設計者の想いの日々(ブログ)
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液状化現象を考える

マスコミの報道によれば、茨城県内の液状化現象が発生した市町村は、県内44ある市町村のうち、36の市町村で確認されたとのことです。液状化現象が起きなかったとされる県内の市町村は、高萩市、笠間市、牛久市、常陸大宮市、桜川市、小美玉市、城里町、大子町とされていますが、大子町は別として、私はその情報を額面通り、受け止めてはいません。特に、私の在住する小美玉市ではその被害がないとされていますが、小美玉市内の霞ヶ浦流域で、本当に液状化が発生しなかったのか、再調査の検討の余地はあると思います。
茨城県内の液状化現象が顕著だった区域は、県北部沿岸、利根川下流沿い、霞ヶ浦流域、那珂川、鬼怒川、小貝川沿いなどで、関東では、茨城県がいちばん広範囲にわたってその被害が発生したとされています。具体的地名を挙げると、潮来市日の出地区、稲敷市稲佐地区が酷く、水戸市千波湖周辺もその被害に見舞われ、水戸市役所が使用不可になったのは、巷間、伝えられるところです。そもそも、市役所をあのような干拓地に移転したきたこと自体、常軌を逸しており、1964年の新潟地震で、液状化現象が確認されていたにもかかわらず、その反省を生かしきれなかった、このことは、40年前とはいえども、浅はかで、非常識な計画であったように思います。

液状化現象は砂質地盤で水位の高い地盤で発生します。液状化現象が起こった瞬間を私が実際に見たわけではありませんが、霞ヶ浦流域で、その被害にあった方々の話を聞けば、泥まじりの水が、あちこちで、3mくらいの高さまで勢いよく噴き出し、死を覚悟せざるをえなかったとのです。液状化現象の爪痕は、数日後、私も生まれて初めて確認しましたが、壮絶なものでした(具体的画像でご説明したいところですが、私は公でない建物の被害状況・液状化現象の画像は一切公表しない主義ですので、悪しからずご了承ください)。震災後、数日間、土浦市内を回りましたが、市街地随所で液状化の跡が散見されました。
液状化現象が発生しやすい場所としては、海や湖沼の埋め立て地、干拓地、旧河川跡や池跡や水田・蓮田跡、砂利採掘跡の埋地、砂丘地帯や三角州、などが挙げられます。

液状化現象の発生するプロセスは以下の通りです。(wikipediaより引用)
砂を多く含む砂質土や砂地盤は砂の粒子同士の剪断応力による摩擦によって地盤は安定を保っている。このような地盤で地下水位の高い場所若しくは地下水位が何かの要因で上昇した場所で地震や建設工事などの連続した振動が加わると、その繰り返し剪断によって体積が減少して間隙水圧が増加し、その結果、有効応力が減少する。これに伴い剪断応力が減少して、これが0になったとき液状化現象が起きる。

簡単に言えば、豆腐のような、水混じりの砂という「固体」が、強い地震などの振動により、「液体」化するということです。
今回は強い揺れが約2~3分間にわたり持続した非常に長い地震でした。瞬間的・爆発的地震であれば、強い揺れであっても、ここまで液状化現象が広範囲に及ぶことはなかったでしょう。震災後、液状化現象への対策の研究が急ピッチで行われています。その成果が、今後、次々と発表されてくることでしょう。また、建築基準法の改正も数年後に予想されます。

尚、建物の不同沈下、建物の傾きは、液状化現象が発生した地域で顕著ですが、液状化現象が起きていない地域でも、数多く散見されていることを付け加えておきます。茨城県内の一戸建住宅約100万棟のうち、建物の不同沈下、建物の傾きが起きて、現状のままでは長く住むことができないと思われる住宅は、約5万棟と推測されます。
カテゴリ:東日本大震災・竜巻・災害 2011年9月6日(火)
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