設計者の想いの日々(ブログ)
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永井昭夫
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建築知識

建築基準法の道路の規定について

都市計画区域内で、建築物を建てる場合、道路に2m以上接していなければなりません。以前に申し上げた通り、山奥でないほとんどの地域が都市計画区域内に指定されていますので、建築物を建てたり、10㎡以上の増築をして建築確認の申請をする場合は、道路に接していることが建築基準法第43条で義務づけられています。都市計画区域外の地域では、その限りではありません。
都市計画区域を定める都市計画法は昭和43年に制定され、順次、都市計画区域は拡大していきました。
都市計画法が無かった時代、あるいは都市計画区域に指定されていなかった時期に建てられた、特に専用住宅については、道路に接していない例もあり、この場合、建物を建て替えたり、増築することができなくなります。

また建築基準法上の道路は原則的に、4m以上の幅員が必要です。もし、4mに満たない道路に接する場合に、建築物を建替えなどする際には、道路中心線から2m後退した線が道路境界とみなされます。もし、道路中心線から2m以内の部分に塀や生垣があったりする場合は、支障物とみなされて、撤去しなければ、自治体によっては、建築確認申請が通りません。また、建築完了後に義務付けられている完了検査に合格することができなくなります。
では、敷地が後退したことで、建築基準法上の道路になった部分の所有権はどうなるか?
とりあえず、所有権が道路管理者である自治体に移ることはありません。自治体が道路として買い上げてくれるのを待つか、あるいは交渉して早めに買い入れるように申し立てるしかありません。

あと、これは茨城県の建築条例ですが、旗竿状の敷地、つまり路地状の専用通路がある敷地の場合、制約があります。20m以上40m未満の路地状の専用通路の幅員は3m以上、40m以上の路地状の場合は4mの幅員が必要となります。この条例も都市計画区域内でのみ適用されます。この条例のこの規定については、他の都道府県と比較して非常に厳しく、建替えの出来ない例が多く発生したことから、建替えや増築の専用住宅や兼用住宅の場合に限り、10年前に条件付で緩和されました。

以上、建築基準法の道路の規定に関する豆知識でした。
カテゴリ:建築知識 2010年12月3日(金)

建築確認申請

都市計画区域内で、「建築物」を新たに建てたり、10㎡以上の増築をする場合は、建築確認申請を提出することが建築基準法で義務づけられています。山奥のような人里離れた地域などでない限り、現在では、ほとんどの地域が都市計画区域内に指定されているのが現状ですから、「建築物」を新設する場合は、まず建築確認申請が必要と言っていいでしょう。

では、「建築物」とは何か?
屋根があって、柱もしくは壁があり、土地に定着する工作物
のことを指します。

では、土地に定着する工作物の定義とは何か?
プレハブ小屋を置くだけのように、きちんとした基礎が無ければ、土地に定着しないのか?
基礎があろうが無かろうが、屋根や壁のある工作物で、人間の営みが認められれば、それは、土地に定着する「建築物」です。

極端な例を挙げれば、トレーラーハウスで電気や水道を引き込んで、そこで人間が生活をすれば、それはもう立派な「建築物」で、建築確認申請が必要です。当然、プレハブ小屋を置いて、店舗や選挙事務所を開いたり、倉庫に使用する場合でも、「建築物」扱いされますので、建築確認申請が必要です。プレハブ小屋を置く期間が短かろうが、長かろうが、一緒です。
基礎が無く、地面に置いただけのプレハブ小屋は「建築物」ではなく、建築確認申請も必要が無いというのは、とんでもない誤解で、逆に、基礎が無いことで、構造上支障があると判断され、違法建築物扱いされます。
但し、例外があって、地震などの非常災害があった場合の仮設の建物や、工事現場にある事務所や資材置場については、建築確認申請の必要はありません。

以上、建築確認申請の豆知識でした。
カテゴリ:建築知識 2010年11月26日(金)

