設計者の想いの日々(ブログ)
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永井昭夫
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雪村うちわ~常陸太田市

雪村(せっそん)うちわ~常陸太田市

室町時代後期から戦国時代にかけて、常陸太田出身の水墨画家で禅僧の雪村が創始したと伝えられる「雪村うちわ」は、真竹で作った骨に西ノ内和紙を貼り、馬やアサガオ、水戸八景などの水墨画が施してあります。水戸光圀公も愛用したといわれています。
現在、常陸太田の「雪村うちわ」を作っているのは、この道80年になる枡儀団扇店の圷總子さんだけです。

骨となる竹は節を落とし刃を入れてから、青い竹が黄色くなるまで1年間毎日干します。
完成までには33工程あり、大変なのは刃入れ。40本を同じ薄さに入れるこの作業で、うちわの形が決まるからだといいます。




ソ-スかつ丼・釜平~常陸太田市鯨ケ丘商店街
カテゴリ:茨城県北の町並み・建築・施設探訪・自然・文化 2014年4月20日(日)

復興した弘道館について考える

東日本大震災で被災した水戸市の弘道館が3月27日に完全復旧し、一般公開が再開されました。
国重要文化財に指定されている弘道館は幕末最大の藩校として、徳川斉昭が開校。震災により壁や屋根瓦などが崩れ落ち、復旧工事が進められてきました。
しかし、震災から復興し、弘道館が完全復旧した幕開けについては苦言を呈さざるをえません。
もう過ぎてしまったことなので、あれこれ煩く言いたくはないのですが、梅まつり期間だけでなく、こういうオープン時にこそ、床の間などに花を飾って色を添えるべきなんです。だいたい民間では、どこの店だって開店時くらいは花を飾るでしょう。
2011年以降、恒例となりつつある梅まつり期間時の弘道館及び好文亭の床の間の「いけばな展示」の企画によって、公務員の意識が少しは変わったとは買い被りかもしれませんが、茨城及び水戸の観光の振興のためには、文化的素養を身に付けた公務員がこれからは益々必要でしょう。
水戸に関しては、梅まつり期間中の弘道館及び好文亭の「いけばな展示」が、水戸市華道連合会によって、殆んどボランティアに近い形で行われています。私自身の想いとしては、歴史的建造物を剥製にして保存して公開するだけというのは私は反対で、せめてオープン時くらいは、がら空きの床の間に花を飾るのは常識であると考えています。それが建物の活用につながり、弘道館を訪れる方々への礼儀というものではないでしょうか。
私は数多くの文化財・歴史的建造物を見て回っておりますが、床の間に花を飾るのは日常的に行われています。
しかも弘道館は2011・3・11には「いけばな展示」が開催中で、中断せざるをえなくなった経緯があります。震災からの復興してのオープンですから、なおさら、花は飾られるべきだったでしょう。
ついでに言わせてもらえば、今回の弘道館の修理について、有識者による委員会により修復方針が決定されたようですが、私自身、不満が多いですね。
その具体例を挙げれば、弘道館の壁紙は全国的に普及する機械漉きの鳥の子和紙が貼られていますが、江戸末期の創建当時は水戸藩内の西の内和紙が貼られていたはずです。
弘道館の昭和の大修理(昭和34年~38年)の際は、まだ弘道館は文化財に指定されていなかったので、大量生産品である鳥の子和紙に貼り替えてもやむをえないことだと思いますが、既に重要文化財に指定されている今回の平成の修理で、昭和の修理を踏襲するのは、歴史的考証が足らなかった証左でしょう。予算がなかったという言い訳もあるでしょうが、それならそれでやり方はあります。
その他構造的な補強など技術的なことについても、私は疑問を感じておりますが、今回は割愛します。
今回、公務員の文化的教養性に言及しましたが、役所にも優秀な方は沢山います。しかし民間が「公」に圧力をかけることも必要です。「公」と「民」との間の交流と適度な刺激によって、我々も勉強になるし、優秀な公務員がさらにステップアップ出来るのではないかと私は考える次第です。
カテゴリ:建築文化・伝統 2014年4月14日(月)

