁になってしまったように、白熱灯の明かりも郷愁になってしまうのか、それとも技術の進歩により、省エネ時代に即しながらも白熱灯の代替品として耐えられるような照明器具が開発されていくのか、設計者として、今後の行方を用心深く見守りたいと考えています。
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