建築と民法

民法を守っていない建築物が意外と多いことはあまり知られていません。建築物を建てるにあたっては、ほとんどの地域で建築確認申請を提出して、建築基準法・消防法に適合しているかの審査が義務付けられていますが、民法に関しては審査の対象とならないことがその原因です。下記の3条は建築に関する民法の規定ですが、これらは必ず守らなければならないものではなく、隣家との合意があったり、もしくは苦情を申し立てられることがなければ、問題は生じません。けれども、民法234条・235条についての揉め事や裁判は、私の小耳に挟みます。折角の機会ですので、建築に関する民法について、私なりに解説してみようと思います。

(第234条)境界線付近の建築の制限
1.建物を築造するには、境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならない。
2. 前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から1年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。

一般的な建築の配置図面では、柱もしくは外壁の中心線から隣地境界線までの寸法が記載されています。この民法の規定は、外壁の外面から隣地境界線までの距離が50cm以上なければならないということです。柱などの中心線と外壁の外面は10cm程度の差異がありますので、建築の配置図面では60cm以上の寸法が記載されていないと民法に抵触します。ここで注意しなければならないのは、出窓やバルコニーも外壁に該当することです。ここをわかっていない設計者や施工者は多く存在します。

(第235条)
1.境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
2.前項の距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。

この規定は隣地境界線から1m以内部分について、透明ガラスの窓にしたり、バルコニーを設けることで、隣家を眺望することを制限する規定です。この規定を守らず苦情を申し立てられた場合、ガラスは型板ガラスに交換すればいいので簡単ですが、バルコニーが境界線から1m以内にある場合は改修工事もしくは隣家の損害を賠償することが必要になります。この規定を守らないバルコニーは狭小地などでよく見かけます。

(第236条)境界線付近の建築に関する慣習
1.前2条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。

ビルや店舗が密集する商業地で、外壁後退・50cm以下が常態化しているような地域では、234条・235条の規定を守る必要性がないというものです。一般的な住宅地ではこの規定は適用されません。
カテゴリ:建築知識 2010年11月23日(火)

住宅ローン

約10年ほど前の住宅ローンは住宅金融公庫からの借り入れが主流でした。日本の高度成長時代から2000年位まで、公の団体である金融公庫が、資金力がない個人のための住宅の整備を後押しし、公庫用の工事共通仕様書に則り、現場検査を行い、最低限の住宅の質の確保に努めました。もし金融公庫がなく、住宅の融資を全て民間に任せていたとしたら、特に高度経済成長時代、経済性を優先するあまり、モラルのない粗悪品の住宅が濫造されていたのではないかと推測されます。

このように、戦後、金融公庫が果たしてきた役割は重要だったと思いますが、その反面、「ゆとり返済」のように、借り入れから5年間は返済額を低く抑え、5年後から返済額が飛躍的に増える仕組みの返済方法は、高度成長時代ならまだしも、低成長時代には問題を多く抱えるものでした。
また、当初10年間は金利を低く抑えるものの、借り入れ10年後には金利が4%以上になってしまうのも、現在の情勢から考慮すると理不尽だと思います。
結局、住宅金融公庫が主流だった頃は、経済成長と年功序列に伴って給料は必ず上がっていくものという背景があったのでしょう。

さて、現在の情勢はどうなっているのか?
今後、日本は、人口の減少や高齢化、その他要因により、低成長から脱することは難しいことが予想され、長期金利も非常に低く設定されています。
各金融機関の住宅ローンの現在の金利は、景気の低迷と競争の激化ということがあり、金融機関や属性によっては、変動金利で1%、固定金利で2%以内で可能という情勢になっています。
このようななか、10年以上前に高い金利で住宅ローンを組んだ方は、現在の安い金利での借り換えをお勧めします。抵当権を再設定しなければならないなどの手続費用はかかりますが、残債がまだ多くあるようであれば、借り換えしたほうが返済額はずっと低く抑えられます。実際に借り換えする方は多いです。
また、以前と変わってきた傾向として、住宅ローンでは変動金利は安心感がなく消費者から嫌われ、少し前までは固定金利が主流でしたが、当面、長期金利が上がる要因が全く見当たらないことから、金利の安い変動金利の選択が多くなってきました。仮に金利が上がりそうだったら、固定金利に乗り換える方法もあるので、変動金利だからリスクがあるとは一概には言い切れないようです。