常陸国のむかしの家 水戸街道・筑波編

               
*表紙は旧土浦中学校本館(現在の土浦一高)・明治37年(1904年)建築

茨城県建築士会発行の「常陸国のむかしの家 水戸街道・筑波編」が沢山の方々の協力を得て、無事に完成しました。
完成したとはいっても、担当者としては、日が経つにつれて、反省点が増えていく状況ではありますが、まずは一区切りといったところです。
「むかしの家」シリーズ第四弾になる今回は、つくば市北条、土浦市、かすみがうら市、石岡市を取り上げています。
この企画の目的は、茨城県に残る町並みや歴史的建造物を再評価し、その魅力を多くの方々に知っていただいて、茨城県内のまちづくりの振興に少しでも役立って頂ければというのが主旨にあります。
ちなみに、第一弾の「筑波山麓編」では旧八郷町と旧真壁町、第二弾の「八溝山麓編」では常陸太田市・常陸大宮市・大子町、第三弾の「鬼怒川水系編」では旧下館市・結城市・古河市・下妻市を取り上げています。
ご興味のある方は茨城県建築士会事務局までお問合せください。
カテゴリ:建築士会での活動・広報 2014年4月13日(日)

甲州印伝

甲州印伝の名刺入・亀甲模様(右側)

鹿のなめし革を、黒・紺・茶・ワイン・エンジなどに染色し、荒裁断したあと、型紙(和紙)をのせ、上から漆で模様付けし、数日間陰室(むろ)で乾燥させたものです。甲州印伝は「経済産業省大臣指定伝統的工芸品」に指定されています。6年間使った結城紬の名刺入(左側)は、だいぶ傷んできましたが、捨てるのも勿体ないので補助的に利用します。どちらも水戸・南町三丁目の工芸デパートで購入しました。
「印伝」とは、印度伝来を略して印伝となったと伝えられ、四百余年の伝統を誇る鹿革工芸品です。
鹿革に模様をつける革工芸は、奈良時代に作られた文庫箱(東大寺蔵・国宝)などにも見られ、また戦国武将の鎧(よろい)や兜(かぶと)などを煌びやかに飾りました。江戸時代になると、鹿革に漆付けをする技法が創案され、これが甲州印伝の始まりです。
江戸後期に数軒あったといわれる印伝細工所は、時の流れの中で、現在、甲府の「印傳屋勇七」だけが残っています。
カテゴリ:設計者の日常 2014年4月12日(土)

「スクラップ&ビルド」から「ストックの活用」の時代への逆風

桜川市真壁地区の潮田家住宅


潮田家住宅のように災害復旧工事で綺麗に仕上がったところもあれば、3年経過しても、全く手付かずの蔵も多く残されています。


真壁は「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されて、災害復旧工事にあたっては、潤沢な補助金が用意されているにもかかわらず、思うように災害復旧が進まないのは、特に左官工事・大工工事の熟練工の不足と高齢化が加速しているにくわえて、若年層が建設業を敬遠していることにあります。その背景にあるのは、3K産業(きつい・危険・汚い)であること、職人の地位が低いこと、また、生活が安定できるだけの報酬になりにくいことなどの原因が挙げられます。
ただでさえ、建設業に従事する者は、私の職種を含めて、世間から差別されていることが多いようです。私は、「なんで大卒なのに建設業関連のお仕事?」とある女性に真顔でびっくりされたことがあります。
若年層には物作りに憧れる人々が決して少なくないのも確かなのですが、先に述べた通り、生活を維持するだけの工賃、遣り甲斐のある仕事を貰うことができずに、修行途中で、あるいは修行後でも現場を離れてしまうことが残念ながら非常に多いです。
このままの情勢では、建物をプレハブ化して、下手糞な大工が木工組立作業員となって、味も素っ気も無い建物を新築することは出来たとしても、メンテナンス・リフォーム・改修工事のような組立工事では済まない、昔ながらの技術が必要な工事では、熟練工の不足で、困った事態に追い込まれることになります。
「スクラップ&ビルド」から「ストックの活用」の時代へと叫ばれて久しいのですが、現状を鑑みるに、掛け声とは裏腹に、全く逆行せざるをえなくなっている状況なのは否定出来ない事実です。
カテゴリ:住宅・建築業界 2014年4月9日(水)
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