設計者の想いの日々(ブログ)
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永井昭夫
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住宅・建築業界

見積書の明細は必ず必要

住宅業界の支払条件は著しく消費者不利・生産者有利なケースが多いようです。上棟で請負金額の7割の支払が発生する、着工金として、5割以上の支払を要求されたという話は決して珍しくありません。
上棟で7割、あるいは屋根・軸組工事完了(中間)で8割という支払条件も、私たち専門家の立場からすれば、異常と言っていいと思います。上棟時での出来高など、せいぜい2割程度、屋根・軸組工事完了(中間)の出来高もせいぜい3~4割程度でしょう。
このような消費者不利の支払条件は、いかにこの住宅業界なるものが施工者サイドである生産者優位になっているかを雄弁に物語っていると言っていいでしょう。
このような消費者不利の支払条件はハウスメーカー・ビルダーに多く散見されます。

そして、工事を施工する会社が工事途中で倒産し、著しく消費者不利の支払条件の契約だったために、莫大な損失を蒙っている消費者が後を絶ちません。展示場を構えているから大丈夫な会社なのだろうと信頼して裏切られたケースも非常に多いようです。私もそのような案件を多く見聞してきました。上棟して2000万を業者に払い、その直後に業者は倒産、家の木の骨組みが工事途中のまま4~5年放置され、既に木の色が変色しきって、ねずみ色になっている現場を見たときは衝撃的でした。

このような悲劇を無くすためには、工事の出来高以上の金額は極力支払わないことを徹底するのが最善の方法です。
では、工事の出来高をどのように把握するのか?それは見積書の明細書を業者に提出してもらうことです。
基礎工事・大工工事・外壁工事・屋根工事・内装工事等・材料の内訳、例えば柱が1本2500円であるとか、ユニットバスが60万であるとか、屋根の面積が100㎡で50万であるとか、全ての工事と材料の内訳明細を提出してもらうことです。見積書はA4で数十枚になるはずです。
ところが、ハウスメーカー・ビルダーの多くが採用している坪単価+オプション方式はこの内訳明細がはっきりしていないケースも多いようです。

建設業法という法律に次のような条文があります。
(建設工事の見積り等)
第20条 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。
2 建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を提示しなければならない。

このように見積の内訳を明らかにするように業者は努める、または消費者の請求に応じて、見積の明細を出さなければならないことは法律で定められております。
坪単価方式+オプション方式を採用し、見積の内訳明細を決して出さないハウスメーカー・ビルダーは建設業法に抵触している可能性があるわけです。このような会社と消費者不利の支払条件の契約を締結する、こんな恐ろしいことがまかり通っているのがこの住宅業界なのです。

見積書を見ても良くわからないという消費者の方々も多いと思います。そのような時に我々、設計・工事監理者である「設計事務所」の力を借りて欲しいのです。
少なくとも私はこの不明朗な業界を消費者にわかりやすいものに変えていく努力を今後も続けていきたいと考えています。
カテゴリ:住宅・建築業界 2010年8月1日(日)

ハウスメーカーで行き詰まった方々のために

新居を検討するために、いくつものハウスメーカーを渡り歩いたものの、内容や金額が折り合わず、行き詰まっている方々が予想以上に多いようです。展示場仕様と標準仕様のギャップ、標準仕様以外のオプション価格の割高感、営業社員が行う提案力の低さ、融通のなさ等、様々な理由があるかと思います。

大半のハウスメーカーが経験の浅い無資格の営業社員などに間取りを書かせたり、お客様に提案業務を行わせている現状では、価値観の多様化した現在の情勢には対応し切れなくなっているのではないでしょうか。このようなお客様を軽視した営業手法では、当然の如く、成約率も極めて低く、営業効率も悪いのが現状です。営業効率も悪ければ、経費もかさみ、価格に跳ね返ってきますので、今の住宅業界は悪循環に陥っていると言っていいでしょう。しかも、一般人に需要があると思えない客寄せのための豪華展示場、派手な宣伝広告がさらに価格を押し上げています。