住宅金融公庫は小泉内閣時代に廃止の決定がされて、現在は、住宅金融支援機構に業務が引き継がれて、民間の金融機関と提携して、優良住宅取得支援制度として、金融機関の金利から10年間1%引き下げるフラット35S、長期優良住宅の認定を受けた住宅のローンの償還期間を50年にするフラット50などのような事業を行っています。
カテゴリ:建築知識 2010年10月2日(土)

住宅を計画するにあたって

今日は住宅を計画するうえでの基本中の基本についてまとめてみようと思います。

①玄関
玄関の正面もしくは玄関から見えるような位置に、トイレを配置しない。来客の際、失礼に当たります。
玄関の採光も考慮する。特に北側玄関の場合、とても薄暗いケースが多く見受けられます。

②階段
通常の場合、17段上がりが理想で、最低15段以上にする。一昔前は13段上がりが主流でしたが、これでは勾配がきつ過ぎます。また、一直線の階段(鉄砲階段)は避け、折り返し階段、L型階段にしてください。階段からの墜落死亡事故は相変わらず多いです。
また余裕があれば、通常の階段有効幅が75cm程度のところを90cmにすると、すっきりとした階段となります。たった15cmですが、侮れません。

③廊下
採光・通風に考慮する。これもおろそかにされがちです。また余裕があれば、通常の廊下有効幅75cm程度のところを90cmにすると、たった15cmの差ですが、余裕ある廊下になります。

④キッチン
キッチンと洗面脱衣室は家事動線を考慮して近接した位置にする。またアパート・マンションではないので、必ず、キッチンもしくはその近接した位置に勝手口をつけてください。ごく稀ですが勝手口のない家があるようです。キッチンと食器棚の間の距離は1m~1.2mが理想的です。

⑤トイレ
床面積を縮小したい場合でも、階段下スペースを利用したトイレは絶対に避けてください。毎日使用するトイレの天井が低いと非常に気分が悪いです。
また余裕があれば、衛生上考慮して手洗いコーナーをつけてください。トイレのドアは外開きにしたほうが万が一、中で倒れた方がおられた場合、救出するのに容易です。

⑥収納
収納は多いに越したことはありませんが、収納が多い家庭がきれいに片付いているかというと必ずしもそうではありません。収納に対する知恵というか哲学を持って計画すると、後で困りません。

⑦バルコニー、吹抜の手摺
意匠上、美観上は横に何段か走るような手摺がいいのですが、横型の手摺は子供さんが昇ってしまい危険を伴います。
相変わらず、家庭内の墜落死亡事故は多いようです。

⑧居室
採光はほとんどの場合、気にして計画するのであまり問題になりませんが、通風も考慮したほうがベストです。2箇所以上の窓があったほうが通風はしやすいです。
また居室の用途によっては必ずしも南側・東側に持ってこなくとも構いません。これは使用する方の価値観にも左右されると思います。「陰翳礼讃」という言葉もあります。
あと和室という空間もできれば大事にしたいですね。

⑨備品
家具やテレビ、パソコン、電話などの位置を決めて、計画をしてください。コンセント等の位置の失敗のもとになります。

⑩家相
現在は9割以上の方が気にされてないのが現状です。鬼門にトイレや風呂釜があってはならないとか、その他いろいろあるようですが、昔、トイレは汲み取りで衛生上問題がありましたし、風呂釜も直接火を使用してましたから、鬼門を避けるのもわかりますが、現在はトイレも水洗で、風呂も給湯器で電気かガスですから、過剰に気にする必要はないかなという気はします。でもこれは地域性、それぞれ皆、価値観がありますので難しい問題ではあります。

⑪バリアフリー
高齢者がおられなくても、極力、必要のない段差を無くす。つまづき等の家庭内事故は多いです。

⑫多少は余裕を持って
建物は単に部屋を押し込めばいいというものではありません。外部の自然との調和を考慮したり、飾り棚を設けたり、ちょっとしたゆとりは毎日生活するうえで重要な要素です。


甚だ、簡単な基本事項を纏めてみましたが、意外とおろそかにされている面も多いのが現状ですので、あえて書き記してみました。
カテゴリ:建築知識 2010年6月14日(月)
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