設計者の想いの日々(ブログ)
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日本の床の文化として畳を見直す

1300年以上前から存在する「畳」は、湿度が高く、四季の変化が折々である日本の風土のなかで、現在まで伝承されてきた日本独自の床の文化です。「畳」は適度な弾力性、冬でも冷たくならない高い保温性、イグサの持つ雑菌を抑える優れた抗菌作用、室内の調湿作用などの多機能性を兼ね備え、自然素材としてもっと脚光を浴びてよいものであると設計者として思います。
そして、「畳」は、トイレ・キッチン・洗面所などの水回り以外のどこに使用しても良い材料です。例えば、玄関正面のホールに「畳」を敷くことで、凛とした空間を造ることができます。廊下に使用すれば、足音を消すことができますし、リビングの板の間にカーペットを敷き、座ってくつろぐのであれば、多機能性を兼ね備えた「畳」のほうが利点は多いような気がします。

しかし、このような長い歴史のなかで培われた「畳」の文化は、現在、お世辞にも大事にされているとは言えず、「畳」の空間は減少の一途を辿っています。
そして、「畳」の厚さと云えば、その機能性を保つために、55~60㎜が常識ですが、ハウスメーカー・ビルダーでは、営業経費増大・工事費削減傾向により、12~30㎜の厚さの畳を標準仕様とするところも多いようです。その程度の厚さでは「畳」ではなく、単なる「ござ」と言っていいでしょう。そのような薄い畳では、畳が反り返ってしまい、下地に両面テープを貼って、お茶を濁すようなことが平気で行われているのが現状です。家造りが貧相になりつつある現われと思わざるをえません。

昔ながら「畳」の内部は、国産の藁を使用し、藁を1年以上自然乾燥させて、藁を発酵させ、その発酵熱で、虫や虫の卵を退治します。1年以上かけて、じっくり乾燥させることで、藁の弾力性が発揮されるわけです。
現在はいわゆる建材床、ポリスチレンフォームとボードで出来た畳床が主流ですが、茶道を行うような茶室では、正座を長い間しても足が痺れない弾力性のある稲藁で作った畳を使用しています。現在主流の建材床と昔ながらの稲藁床の価格差は一帖あたり約2000円であり、耐久性も稲藁床のほうがありますので、自然素材にこだわるのであれば、稲藁床をお勧めします。但し、建材床と比較すれば、稲藁床はダニが発生しやすいとは思います。

次に、畳表についてですが、現代風の和室にも調和するなどの理由で、半畳タイプで縁がない、いわゆる「琉球畳」が最近人気があります。(下記写真参照)値段は半畳で13000円程度で、一般的な畳の倍以上の値段がします。縁なしの畳の場合、畳の端部が痛みやすいので、用いられるイグサは磨耗性が強いものを使用します。この縁なし畳は、耐久性がありって強靭なので、使用頻度の高い玄関ホール・廊下にも適していると思います。琉球畳といっても、大分産が多いようで、「目積表」という名称も使われます。
この畳表ですが、現在安価な中国産が大量に輸入されています。農薬や畳を染める安易な着色料を大量に使用することで手間を省いており、そのような畳は、人体に害を及ぼしかねませんので、いくら安価と言えども、使用することはお勧めできません。イグサ本来の性質を生かすためには、化学着色料を使用せず、「天然染土」というもので、「泥染め」をすることが必要です。
ちなみに、畳表の値段はピンきりで、現在80%が中国産です。お客様に指定がなく、ハウスメーカー・ビルダーなどの業者任せにすると、質の悪い輸入物の畳表という場合がほとんどですので、ご注意ください。
また、この畳表ですが、5年程度で裏返しすることで、また新しい状態で使用できて、イグサの香りを復活させることができます。フローリングと違って、容易に取替えが利くことも畳の利点だと思います。

戦後、日本家屋の文化が破壊され、住宅が「文化」から、もはや単なる「商品」に成り下がりつつある現在、1300年以上続く「畳」という日本の床の文化を見直すことは、日本の住宅の文化を見直すことではないかと、設計者の一人として、私は考えています。

カテゴリ:建築素材・材料 2010年11月10日(水)
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