こうしたハウスメーカーの現状に懲りて、設計事務所に地道に依頼されるお客様が、地方ではまだまだ少ないですが、ここ数年でだいぶ増えてきました。正直言って、設計事務所のなかには、コスト意識が希薄だったり、住宅に慣れていなかったり、建築家のエゴを無理矢理に押し通したりする事務所もあり、実際、玉石混淆なのが本当のところです。でも、無駄な営業経費を省くことで、建築物の価格を押さえ、より理想に近い建築物を経験豊富な建築士とともに造っていこうとする考え方のほうが私は自然であると思います。

ちなみに、PRになってしまいますが、ハウスメーカーで行き詰まったお客様の対応については、当事務所の得意とするところでありまして、過去、ハウスメーカーに勤務していた私はその弱点を知悉しています。もし、お困りの方がおられましたら、気軽にご相談いただければと思います。きっと打開策はあるはずと私は考えています。
カテゴリ:住宅・建築業界 2010年6月27日(日)

住宅・建築業界とマスメディア

姉歯元建築士による耐震偽装事件、あるいは、手抜き工事等による欠陥住宅などの問題は今までマスメディアに大きく取り上げられて、世間を騒がせる結果になっていることについて、同じ住宅・建築業界にいる私も忸怩たる思いを抱いております。ほんの一部の悪意ある人間の起こした出来事により、良心的に一生懸命仕事に取り組んでいる同じ業界の多数の人間までもが色眼鏡で見られる事態になっていることについては、現在の住宅・建設業界全体の不徳の致す所であると思います。
ただ、昨今の住宅・建築業界に関するマスメディアの報道については私なりに不満も多く、同じような話題をしつこく取り上げて深く掘り下げようとしない、ブームに乗っかってブームが終わればもう終わり、住宅・建設業界の持つ諸問題について知識が感じられない等、底の浅さや片手落ちな部分も多いという感想を禁じえません。

例えば、10年くらい前までは、瓦と同等によく見かけた屋根材である彩色石綿スレート板は非常に安価で、重量が軽いため耐震性に優れるという触れ込みで普及が進んでいました。しかし、10年もすれば色落ちも激しい材料で、屋根に湿気を含んでしまい、屋根の下地までもが湿気を帯び、最終的には雨漏りを起こしてしまって構造上問題を抱える等、欠陥商品と言える惨状です。この屋根材による経済的損失は計り知れないものがあるでしょう。
その屋根材を作っていたのは大手製造メーカーであり、それを採用していたのは大手ハウスメーカーをはじめとする錚々たる会社も含まれます。
戦後の高度成長という時代背景があるとはいえ、この問題について、正面切って取り上げたマスメディアがあるのでしょうか?多額の広告費を貰っているので、取り上げたくても出来ないのでしょうか?

塀に使われるいわゆるコンクリートブロックもそうです。今は少しはまともになったとは思いますが、塩気を含んだ海砂を使用したJISマークもついてないような製品が大量に出回っていました。コンクリートブロックはアルカリ性ですから、塩気のような酸性に触れれば、中性化が進んで劣化は早いでしょう。劣化が進めば、ちょっとした地震があると、ブロック塀は脆く壊れます。

柱や梁などに使う木材もそうです。悪い材木業者は材木に明るい工務店には絶対に売れないような木材を、木のわからない会社に売りつけます。特に単価の厳しいローコスト住宅会社が格好の餌食になりやすいでしょう。また大手・中堅メーカーでも普段は集成材の柱を使用しているけれども、お客様の要請で無垢の柱を使用する場合、これも外れの材料が多かったりします。悪い材料を使用することで法に触れるわけではありませんが、建物の耐久性は確実に落ちます。

このような例は枚挙に暇がありません。
このように、住宅・建築業界だけでなく、その関連の周辺の業界も沢山の大きな問題を抱えていることについて、マスメディアは知識が浅いせいか、特に触れようとすることはありません。
しかし、私は住宅・建築業界の抱える諸問題を積極的に取り上げていき、少しでも良い方向に進むような努力を微力であっても行い、いわゆる業界なるものに一石を投じたいと考えています。
カテゴリ:住宅・建築業界 2010年5月9日(日)
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